コロナのなかでの法事

 

先々週は、早世した従兄の二十三回忌がありました。

父の甥ですが、もう叔父叔母で残っているのも父と兄嫁さんだけ。

もう兄弟姉妹だけで、と言っていたのですが。、コロナのせいでさらに、

兄弟の代表だけでこじんまりと…と言ってきました。

何しろ残っている兄弟姉妹もみな高齢者ですし、仕方ないですよね。

かくいう我が家でも、今月で主人「おとサン」の七回忌です。

ほんとに早いもので、えっもうそんなに経ったんだっけ、とのんきな私です。

元々もう父と二人で、と言っていたのですが、この状況では父を外に出すのも気になるし、

まして我が家は、基礎疾患持ちの息子と高齢者の私です。

息子がお世話になっている施設では外部から来た人の感染がわかったりして、

怖さが強まった私は、デイサービスもヘルパーさんも断っている状態です。

それでもなんとか半日くらいと考えていたのに、去年、夏が終わったら

まただんだん増えてくるし、もう一つの施設でも職員全員PCR検査で２週間閉鎖とか。

あれこれありましたので、お寺さんに電話をしてご相談しました。

御住職様は、我が家の状況もよくわかってくださっているので、

「無理にやって何かあったら、かえって仏様も心配なさるから、私だけでやりますよ」と

言ってくださいました。必要経費をお寺の口座に振り込み、先日お花とお供物のお菓子を、

前日必着で手配しました。

当日は仏壇で神妙に手を合わせますので…と。

 

父は、母の葬儀のあとから、やたらと自分の葬儀のことだの、

突然「オレのスーツは型が古いしサイズが小さいから誰も着ない、捨てるように」とか

あれこれいろいろ言い初めまして、めんどくさいから「はいはい」と聞いていました。

そのあと大病したら今度は「葬儀」の話が始まり、母の時にもらったカタログで、

祭壇はこれ、お棺はこれ…と指定するやら、すぐ連絡する人、喪中はがきでいい人と、

リスト書いてよこしたり…全部「ハイハイ」と聞いてました。

そしてコロナが始まり、あの志村けんさんがなくなったら、やはりショックだったようです。

テレビでコロナだと葬儀もナシだとか、コロナでなくとも葬儀は控えるとかやり始めました。

四国のほうだったかでお通夜でコロナ感染…なんていうニュースもあったんですよね。

途端に父は、今度は「たとえコロナでなくとも葬儀はいらん」なんて言い出しまして…。

結局親族だけと言っても人が集まるのだから、誰にも知らせず「直葬」にするように…。

あーーーはいはい。そういう話をする人は、だいたい長生きするもんだし、と、

そう思って黙って聞いています。

でも、ほんとにもし万が一のことがあったら、私一人ですべてやることになります。

そんなシミュレーションはしたくありませんが、正直、母や主人のときのように、

息子をショート・スティで預けることは絶対避けたいですし。

あららほんとに大変なことになるわ…で、父にお願いだからワクチン整って落ち着くまで、

とりあえず元気でいてちょーだい、とお願いしました。

 

父は割と危機感の薄い人なんですが、それでも床屋はこわいからと、

もう何か月も行っていません。元々天然パーマという髪で、くねくねくるりんです。

だいぶ伸びてきています。てっぺんはさすがにかなり薄くなっていますが、

うしろはちょっとゴムで止められそう…。

父は「もう少し伸ばしたら、うしろでちょっと縛れそうだろぅ?なんかイマドキの

歌うたったりする若いもんみたいだよな」とニコニコ。

「そうだねぇ」と言いながら「いやどう見ても今現在『落ち武者』状態です」と、

心の中で呟いて帰ってきました。

 

コロナは人も場合も選びません。仕事、学校、法事に葬儀、結婚式も成人式も、

普通にはできません。「普通の日常」がどんなにありがたいことか、

そんなことを思いながら、仏壇の花を替えました。