ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

不健康食品

2008-12-07 14:33:03 | 昔の道具・暮らし
過日お話ししたかとおもいますが、近所のスーパーにあります「極辛塩シャケ」。
先週買ってまいりました。おひさしぶりー…たまーに無性に食べたくなるんです。
焼いたらこんなに小さくなっちゃうんですから、すごいでしょ。
焼きあがるまで、塩吹きまくってます。
本当は少し塩出ししてから焼いたほうがいいのでしょうけれど、
私はこの塩吹いた、おもいっっっきりしょっぱいシャケがすきなんです。
体にはよくありませんよねぇ、この塩かげん。
したがって息子にもオットにも食べさせません。
親ゴコロ妻ゴコロでっせぇ、決して「こんなうまいもん、たべさせるかい」、
ではありまへんでぇ…ホンマに。
いえ、これとてものことに、一度の食事で一切れ食べられません。
ほんの2センチくらい、ほぐして熱々のごはんにまぶして混ぜて…です。
ごまや刻み海苔なんかも混ぜ混ぜして…おにぎりにすると最高!

私が子供のころ、まだ木の冷蔵庫でした。かすかに覚えています。
我が家の周りは道が狭かったので、大きなクルマははいりませんで、
氷屋のおじさんは、自転車のうしろにリヤカーのついたやつで、
むしろに包まった氷を毎日届けに来ました。
氷なんて家で作れないものでしたから、やたら触りたがっては
母に叱られましたっけ。たまーに端っこをちょっとかいてもらって
口に含むのが、夏休みの楽しみでもありましたね。

つまり…食品の保存ってのが、今のようにはできませんでしたから、
塩漬け、味噌漬け、粕漬けなんて、年中食卓にのりましたね。
塩ジャケなんか、塩吹いてて当たり前で、いつもちいちゃかった…。
高校生くらいでしたか、初めてシャケ、いえ「鮭のムニエル」ってのを食べて
「シャケってこんな味なんだ…」と思いましたよ。
でもあの塩ジャャケで育った私は、今でも鮭のムニエルもフライも、
どうもたよりなくていけません。シャケたぁしょっぱいもの、というのが、
インプットされちゃってるんですねぇ。幼児体験ってのは怖いものです?!
健康志向とかで、塩ジャケがちっともしょっぱくなくなって久しいです。
こちらも家族を思えば…で、しょっぱくないシャケを焼いたり、
生サケでフライやグラタンにしたりしてきましたが、同年代のオットはやっぱり
「シャケはしょっぱくないとなー」とボソッと言います。
「ないのよねぇ今は…」といいつつ、ひそかに楽しんでるわけで…へっへっ!

ふと、昔の食卓というのを思い出してみたのですが、
わが偉大なる母は、縫ったり編んだりは神業で、その他家事全般、
なーんでもソツなくこなすひとですが、料理だけは「☓」それも大バツで、
いわゆる「料理オンチ」です。人の作ったものについてはうるさいんですけどね。
母は京都の片田舎の生まれですから、いわるイナカ料理で、
筍とわかめの炊いたんとか、京菜とあぶらげの炊いたんとか、作るんですけどね、
母は「ばぁば」つまり、あの七五三の着物を縫ってくれた祖母ですが、
その「ばぁばの味」をめざしているつもりらしいのです。
でもいつも「やっぱりばぁばにはおいつかへんなぁ、
なんべん作ってもおふくろの味にならへん」というのです…。
そーではなくてかーちゃん、アンタの煮物は「作るたびに味が違う」んじゃ…。
よく「あなたにとってのおふくろの味は?」なんて質問がありますが、
私の場合「毎度味の違う煮物」…です。
どうするとこうも違うのかとおもうほどで、色からして
あるときは「なんやしょうゆ漬けやんか」というほど茶色かと思うと、
次のときは「ダシまでケチったんかいな」というほど味がない…。

母は自分が料理オンチであることをよく知っておりましたが、
それについて努力する気は全くナシ、理由は簡単明瞭「料理きらいやし」。
それゆえ私にはこう申しました。
「嫁に行って恥かくのはアンタや、自分できばりや」…。
で、私は、将来自分の結婚相手や子供に、
「妻(母)の得意料理は、塩ジャケの焼いたのです」と言わさないために、
料理学校に行ったわけです。
以来、我が家では「親子の会話」が逆転いたしました。
「こんぶはちっとはさみで切れ目を入れて、水からこーして…」
「トマトの湯むきってのはね」
「へぇぇ、アンタすごいやん、よかったなぁ勉強でけて」…
といいつつ母はメモをとることもありませんでした。
私の結婚が決まったとき、料理のレシピやダシの取り方を書いて、
「これ見てしっかり作るんだよ」といったのは私です。
その後どうなったかって?
ご心配なく、我が家で私の次に料理をするのは「父」です。
冷蔵庫のおそーじなんか大得意、有り合わせで一品なんてお手の物です。
母は…シアワセなひとですねぇ。
但し、母の名誉のために申しますが、全くやらなかったわけではありませんで、
てんぷら揚げたりとか、毎度味が違えど煮物や酢の物などは作りましたので…。

元々料理オンチの親に育てられた私は、基本的にダメなのだと思います。
オットは「おいしいね」とも言ってくれないかわりに文句も言いません。
聞いてみたことがありますが「まぁまぁじゃないの?」
ただ、これはうまいね、と言ってくれる料理もいくつかありますので、
母よりはマシらしいです。

母のキャベツの千切りは、細くても3ミリくらいありましたけれど、
ここ2年はそれさえもやらなくなりました。
とうとう85年、台所とは仲良くしなかった母ですが、
今は毎日、マメな父のおかけで「おいしいで」といいながら
ご飯をちょっとだけ食べています。
自分は教えてやることができないから「自分でがんばれ」と言った母に、
私はやっぱり感謝するべきなのでしょう。
私のお袋の味、は「こんな味になったらあかん」という
言葉そのものの味なのでしょう。
今夜は大根と鶏肉でも炊きますかねぇ。





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18 コメント

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梅干も (茶ノ葉)
2008-12-07 15:18:26
辛塩シャケ、美味しいですよねえ。
私はあの皮のところがどーにも大好物です。
甘塩だと生臭い気がしますけれど、辛塩だとたまらなく美味しいです・・・

塩分控えめ、はちみつ入りの梅干なんかも「ちょっとなあ^^;」と思ってしまいます。
梅干も、干からびはじめて塩がジャリジャリいってるようなのが、やはり一番美味しいです。
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Unknown (陽花)
2008-12-07 19:33:43
若い頃は、ハンバーグやグラタン、フライとか
脂っこいものを毎日作っていました。
いい匂いやなぁと言いながら義母はバターや
チーズの使った料理は食べてくれませんでした。
いまあの頃の義母と同じぐらいの年齢になって
イヤだっただろうなと思います。
だって今は毎日ほど田舎料理、おばんざいと
言われるようなおかずばかりですもの。
焼き魚に煮物、美味しいお漬物と味噌汁が
あれば満足です。
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Unknown (うさうさ)
2008-12-07 20:09:01
とんぼさん、今晩は。おいしそうですね、この鮭。私も塩っ辛い鮭が無性に食べたくなるときがあるんですけど、近くのスーパーにはありません・・・ネットで鮭一匹だけ買うのもなぁと。お茶漬けとかにして食べたいです~。この鮭とおあげさんのたいたん。いいですね。
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しゃけ (うんちく)
2008-12-07 22:41:49
塩辛いシャケが本当の塩鮭だと思っています。
子供の頃に塩鮭のしょっぱいのを焼いて、身を
ほぐして、それに焼餅をおしつけて食べたおいしさが忘れられません。
そこで一句
 着膨れて鮭の甘塩歎きをり
おそまつ。
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Unknown (sayo)
2008-12-08 02:42:18
しょっぱーい塩鮭。おいしいんですよね。
子どもの頃、夏休みに祖母のうちに泊まりに行くと決まって昼は「鮭の水茶漬けと漬物」でした。
たまらなく食べたくなって、甘塩鮭にも一度
塩をした事も(^^;

我が家は子どもたちも好物です。
たまにしかあげませんけどね。
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塩ジャケ (りら)
2008-12-08 03:16:14
ああ、食べたい~!!
ぎっちり塩の利いたやつ~!
鮭だけは新鮮なのが食べられるのですが、塩の物は滅多に無いんですよねぇ。

お母様のこと・・・
人は「全て万全」なんてこと無いのに、主婦というのはそれを求められるわけで、大変だよなぁ、と思いました。
うちの母は、料理はOKです。(それで何十年もお店やってますので、一応はプロですものね。)
が、掃除洗濯などは駄目です。
本人は「お店忙しいんだから」と言ってますけど、なになに、私はあれは生まれ持っての欠如だと思っています。
抜けてる部分、苦手な部分のある母親で良かったのかも・・・と、今回初めて思えました。
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Unknown (ゆん)
2008-12-08 09:49:19
おはようございます

 すっごいですね!!霜が降りた様に真っ白のシャケ!!

 私は普段、生協のやさしい塩加減のものを食べているのですが、よそ様から「本来の」塩じゃけを頂いたりすると、一気にごはんの減りが加速して慌てます(笑)。子供たちにはお茶漬けで。

 でも、あの強烈な塩辛さの後の甘みが…なんかいいんですよね~~渋茶の後の甘みとか…。日本人の味覚でしょうか?
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Unknown (てまりばな)
2008-12-08 09:51:15
うちは、毎年北海道から生鮭が2~3本送られてきます。
それをさばいて、切り身にして
塩を振って一夜干しにしたものと、
生のままムニエルなどに使えるようにした切り身を作ります。
顔は氷頭膾に、骨は鮭味噌に、
すき身はハンバーグにします。
白子が入っていればてんぷらに、
筋子が入っていれば、いくらも漬けます。
これらは、親から教わったのではなく
北海道に住んでいたときに覚えました(笑)。
そうでもなきゃやらないですよね。

塩辛い鮭・・・おいしいですよね~。
でも自分で塩をしてみると
おそろしくてあれほど塩を振ることはできません(汗)。
これでもか、と振ったつもりでも
甘塩になってしまいます。
塩が効いているとおいしいんですけどね~。
うーん。
見てないところで振ってほしい(笑)。

とんぼさんは血圧は大丈夫ですか?
私は低血圧だから、食べた方がいいのかも・・・?(笑)
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おいしそう~! (えみこ)
2008-12-08 17:19:54
激辛塩鮭とよばれている鮭の切り身が「ふつう」に
売られていたし、両親がいまだにこれが好物なので
実家に帰るとつついています。やっぱり二センチが限度でしょうか。
お茶漬けも最高ですよね(よだれ~)
偏頭痛が胃腸障害とセットになってやって来て
おかゆさんばっかり食べています。(なみだ~)
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Unknown (とんぼ)
2008-12-08 19:54:28
茶の葉様
やっぱりおいしいですよねぇ。
そうさそう、あの梅干、後味があまいなんて、
泣けてきます。思い出しただけで、
こめかみが痛くなるようなすっぱいの、
探して買うようですね。
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Unknown (とんぼ)
2008-12-08 19:56:34
陽花様
私もそう、洋風メニューばかりでした。
この年になるとわかりますね。
母もチーズ、バター、ミルクはだめです。
体にはいいんですけどねぇ。
今は私も「おばんざい」ばかりです。
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Unknown (とんぼ)
2008-12-08 19:57:58
うさうさ様
私も、最近みつけたんですよ。
最初は「ほんとに極辛なんだろうか」と、
疑いながら焼きました。
塩が吹いて真っ白になったのを見て
「やったー」と思いましたよ。
なかなかありませんよねぇ。
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Unknown (とんぼ)
2008-12-08 20:05:17
うんちく様
おモチですか、それもおいしそうですね。
昔は炊き立てご飯は塩だけで食べられる、
なんていいました。
中途半端な塩ジャケはもとんとご無沙汰です。

シャケほぐし箸をねぶって夫呼ぶ

いかがでしょうか
実際には全部ひとりじめー、なんですが。
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Unknown (とんぼ)
2008-12-08 20:06:28
sayo様
「水茶漬け」懐かしいです。
しょっぱいって、おいしいんですね。
最近のはほんとにもう一度塩振るようですわ。
体に悪いものはおいしい???
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Unknown (とんぼ)
2008-12-08 20:09:55
りら様
あら、塩漬けのサケはないんですか。
このごろは味の開きとか、ひややっことか、
和風お惣菜ばかりに眼が行きます。
年ですかねぇ。

母のことは、このマイナスがあるから
かわいいのかな、なんてこのごろ思ってます。
でもねぇ、できないことまで威張られると、
笑うしかありませんわー。
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Unknown (とんぼ)
2008-12-08 20:11:51
ゆん様
保存のための知恵、だったんでしょうけれど
ほんとに「うまいもの」はいろいろあります。
なんか一切れで幸せになれる…って
安上がりじゃー。
日本人って、けっこう繊細な味覚だと
思いますねぇ。
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Unknown (とんぼ)
2008-12-08 20:14:50
てまりばな様
それはすごいっ!
以前「荒巻」をいただいたことがありましたが
一匹さばいただけで、くたびれ果てました。
それでも塩がちと足りなくて、
振りましたねぇ、真っ白になるくらい…。
私、低血圧気味なんです。
でも、母は「しょっぱいシャケは
三年前の古傷でも痛む」といいます。
決して「良いわけ」ありませんよね。
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Unknown (とんぼ)
2008-12-08 20:16:37
えみこ様
お加減、大丈夫ですか?
おかゆ三昧じゃさみしいですねぇ。
あっ塩ジャケならおかゆでも…。
あんまりしょっぱいと、また頭痛によくない、
でしょうか。
早くよくなられますように。
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