あの「ばばさま」の草履、薄いブルーには塗れたのですが…なんかイマイチ…ではさらに…と、
えぇ、始めるとつい、です。写真は使用した道具。
まず、今回スプレー式を使ってみてのご報告。
一度していますが、まとめますと…私「塗る」という表現をしてきましたが、
それはエナメルのようにつるんとした素材だと、どうしても「染める」というより「上塗り」の感じでしたので…。
皮染めは、布と同じで「染料をしみこませる」ことです。
なので普通のバッグなどに使われている皮だと、ちゃんと中まで浸透して染まります。
バックスキン用もあります。
以前、靴を染めたお話を書きましたが、確かに靴の一番深くシワのよるところなどは、
せっかく染めても、またそこが剥げてきます。
あとはとにかく「臭い」、そして火気厳禁、当たり前ですが…。
私がスプレー式が好きになれないのは、一つにはこのニオイ、そしてなんかムダな気がする…。
だって近くでやろうとすると、濡れすぎて垂れてしまうので、どうしてもある程度は離して噴射します。
するとまわりに飛び散る量が多い!板のようなものならいいのですが、草履のように小さいものだと、
新聞紙を大きく広げないと、下の床まで飛び散ります。 なんかほかばっかり染まっているような気がして…
あ、ただのケチなのかしらん。
次に、噴射のコツ、短くシュッシュッとか、シューッとか…これも一発勝負ですから早く慣れないとですね。
いいところは、重ね塗りで随分修正できるということ。なのでどこか薄くても、完全に乾いてから、
その部分にかけるとほぼOKです。
というわけで…とりあえずお試しでマステなど貼ってみて、染まり具合をみたところで終わってました。
あのあと、マステも外して全部を一色に塗りました。
前回書き違えましたが、片方で70ミリリットル1本くらいにしておいたほうが安心です。
さて、キレイに塗りあがった一足ですが、ここでまたよけいな欲を出しました。
「なんか絵でもつけちゃう?」…。
そこで「描く」つまり筆や刷毛を使う染料を探しましたが、どうもうまくいきそうにないものばかり。
それならやっぱりスプレー?あぁ型紙がいるではないか、ならばやりましょうともさ…と、一人問答。
長く使っていないステンシルの入ったお道具箱を引っ張り出し、2枚残っていたはずのステンシルシートを探し、
カッティングボードと専用カッターを引っ張り出し、それからデザインを考えました。
草履の色が初夏から夏向きの色なので、涼しげにさわやかに…なら色は紺か青、
図柄は…花よりもシャープな感じがいいなぁ、夏・水色・紺から連想して「水、流れ、波、しぶき…」
おいおい、なんか北斎の「神奈川沖浪裏」みたいになってきた、いかんいかん…。
で、ステンシルをするわけではないので、にじみが多くなるだろうから、シンプルなのがいい、と思い、
結局水とは全く関係のない「イニシャル」になりました。せめてと思い、周りに水玉をぽんぽんととばしてみました。
結果、こんな感じになりました。
失敗しても、履いてしまえばみえないところなので、思い切ってチャッチャとやりました。
もう少し全体ににじむかと思ったのですが、うまい具合にシャドウみたいになりました。
ステンシルは元々「ぼかし染め」といっても輪郭ははっきりと、中をぼかして陰影をつけるものです。
染め方も筆を立ててしっかりたたきつけるようにして染めるわけで、スプレーとはまったく相性が合いません。
こちらはウン十年前に作ってみた「おだまき」の型紙で、和紙折り紙に染めたもの。
輪郭をはっきりした方が、中のぼかしが自由にできます。
すでにカットされた型紙はそれこそ多種多様にあるのですが、ついオリジナルにこだわる私は、
自分でカットしたものが好きです。作りにくいんですけどね。
このおだまきくらい、輪郭がはっきりしてくれるともう少し涼しげになったかもです。
とりあえず、これで染め替えはおわり。あとは仕上げのコーティング・スプレーをかけるだけです。
柄を付けてない方のかかとでお試ししてみましたが、光沢が少しでてきれいになりそうです。
ほんとはマットな感じが好きなんですが、ここまできたらそれで仕上げといたしましょう。
あとは…これで履いてほんとに剥げないのかなな…それは「やってみなけりゃ、わからない」のです。
結局スプレーはコート剤も含めて4缶、時間たっぷりかかってステンシルシートも使って…
安いウレタン草履なら2足買えるほどお金かけてこれ…。
楽しくできたことと、なにより「世界に一つのオリジナル」ってことでわたしとしては「ヨシ」としています。
これが…
これになったということで…しゅうりょー…です。
かかった費用など。。プライスレスです←古いですかね?
今や買ってしまえば簡単に手に入る時代ですけれど、
こうして再生していくことに凄く興味津々なのですよね。。時代に逆行してますが(;^_^A
いつもほばーりんぐ・ととさんの記事を感心しながら読んでます。
お祖母様の形見の草履が履けるようになるなんて、
嬉しいですね。
わたしは、若い頃に買った鼻緒と横の部分が全面赤い草履を、
履かないまま持ってるんですが、
下駄屋さんで鼻緒は替えられたとしても、横の赤いのは変えられないと思ってましたが、
これを読んで、まさか自分で染めるという発想をされるということに、ビックリしました!
いつか捨てなきゃと思ってたのに、希望が湧いてきたような^ - ^
着物は再生の王様ですからねぇ。
それに合わせるものも、やたら捨てられなくって…。
一時期「使い捨て時代」なんて言われましたが、
私は、時代に関係なく、物は大事にすべきと思いますねぇ。
お読みいただいて、ありがとうございます。
何か一つでもお役にたつことがあればと思っています。
総理を染めたのは初めてなのですが、
土台だけなら靴より平らな部分が多くて、
やりやすいと思います。
横の赤い草履、私もあるんですー。
土台は「黒」なのに…。
横だけだったら、上をしっかりラップやマステで保護すれば
比較的簡単だと思います。
もう一度履けるって思うと、なんか楽しいです。
ごめんなさーい。「草履」が「総理」になっちゃってました。
総理染めちゃいけません。
まぁいつも顔が青ざめるようなことばかりみたいですけど