これは和文タイプライターです。
写真は、よそ様から使用して良いとのことでお借りした写真です。
私が使っていたのはこのタイプ(いえ「型」のほうのタイプです)の
もう少し新しいもの、これは昭和17年のものだそうですから。
でも、基本的なところは変わっていません。周りの部品だとか素材だとかの
ちがいだけで、操作する部分はほとんど同じ…です。
ご存知ないかたのために、ちっと説明さていただきますと…、
もいちど写真を…。
正面の白い筒は「プラテン」といいまして、ここに紙を巻きつけるのです。
プラテンの真ん中下のところに、Lを逆にしたようなものが見えてますが、
そこが活字の打たれる位置です。つまり「印字ガイド」ですね。
その右下、ちょっと光ってる黒いものがハンドルで、ここを下にさげることで、
キカイが活字を一個、下のワクからくわえ上げ、紙に打ち付けるわけです。
手前の銀色の盤が活字の入っている部分ですが、真ん中上に、
茶色い物が見えています。これが活字をくわえあげる部分です。
部分アップが下の写真です。
活字が一個入ってるのが見えますが、右のあの黒いハンドルを更に押し下げると、
この活字が更に上に跳ね上がるわけです。
この文字盤は「いろは順」です。「あいうえお順」もありました。
いろはって見えますか?下の写真の見えている活字の、一番下段の活字、
右から二番目が「い」です。その上が「ろ」ですね。
当然ですが、拾った活字が向うへ行って打たれるわけですから、
上下が逆、活字ははんこと同じですから左右も逆です。
つまり上下左右の逆な字を一字ずつ判別して、原稿どおりに打つわけです。
慣れてしまうとさかさまでも読めるのですが、最初は目がおかしくなりました。
盤の真ん中には「いろはにほへと」と「拝啓」とか「様」とか
あと数字や、住所など手紙や書類でよく使われる文字が入ります。
その両脇が、比較的よく使われる漢字、
その外が頻度の少ない漢字、更にキカイの両脇の下に、
めったに使わない漢字が入ってました。
印刷会社でしたから、いろいろなところのさまざまなものを打ちました。
みんなが嫌がったのが当時の「防衛庁」の書類でした。
もちろん「極秘」なんてのはきません。訓練用のなんとかとか、
検査報告とかそんなのなんですが、数あるクライアントの中で、
もっとも細かくてうるさいところでした。
例えば、活字というのは使っているうちに減りますので取り替えるわけです。
このとき一番厄介なのが「、」と「。」なんです。
あまりに小さいので、新しいものに取り替えたとき、
今までと同じにうつと、活字が新しいので「、」や「。」のカタチに、
紙に穴が開いてしまうのです。そこで、ちょっと力を控えて打ちます。
そうなったとき、防衛庁の「校閲」から戻ってくると、
1ページ目と2ページ目で「、」の大きさが違う…と。
点の大きさ違うと文読めないのかいっ!
もうひとつは、カタカナ。カタカナというのは字幅が狭いものがあります。
たとえば、リ・ト・ノなどは縦長でですし、「ッ・ャ・ョ」などは小さい…。
「しよーと・かつと」と
「ショート・カット」
パソコンでは、ちゃんと字間を調節してくれますが、タイプライターは、
字が大きくても小さくても8文字なら8文字分の中に入ります。
この「ショート・カット」の方を見て、
「字の間があきすぎて、同じ字面に見えない」とおっしゃるのです。
そんなときどうするか…パソコンのように調節してくれませんから手動です。
タイプライターには、一字ずつ活字をもちあげて、
僅かなピッチで移動させることができる機能がついてます。
活字を一字持ち上げては、チャカチャカと手でピッチをずらす…。
ずらした後がまたたいへんで、詰めて打った分そのあとの部分が
活字一字分くらいあいてしまうわけです。
そのあとの文章を今度はちっとずつ開いて打ち直す…。
もっとすごいのは、間違いなくうったのに、むこう様の都合で、
「ここの文章をこのように替えよ」と言ってくる、
それが例えば10文字のところを15文字にしなきゃならない、
それなら活字を小さくするか、二行にするか…ですよね。
ところが防衛庁様は、「それは変えてはならぬ」なんです。
どうしても「10字のところに15字、同じ活字で入れよ」と…。
その場合はまた全部微調整で、通常10文字のところに
15文字詰め込むわけです。ほんっと「あなろぐ~」でした。
みんなで言ってました「こんなこまっけぇこと言ってくるようなトコに、
日本の平和は守れるんだろか」って。
30年以上も昔の、OL時代の思い出…この職さえあれば、
結婚してからも家で下請けの仕事ができる…なんて思ってたのにねぇ。
結婚するころには電動タイプが出て、あっという間にワープロ、
あっという間にパソコン…あぁ昭和は遠くなりにけり。
今じゃなんっの役にも立たない技術です。
でも久しぶりに叩いてみたいなー。すんごくうるさいけど…。
写真は、よそ様から使用して良いとのことでお借りした写真です。
私が使っていたのはこのタイプ(いえ「型」のほうのタイプです)の
もう少し新しいもの、これは昭和17年のものだそうですから。
でも、基本的なところは変わっていません。周りの部品だとか素材だとかの
ちがいだけで、操作する部分はほとんど同じ…です。
ご存知ないかたのために、ちっと説明さていただきますと…、
もいちど写真を…。
正面の白い筒は「プラテン」といいまして、ここに紙を巻きつけるのです。
プラテンの真ん中下のところに、Lを逆にしたようなものが見えてますが、
そこが活字の打たれる位置です。つまり「印字ガイド」ですね。
その右下、ちょっと光ってる黒いものがハンドルで、ここを下にさげることで、
キカイが活字を一個、下のワクからくわえ上げ、紙に打ち付けるわけです。
手前の銀色の盤が活字の入っている部分ですが、真ん中上に、
茶色い物が見えています。これが活字をくわえあげる部分です。
部分アップが下の写真です。
活字が一個入ってるのが見えますが、右のあの黒いハンドルを更に押し下げると、
この活字が更に上に跳ね上がるわけです。
この文字盤は「いろは順」です。「あいうえお順」もありました。
いろはって見えますか?下の写真の見えている活字の、一番下段の活字、
右から二番目が「い」です。その上が「ろ」ですね。
当然ですが、拾った活字が向うへ行って打たれるわけですから、
上下が逆、活字ははんこと同じですから左右も逆です。
つまり上下左右の逆な字を一字ずつ判別して、原稿どおりに打つわけです。
慣れてしまうとさかさまでも読めるのですが、最初は目がおかしくなりました。
盤の真ん中には「いろはにほへと」と「拝啓」とか「様」とか
あと数字や、住所など手紙や書類でよく使われる文字が入ります。
その両脇が、比較的よく使われる漢字、
その外が頻度の少ない漢字、更にキカイの両脇の下に、
めったに使わない漢字が入ってました。
印刷会社でしたから、いろいろなところのさまざまなものを打ちました。
みんなが嫌がったのが当時の「防衛庁」の書類でした。
もちろん「極秘」なんてのはきません。訓練用のなんとかとか、
検査報告とかそんなのなんですが、数あるクライアントの中で、
もっとも細かくてうるさいところでした。
例えば、活字というのは使っているうちに減りますので取り替えるわけです。
このとき一番厄介なのが「、」と「。」なんです。
あまりに小さいので、新しいものに取り替えたとき、
今までと同じにうつと、活字が新しいので「、」や「。」のカタチに、
紙に穴が開いてしまうのです。そこで、ちょっと力を控えて打ちます。
そうなったとき、防衛庁の「校閲」から戻ってくると、
1ページ目と2ページ目で「、」の大きさが違う…と。
点の大きさ違うと文読めないのかいっ!
もうひとつは、カタカナ。カタカナというのは字幅が狭いものがあります。
たとえば、リ・ト・ノなどは縦長でですし、「ッ・ャ・ョ」などは小さい…。
「しよーと・かつと」と
「ショート・カット」
パソコンでは、ちゃんと字間を調節してくれますが、タイプライターは、
字が大きくても小さくても8文字なら8文字分の中に入ります。
この「ショート・カット」の方を見て、
「字の間があきすぎて、同じ字面に見えない」とおっしゃるのです。
そんなときどうするか…パソコンのように調節してくれませんから手動です。
タイプライターには、一字ずつ活字をもちあげて、
僅かなピッチで移動させることができる機能がついてます。
活字を一字持ち上げては、チャカチャカと手でピッチをずらす…。
ずらした後がまたたいへんで、詰めて打った分そのあとの部分が
活字一字分くらいあいてしまうわけです。
そのあとの文章を今度はちっとずつ開いて打ち直す…。
もっとすごいのは、間違いなくうったのに、むこう様の都合で、
「ここの文章をこのように替えよ」と言ってくる、
それが例えば10文字のところを15文字にしなきゃならない、
それなら活字を小さくするか、二行にするか…ですよね。
ところが防衛庁様は、「それは変えてはならぬ」なんです。
どうしても「10字のところに15字、同じ活字で入れよ」と…。
その場合はまた全部微調整で、通常10文字のところに
15文字詰め込むわけです。ほんっと「あなろぐ~」でした。
みんなで言ってました「こんなこまっけぇこと言ってくるようなトコに、
日本の平和は守れるんだろか」って。
30年以上も昔の、OL時代の思い出…この職さえあれば、
結婚してからも家で下請けの仕事ができる…なんて思ってたのにねぇ。
結婚するころには電動タイプが出て、あっという間にワープロ、
あっという間にパソコン…あぁ昭和は遠くなりにけり。
今じゃなんっの役にも立たない技術です。
でも久しぶりに叩いてみたいなー。すんごくうるさいけど…。
タイピストで いらしたんですか!
私の母は市役所でタイピスト、生涯現役!!の祖母は電話交換手だったそうです~。
防衛省…。そういう書類の「問題点」を探し出すためだけの役人がいたのでしょうね(いや。今もいるに違いない!)。
今日の記事を書いてらっしゃる間、頭の中には「タイプライター」が流れていませんでしたか?
また、こういう面白い「ちょっと内緒話」聞かせて下さい~~
授業はでなかったものの、休み時間とかに教えてもらって
打ちました。「。」を思いっきり打ちすぎて穴抜けたりとか。
あれからワープロ、パソコンと習ったマシン言語もあっという間にすたれてしまいました…。
無いなんて言いましたが、こんなに世の中
変わるなんて思わない時代の事ですね。
細かい逆さまの字の配列を覚えないと打てない
訳で到底私には無理ですけど、このタイプが
打てるなんてスゴイ技術ですね。
こういうものがあるとは聞いたことがあったのですが、ホントに活字を拾うんだぁ!(@_@)
どこに何があるのか、覚えるまでが大変そうですね。
これこそ特殊技能だと思います。
大学の授業で英文タイプライターの授業がありましたが、力がないので字が薄くなってしまい、大変だった覚えがあります。電子タイプライターならいくらかマシでしたが・・・
その頃に覚えた指づかいで、今はパソコンをカチャカチャ打ってます。お陰でそこそこ早いですよ。
お役所ってのは、妙なところにこだわる、
さみしーとこですなー。
私のナイショ話、ありまっせぇ。
調理師学校の話とか、お茶屋さんでの
バイトのハナシとか。
思うに「七色の彩り人生?」
気がおおいだけじゃー。
キーパンチャーもやりたかったんですが、
一度過程に入って、のんびり主婦に
ヒタってしまったら…でしたー。
おもしろいものですね、機械って。
よくいいましたよね「手に職つけておけ」って。
なんで和裁をやっておかなかったかと、
今更ですが思っています。
和文タイプも、もし今の年なら、
とっくに放り出してますわ。
記憶力がねぇ…。
これ、すんごくうるさいんですよ。
それでも、当時は下請けで原稿30枚とか、
そういうのをやると、普通のOLさんより、
ずっといいお金になったんですよ。
なーんにもしないうちに、スタれちゃいました。
英文タイプも少しはやったんですけどね、
「手書き原稿」が読みきれなくて挫折しました。
おかけでいまだに「ブラインドタッチ」とは
全く無縁です。
だいいち「ひらがな入力」ですし…!
パソ不調で、お返事遅れました。すみません。
和文タイプの機械、もう一度さわりたいものと思っています。
お役にたててよかったです。