ん～どうなんでしょ…

写真はとりあえず、何の関係もないお花ですみません。
なんと「狂い咲きの海棠」です。
やっぱりヘンなんですかねぇ。

さて、ちょっとブログあちこちお散歩をして、あるところへお尋ねしたら…
こんな記事を見つけました。ジャージー着物…。
私一瞬、眼を疑いまして「ジャージー？えっ、体操着？」
まぁそこまではいきませんで、要するに「ニット伸縮素材」なんですが…。
まずご本人がお召しになっておられる写真の「ふくらはぎ」を拝見して、
「あぁやっぱりね」と思いました。ラインバッチリ出ます。

記事をお読みいただければわかりますが、
着物は歩くとき前捌きが大切なので、摩擦が大きいと歩きにくいが、
ジャージーは伸びるのでそれがらくだと…。
もうひとつは女性の場合おはしょりがいらない、
そして寝転がってテレビも見られる…。

すっごく悩みます。
私は新しい素材だとか、スタイルとかを頭から否定する気はないのです。
着物は自由なものですし、昔はなかった素材や、デザインが、
着物ライフに貢献してくれることもたくさんあります。
ポリの着物しかり、新しい小物しかり…。
でもねぇ…伸びる着物、ゴロ寝でテレビ…絶対どこか伸びて丸くなる。
座ればお尻とヒザ、ひじ枕でひじ、、そう思いませんか？
私のようなオバサンがこれ着て一日動いたら、
お尻の形どおり、ヒザの形どおりにでっぱって、
脱いでハンガーにかけたら着ぐるみぶらさげてるみたいになりそー。
えっ？オバサンは着るな？…かな？

ニットジャージーでも、たいへん上質なものはやたらと伸びきったりしない、
というのはありますね。でも、それだとコストが高くなる、着物はデカいし。
殿方はいいかもしれません。パジャマが着物の形してるだけ、で。
女性ものは…お願いだから実用化しないでほしいと思います。
若くてスタイルのいいお嬢さんがきたら、さぞかしボディラインくっきりの
理想的なボディ・コン着物になるでしょう。
だったらいっそ「おもしろＴシャツ」みたいに、衿とか帯を柄に書いた
ムームーにでもしてください。着物の形じゃないものにしてください。
外にきて出るものじゃないように、それだけはオネガイ!

あー私今ちょっとパニクってます。
お願い、とめてとめてこの企画！っていう気分です。
このかたのところ、とてもいい感覚で帯や着物を作っていらっしゃいます。
古いものから学び、新しいものを模索する…。
そういうことをやっておられるところです。
着物のよさもちゃんと理解しておられると思います。
ですから、頭ごなしに「ジーャージー着物」を否定する気はないのです。
そういうものも、これからは部屋着として「おウチ着物」として、
生まれ育っていくことを歓迎しないわけではないのです。

私がいつも心配するのは「作り手」ではなく「買い手」のほう。
作り手は(このかたもそうですが)いろんな知識を持って、
いろんな推敲を重ねて、新しいものを作り出します。
でも、使うほうが、何も知らないままに「わーらくな着物だー」と、
飛びついてしまったら、町中にやがてボディラインくっきりの、
ニットジャージー着物があふれたら…。
着物を着るなら、その前にきちんと知っておくべきこと
知っておいたほうが楽しいことがたくさんあるのよぉと、そう思うのです。
「おはしょりがなくて女性はラクだ、旅館の浴衣よろしく…
　腰位置で帯を巻けば　気軽な部屋着」
これって、女性の着物がたいへんだということを前提にしています。
ここだけはオトコの発想なのかなーと、ちとさびしいです。
おウチ着物は、素材や着方でちっとも苦しくなく着られるものだし、
着物は本来そういうものですから。

ジャージー着物、気持ちはわかる、でもどっかが違う…。
やっぱりまだパニクってます、私…。