ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

「風立ちぬ」…

2013-07-29 12:25:57 | つれづれ

 

ジブリの映画、すでにいいとか悪いとか…いろいろ評価が出ていますね。

私は、自分が映像や音楽で「表現」ができませんから、そういう手段を持っていて、

それで仕事として成功しているだけで、すごいと思っています。

映画は、さまざまな紹介や評を見ているだけですが、いつかテレビで放送されるでしょう。

それを待ちたいと思っています。

 

堀越二郎氏の名前は、以前から知っていましたが、私のような「親が戦争を知っている世代」では、

フクザツな思いがあります。映画のHPでは「ただ飛行機を作りたかったのに、それが戦争に使われた」…

というそのことについて、二郎の悲しみだとか悔恨だとかは表さない…とありました。

堀越二郎氏は、のちにYS-11の設計に携わり、当時ともに設計に関わった人たちとともに

「5人のサムライ」と呼ばれたとか…。

 

ニンゲンは、夢を持ち、何かを作り出し、それを改良して暮らしに役立てる…それを繰り返して、

今の文明文化を作り上げてきました。

飛行機のような大きなものから、クリップや洗濯ばさみのようなダレも振り向かない小さなものも、

それを最初に作った人、思いついた人の抱える思いは、みな一緒なのだと思います。

それがそのまま「便利なもの」として進むこともあれば、爆弾や原爆、そして戦闘機、軍艦…

人の命を危うくするようなことに使われるものとして、形を変えてしまう場合もあります。

誰も人を殺そうと思って作ったわけではないだろうに…それがまたニンゲンの恐ろしいところです。

何かを征する、どこかで優位に立つ、国を護る、民を豊かにする…そういう言葉によって、

「しかたないこと」「それはいいこと」と、位置づけられていくのは、本当に哀しいことです。

そのへんで人一人殺したら殺人だが、戦場で100人殺したら英雄だ…でしたっけ。

 

私はまだ映画を見ていませんが、ポスターの「生きねば!」という言葉が、一番大切なことだと思います。

昔「風立ちぬ」といったら若い友人が「♪ 今は~あきぃ~」と、聖子ちゃんの歌が続いて

あぁ今はそっちかぁと思ったことがあります。まぁあれも失恋の歌で、立ち直らねばという歌でもありますが。

本来は「風立ちぬ」といえば「いざ、生ききめやも」です。

 

私の実父は、母と年が離れていまして、明治の最後の生まれ、時代は男の子たちを

「軍国少年」に仕立てていったころです。大きくなったら兵隊さんになって…と、

父も当たり前のように考え、そして民間人ではありましたが「人間魚雷」の製作に関わりました。

父は、戦争が終わるときには、その現場にはいなかったと聞いています。

軍国少年が、大人になって戦争のむなしさを悟り、敗戦を予感し、言葉悪く言えば、

そこから撤退したのです。父は戦争については多くを語りませんでしたが、

戦後はひたすら「これからの日本が発展していくためには…」と、エンジニアとして自動車に関わることを

仕事としていました。父なりのけじめのつけ方だったのではないか、

大げさに言えば、贖罪の意味もあったのではないかと、今はそんなことも思います。

 

平和になって生まれた私は、いい絵を見なさい、本を読みなさい、外国の人ともお話できるように

英語を学びなさい…という父と、見てたらわかる、見て覚えや…と、縫い物編み物、着物のことを

一心に教えてくれた母に、育てられました。

直接「戦争」のことは言わなかったけれど、両親はきっと「平和はいいねぇ、だからしっかり、

幸せってことを感じるんだよ。生きてることに感謝するんだよ」と、そう教えたのではないかと思います。

 

今、たまにおじゃましているブログがあります。不治の病に侵されて、余命宣告を受けていらっしゃいます。

時として迷い、不安にかられ、立ち直り…それでもいつも「生きねば」と、おもっていらっしゃいます。

私はコメントを一度も書いたことはありません。

書いても、きっと「病気になっていない側のニンゲンとして」の当たり前の「がんばってください」しか

書けないと思うから。そして私は「ならばどうするか。この人から学ぼう」と思うのです。

最後まであきらめない、生きるのではなく「生ききる」…。そういう気持ちをずっともっていたいと思います。

ダレも自分の最後はわかりません。コロツと逝きたいと思っても、長患いになるのかもしれません。

私は今、幸いなことに、命を脅かす病気はありませんが、

元々がビビリですから(ほんとです)もし余命宣告されるような病気になったら、

きっとダレよりもおろおろして、落ち込んで、パニクると思います。

それでもきっと、最後には「生きねば」と、おもう努力をしようと思うのです。

やたらな延命は望みませんが、自ら死を望むことだけは、しないでおこうと決めています。

「生きたい」「生きなければ」「生きるんだ」…と、強く願った人が、あっという間に命を散らされた…。

それが「戦争」というものです。

「風立ちぬ」、どんな映画かわかりませんが、私は「生きねば」という言葉に敬意を表します。


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9 コメント

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Unknown ()
2013-07-29 19:42:23
 こころの中にしっかりと留めておきたい内容だとおもいました。 ありがとうございました。
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Unknown (陽花)
2013-07-29 20:07:02
私もおじゃましています。
到底私には真似のできない事です。
ここまで前向きに、そして強くなられるまで
どれだけ心の葛藤があったのだろうと・・・
私も何も言う事が出来ず、ただ奇跡が起きて
余命宣告が消えてほしいと思っています。
返信する
Unknown (みけ)
2013-07-29 23:15:42
私の住む街にはその昔飛行艇や戦闘機を造っていた会社があります。
(今はパッカー車などを造ってる会社です)
いつも側を通る度にあの時があったから今があるのかなぁ…なんて意味不明なことをぼんやり考えます。

そして、ご近所には余命宣告されながらご家族とお店を切り盛りされている奥さんがいます。
ご主人やお母さんのお顔を見るのも辛いので足が遠のきがちですが、
体調の良いときは店番に来られています。
全身に転移してるにもかかわらず、いつもニコニコ、明るくかわいい奥さんなんで余計に辛いんです。

って彼女の話をすると決まって「検診に早よ行きなさい」って言われますが…
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Unknown (とんぼ)
2013-07-30 18:34:51
南様

こちらこそ、ありがとうございます。
私は戦後うまれですが、じかに戦争の話を聞けるのも、
私くらいまでだと思いますから、
少しでも…と思います。
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Unknown (とんぼ)
2013-07-30 18:36:25
陽花様

ほんとに強い方ですよね。
私も、治療が全部うまくいって、奇跡がおきたら…と
そんなことを思います。
健康って、大切ですよね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-07-30 18:38:06
みけ様

ヒトにはいつか必ず来る「そのとき」ですが、
それが大雑把にでもわかってしまうというのは、
どんなキモチなのだろうかと、心がちりちりします。
いつまでも、ニコニコ顔を見ていたいものですよね。
返信する
こちらこそ (とんぼ)
2013-08-01 11:13:40
NORIKO様

はじめまして。コメントありがとうございます。

まことに申し訳ありませんが、頂いたコメントは編集のコメント管理の「保留」に入れさせていただきます。

NORIKO様のコメントに対して、私もいろいろ考えましたが、いずれに致しましても、
このブログでは特定の国、政治、宗教に関しての記述は、
私なりの基準で、掲載を決めさせていただいております。
それにあわなかったということで、保留を了承ください。
また「失礼な表現がありましたらお詫びいたします」と、先に書いておられますので、
先に謝罪されてしまっては、私もこれ以上書くことは、失礼かと存じますのでやめておきます。
返信する
Unknown (NORIKO)
2013-08-07 17:11:46
コメントくださっていた事に気付くのが遅くなりました。ご丁寧にありがとうございます。

日本の為に尽くしてくださった方々の名誉を守りたいことと、この国の行く先を案じてコメントをいたしました。
保留については残念ですが、個人ブログですので、私のコメントは削除、保留、公開、このブログ上でしたら、ご自由に扱って頂いて構いません。
公共電波を使用するテレビ等のマスコミでさえ、「特定の国、政治、宗教」について、報道しない自由をかざしていますので、個人ブログでしたら、なおさら自由と存じます。
いずれにせよ、コメントのお返しとして保留の理由を明示してご対応頂いたことに感謝いたします。
お手数をお掛けいたしました。
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-08-08 18:55:44
NORIKO様

当方の自由を、お認めいただきありがとうございました。
返信する

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