ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

小物の色目・ぱーと2

2008-11-09 16:49:02 | 着物・古布
ご心配いただきまして、ありがとうございました。
おかげさまで大丈夫です。

写真はもう使わなくなったハデ目の帯揚げです。
それでも、お福ちゃんに古着を着せて商品写真を撮ったりするので、
処分せずにとってあります。
あー真ん中のどピンク、20代のころ紺の紬にゃよく使った…。

まぁいつものことなのですが、書き始めるとなんかムキんなって語ってしまう。
いや、別にりくつこねて着物について解剖してみようとか、
全てのことに理由をつけてみようとか、そんなつもりはないのですが、
ついつい話が長くなりましてすみません。
本日も長くなるでしょーって反省しとらんがな…。
では、いってみましょう「小物って魔物」(ためしてガッテンみたいやん)

いろいろダラダラと書きましたけれど、要は慣れている「洋服の選び方」と
要領としては同じなんですね。自分にどうかな、ってところから始まる…。
で、今日は実践ヘンですが…。
とりあえず、首ナシのぼでーさんで色のマジックってことをしてみましょう。
まず、あの「藤と菊」で行って見ましょう。
あっ、我が家にはいろいろ古着・古帯もありますが、
そうそう都合のいい色柄は揃いませんので、帯揚げを帯に見立てたり
いろいろやっております。これまたご了承ください。

まず、私が着ようと思ったとします。
だとしたら、私ならこれを単にします。最近は単は6月1日から!などと、
そこまでうるさく言わなくなりました。
着られる期間は短くなりますが、元々が藤と菊では、真冬はちょっと…ですから
5月の半ばから単の季節を楽しみ、秋も9月に日差しが柔らかくなってきたら、
まだ暑さの残る10月はじめごろまで楽しみたい…とそう思います。

で、どんなふうに着るか考えてみました。
実は好きな色合いではありますが、自分から選んで買う着物ではありません。
それでもこれを着ることになったとします。
あまり悪目立ちしたくない、ゆったりと鎌倉散策でも楽しむ…おっいいじゃん!
私にとってこの着物は柄の大きさからいくとすこし「ハデ」です。
でも色目はどちらかといえばジミ系で優しいので、
それなら色を生かして、全体を緩やかになじませて、抑える感じ、
どこかだけが飛び出さない感じで着てみようかなと思います。
 
帯は着物の色に揃えて(うまいことに、こんな帯揚げがありました)
帯揚げも優しく溶け込むように…。
半衿はもう少し薄いか、ごく薄い抹茶にしたかったのですがありませんで、
ちょっと譲って「黄朽葉色」要するに「黄土色」ですね。
帯締めは陽花様に組んでいただいた「薄い抹茶に茶・黄・オレンジなどのぼかし」
帯止め用の細いものです。帯留めは「ねずみの根付」を帯留めに見立てました。
これでちょっとだけ全体を「締めて」います。
 

          


帯の前だけのアップ、すみません帯揚げが切れてしまいました。
ごく薄い藤色、帯留めはわかりづらいですが、やっと少し色が沈んできたツゲ。
籠に入ったとうもろこしとねずみが二匹、です。


    

     
全体にゆるやかで、締まらない印象なので帯止めを使いましたが、
例えば、どこかきゅっとしめるのに、帯締めに濃い色を持ってくるとしたら…
「何の濃い色なのか」を気をつけないと、黒だとこんなふうになります。


          


きつすぎますね、こういうときは色が濃いのではなく薄い色の濃い目のもの、
たとえば柄の中の青っぽい部分の色でそれの濃いもの、
或いは藤色の濃い目のものなど、それなら落ち着いて「締まり」ますね。

では、もう少し若い人、40代真ん中くらいの人が気楽に着たら…。
帯は中年ならこの着物には無難で張り合いのいい「からし色」、
少し薄めで軽い感じです。年代によってこれを濃く薄くで幅が出ますね。
帯揚げは薄い抹茶と薄いからしの両方がはいったものがありましたので、
どちらの色も出るようにあわせました。
もしあれば「薄紫の太目の帯締め」がほしかったのですが、
無地がありませんでしたので、これも陽花様に組んでいただいた、
薄抹茶の柔らかく細い三分締め、帯留めは大きめのブローチ。これは「お遊び」。
中があいている分、大きくても見た目の重さを感じないかと思いまして…。


           


前のアップ、実は帯留めブローチは「大きな指輪」、バサマからのもらい物。
帯留めとしての金具がついておりませんので、面倒ですから、
真ん中に入れて帯締めを絡めました。とても柔らかいので問題ナシ!


    


では、もし私に年頃の娘がいたとしたら…きっとうるさくあれこれ…
あ…そういうお話ではありませんでした。
もしそうだったら、こんなのはいかがでしょう。


          


色衿を使わずとも、若いだけで十分魅力的…いやアタシに似てたら…、
オットに似たらなおヒゲキ、ここはやはり隔世遺伝…何を想像しとるっ! 
とりあえず、ふつーにかわいい娘さんってことで、半衿は白。
ただこの白半衿は塩瀬ではなくちりめんです。そのぶんソフトな顔写りです。
帯は黒に赤や水色の絞りがとんだかわいいもの、実はこれも帯揚げ。
帯揚げ帯締めは模様の赤に揃えましたが、少し渋みのある赤です。
このときは、八掛もかえて赤みのある色にしたほうがなじみますね。

では次にちょっとお遊びしてみましょう。
江戸好みの粋なお姐さんが、これを着てちょいとそこまで…。
半衿が、写真に撮ったら膨張してしまってすみません。
帯に使ったのは、これもコメントを下さるmaymayman様のところで購入の
「かわほり(コウモリ)柄」の帯揚げです。ちょうどいい色。
帯揚げは黒地、半分にエジプト文様が入ってますので、
うまく折って柄がちょっと出るようにしたのですが、見えないじゃん!
八掛はお絵かきして、元より濃い紫にしてみました。
     

                


前のアップです。ここでも帯揚げの柄がみえてにくてすみません。
要するに、真っ黒じゃないということです。端と真ん中に少し黄や朱が見えます。


    
   

比べにくいと思いますので、一度並べてみましょうね。






これはあくまで私の好みの小物使いです。
大事なことは「どんなふうに着たいのか」ですね。
最初の着方、特別目立たせず、優しくなじむように着るとしても、
クリームっぽい帯を持ってくるなら、帯揚げ帯締めは藤色と黄色の組み合わせ、
そうやって変わるわけですね。私は全体的に丸っこくてぼやんとした印象なので、
帯に少し濃い色を持ってきたわけです。
そして前にも書きましたが、印象が「とっちらかって」ますので、
「バランスよく、ちらばらないように、できるだけ色数は抑え目」です。

もうひとつ、私は色半衿中心の着方なので、
これはいやだという方もいらっしゃいます。
白半衿は、清潔な感じがして、きちんとした印象があり、
なんにでも合いますからとてもいいのですが、
私のように「遊んで着たい」というヤカラには、つまらないのです。
これもその人の好み、イメージということです。

更にもうひとつ、全部衿合わせの角度が違います。
最初のは私が好きな感じ、体系的にこうはきれいに決まってくれないのが
悩みなのですが、年ですから少しゆったり、そして首が短いので、
首ではなく衿に視線がいくように、少し多めに出します。
からし色の帯の方は、オーソドックスな中年の感じの衿元。
娘さんは、少し詰めぎみに初々しく、そして最後のお姐さんは、
ちょっと失敗で写真がうまく撮れてませんが、もう少し首まわりスッキリです。
そして、帯を結ぶ高さも違います。写真ではそんなにわかりませんが、
年とともに全体に下目に、そして上を空けるように…
若い人の「胸高」な帯は、それだけでなんか清楚ですね。

いかがでしょうか。帯と小物でずいぶん印象がかわるものですね。
母がいつも私に言ってたのは「着物は着るもんや、着られたらあかん」でした。
つまり、自信がないまま着たり、疑問を持ちながら着たり、
ほんとはこれやなんだよねー、などと思いながら着ると、
着物がそっぽ向く、そして「しょうがないから着させてやる」ということになり、
着物に着られてしまう、ということです。
母は、そういうおもしろい言い方で教えてくれました。
つまり、なじんでくれないよ、着物ばっかりが一人歩きするよ、ということです。

何色には何が合う、なんてことは、実はベースはあっても、
結局は個人個人で、状況も好みも違うことですから、やっぱり
「すべてはあなたから始まる」なんです。
たくさん見ること、試すこと、それで少しずつ「自分流」ができてきます。

洋服だと「今日はカジュアルな感じ」とか「少し大人っぽく」とか、
そんなふうに全体をまとめますよね。着物も実は同じなんです。
自分は何をどんなふうに着たいのか、そこから始まりますが、
小物をひとつひとつだけとってみても、それだけではわかりません。
例えば帯締めも太いから存在感が大きい、細いから目立たない、
必ずしもそうではありません。太くても優しい色、帯に同化する色なら、
太さで存在をしめすだけで、でしゃばったりはしません。
細くてもキリリとした印象なら結界のように場を仕切ります。

さーて益々わからなくなりましたか?いい傾向です。
たくさん悩んでください。ただもう、これとこれ、色が合うから、
だけで選ぶところからはじめてください。
そして、自分がどんなふうに着たいのか、楽しく考えて悩んでください。
洋服も和服も、私は着ることは「物語」を作るようなものだと
そう思っています。今日はどんなストーリー?
御伽噺のような、メロドラマのような、ノンフィクションのような、
ホラーはなしで…?!そしていつも主役は「あなた」です。
自分がステキなヒロインになるように、考えればいいのです。
水谷豊さんの歌じゃありませんが♪そして誰もが主人公~ですよっ。

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8 コメント

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着物に着られる (茶ノ葉)
2008-11-09 17:46:00
「着物に着られてしまう」感じ、分かります。
時々お邪魔するお店で見立ててもらった組み合わせを鏡に映して見ると、とっても素敵なんだけどなんとなく自分らしくない、しっくりこない感じがして、そういう時に「着物に着られているな~」と思います。
ほんのちょっとした違いなのだと思うのですよね。
着物の着付けや組み合わせで自分らしさを表現するには、まだまだ、技術もセンスも拙くて追いつきませんが、見苦しくならない範囲で自分の着たいように工夫するために、色々と磨きたいなあと思っています。

指輪を帯留めにしてしまうアイディア、素敵ですね。
こういう柔軟さ、ぜひ見習わせていただきたいです(^^)
返信する
Unknown (陽花)
2008-11-09 20:32:23
色のお勉強の実践ですね。
半衿の出し方、帯と帯揚げ、帯締めの組み合わせで随分雰囲気が変わるのが良く分かります。
最初の組み合わせ好きです!
返信する
Unknown (つる)
2008-11-10 02:20:56
いつもながら勉強になります。
僅かな部分でも、加える色の違いで随分と雰囲気が変わることがよく判りました。
それにしても衿合わせ、帯の高さまでコーディネートで変えられている拘り。感服いたしました。私はいつもワンパターンで。私ももっと勉強して、少しでもとんぼさんの様になれればと思いました。
返信する
今回も勉強になりました。 (てまりばな)
2008-11-10 10:20:15
自分がどんな風に着たいのか・・・。
そうですね
そこを見極めなくてはいけませんね。
着物を着られるようになっただけで
喜んでいた時代はもう終わったのだわ(笑)。

今回いろんなコーデを拝見して
自分の反省点として気付いたのは
「締める」ポイントがないこと。
帯締もそうですが帯揚の色も、
全部ぽや~んとなっています。
優しい雰囲気といえば
そうかもしれませんが、
これからはちょっとそこに気をつけて
やってみようと思いました。
ありがとうございました!
返信する
Unknown (ゆん)
2008-11-10 11:28:20
 こんにちは

 ドッキリ「ああ、借り着みたい。ひっぱり着とこ!」な日々です。

 着始めは、半幅で楽しかったのですが、小物を使うことが身につかないと思い、名古屋や京袋を多用するようになりました(おしり隠したいし…)。

 私は、冒険できずにマンネリ…が悩み。藍が写りよいけど、違う雰囲気にしてみたい!

 キャロルさんに色々着せて、離れて眺めてみようと思います。
 今回もありがとうございました
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-11-10 20:59:23
茶の葉様
親の言うとおり、だった時代を抜けると、
あの堅苦しさは「好み」だったんだ、と
気がつきます。着物があるいているみたい
だったことでしょうね。
すきじゃなかった赤いのっ!

帯留めは、けっこう遊べますね。
このごろは金具も売ってますし、
なんかおもしろいもの、なんて見ています。


陽花様
私もやっぱり一番上が落ち着きますね。
小物使いは今でも迷いばかりですわ。
陽花様は、いつも小物が決まっています。
期姿もきれいですしねぇ。
だから着物着ていくの、ちと心配…!



つる様
おほめいただいて、恐縮です。
私など、ただのキモノ好きのおばさんですー。
つる様のセンスや、お持ちのものは、
いつもため息ばかりついて拝見しています。
あの紅型も落ち着いていてかわいい、ですね!


てまりばな様
少しでも参考になればなによりです。
どこかひとつ締めるって、
けっこう効き目があります。着物関係の
本などもよく見ると、どこかしら…ですね。


ゆん様
冒険は大事です。それも若いうち。
女は口紅の色一つでかわるものですから。





返信する
はじめまして (蒔 糊美)
2008-11-11 11:23:35
こんにちは。蒔 糊美と申します。
最近、コッソリうかがっております。

今、どんな帯ものらない、ド派手絞りの振袖に頭をかかえてます・・・。
ですのでとんぼさんのコーディネイト例が、とてもお勉強になります。
泣けるほど沁みてます(滝涙)。

どうかまた、「こんなのもアリなのよ~♪」と
紹介してくださるのをお待ちしてます☆
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-11-11 23:52:03
蒔 糊美様
こちらこそ、はじめまして。
ようこそおいでくださいました。

ありますねぇ、たまにそういう着物。
自己主張激しくて、協調性がない…。
打掛で着ちゃうぞ、みたいなの。
がんばって言うこと聞いてもらってくださいね。
今後もコーデをやっていくつもりです。
何かお役に立てたら、幸いです。
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