ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

景色の絵本

2012-07-16 14:33:42 | 本・マンガ・絵

 

生協のパンフには、時々「本」の特集があります。

子供向けの絵本や参考書、親の世代への子育てヒント本、その他健康やダイエット本など、

多種多様なのですが、いつも目を凝らしてみるのは「絵本」…。

今回、本を開いた状態の写真が載っていまして、それに惹かれて購入…。

トップ写真は、まだ本が届いてないので、パンフからのものです。

本の紹介文には

「朝めざめて窓をあける、という何気ない日常と、窓の外に広がる当たり前の風景。

けれども、その日常の繰り返しの中にこそ、生きるよろこび、そしてたしかな希望があることを、

そっときづかせてくれる一冊です」

とありました。

こちらです。

 

  あさになったのでまどをあけますよ
クリエーター情報なし
偕成社

 

正直なところ、この年になりますと「何もない日常が、一番の幸せなのだ」ということは、

いわれなくてもしみじみ思うことです。

ここ数年の間に、母を送り、父が倒れ、大きな震災があり、そして今また豪雨被害に地震…。

巷では、見ず知らずの人間に「誰でもよかった」などと、刺されたりひき殺されたり。

道もおちおち歩けません。

今日は今「高温注意報」がテレビ画面に青く出ています。東京八王子36.7度…体温より高い…。

世界には、銃や砲弾の飛び交う国もあるのですから、まだまだ贅沢は言っちゃいけないとは思いますけれど、

穏やかに暮らす…ということが、夢になってしまうような…今はそんな時代です。

 

パンフに載っていたページの写真がこちら。

 

       

 

これを見て、ふと「船橋にいたころ」のベランダからの景色を思い出しました。

何度もお話ししておりますが、丘の先端に建つマンション7階で、景色がご馳走…と友人にも言われたところです。

毎日こんな景色を眺めていました。(無理やり並べた写真ですみません)

 

    

 

今も住んでいる友人に聞くと、市街化調整区域なので、病院施設は大きくなったけれど、

あまりかわっていない…とのことでした。

毎年今頃は、眼下の田んぼが緑一色になり、風にそよいで涼しげに見えたものです。

 

ここに住み始めたころ、息子の病気や障害が次々と判明し、毎日病院とリハビリと、障害者の施設と…

それだけが外出先で、あとはずっとこの景色の見える部屋にいました。

三ヶ月に一度は写真に見える病院に入院する息子に、夜遅くまでベランダにいて、

「もう寝ちゃった?お熱さがったかな」と、ぶづふつつぶやいていましたっけ。

ここで10年の余を暮らし、横浜に来たころには、息子も入院は減っていましたし、

私もたくましいかーちゃんになっていました。

思えば、私はこの景色に何度も何度も救われていたのだと思います。

位置的に、左が成田、右が羽田ですから、空を見ていると、

五分と待たず飛行機が右から左、左から右…と、飛んでいました。

病院に続くたった一本の道路には、車がしょっちゅうとおり、

時にはスピード違反のバイクと白バイのおっかけっこもみました。

にんじん畑の中で泥まみれでつかまってました!

夏には土曜日ごとに、どこかで花火大会があり、全部ベランダから見えました。

冬、雪でこの景色が一面真っ白になり、北海道の草原にいるようで、飽きずに眺めましたっけ。

なぜか誰ともしゃべらなくても、一人じゃないと思えたものです。

 

横浜へきて、なにより寂しかったのは、高台とはいえもう「眺め」が限られてしまったことです。

窓を開けても道路と家ばかり、わずかに東側にひろがっていた空き地も、その奥の雑木林も、

数年後にはなくなり、やがてお隣の家が建って、我が家からは雑木林の上に出る初日の出も見られなくなりました。

西側の二階からわずかに見える富士山は、電線がくもの巣みたいにジャマをします。

 

それでも…この数年「ジェットコースターのよーな人生だねー」という日々をすごしてきて、

窓を開けるとお隣の屋根が見える、お隣の裏庭が見える、

玄関を開けると、幼稚園や学校へ行くこどもたちのが見える、

それがいつも変わらない…ということが、一番なのだ…と、つくづく思うようになりました。

 

「なにげない日常」という言葉があります。

船橋のような「ごちそう」になる景色はないけれど、おしんこに味噌汁、卵焼き…の朝食のような、

当たり前で代わり映えのしない、でもほっこりする景色が毎日続きます。

高すぎて、遠すぎて、音までは届かなかった船橋とは違い、ここはヒトの声も、子供の走る音も、

ご近所にきた宅配の「んちわーす」という声も、みんな聞こえます。やっぱり一人じゃないねぇ、と思います。

見るものすべてが紅葉して真っ赤とか、目にしみるような緑とか、それもなくなってしまったけれど、

お隣のヒメシャラが芽吹いたり、花を咲かせたり、紅葉したりで、あぁもうこんな季節かぁと思います。

 

今朝も4時半に地震がありました。ここは3でしたが、親戚のある茨城は4、幸い無事でしたが、

飛び起きて、少し薄明るくなった表を見て、あぁ普通に朝を迎えたい…と思いました。

「あさになったので まどをあけますよ」…そしていつもとおんなじ景色ですよ、

その穏やかさをなくしてしまった東北や九州のかたがたが、一日も早く「いつもと同じ風景」を

見ることができるようになりますように。

この本が届いたら、何もない日常に感謝しつつ、広げてみたいと思っています。 


コメント (13)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  | トップ | 梅雨明け »
最新の画像もっと見る

13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (べにお)
2012-07-16 16:26:49
いつも楽しく拝見しています。
とんぼさんの、日本文化に対する知識の深さに、いつも感心するとともに勉強させていただいて感謝しています。

さて、今回はじめてコメントいたしましたのは、「船橋」という地名が出てきてびっくりしたからです。
もしや…千葉県の船橋でしょうか?
成田と羽田、と書かれていることからもそうではないかと思いまして。
だとすると、私の実家のすぐ近くです。
心なしか、写真の風景にも見覚えがあるような気がしまして…。

千葉はちょっと車を走らせると、今でも緑の田んぼに風がそよいでとても綺麗です。
船橋なんてローカルな場所を、こんなステキにご紹介いただいて、千葉県民として嬉しいです♪
景色がごちそう、なんて言われるのは、特に幸せだなぁ。

またお邪魔しますね。どうもありがとうございました。
返信する
こちらこそ (とんぼ)
2012-07-16 18:41:47
べにお様

はじめまして。
コメントありがとうございます。

ご推察のとおり、千葉県船橋市です。
ご実家がお近くなんて奇遇ですねぇ。
写真を写したマンションは、夏見台というところ。
写真の病院は「船橋市立医療センター」です。
息子が小6までここにおりました。
駅まで車で15分とかかりませんでしたが、マンションのまわりも、
まだまだ畑がたくさん残っていました。
最近はそのあたりは建物が建ってしまったそうですが…。
運動公園がすぐそばでしたので、桜を見に行ったりしたものです。
「緑の色」というのは、どうしてあんなにほっこりするのだろ、
ほんとに不思議に思います。
こちらへきてから、一度も行ってないのですが、
まだこのマンションに友人がいますので、時々この景色が見たくて、
たずねたくなります。

ブログ、お邪魔しました。猫ちゃん、かわいいですー。
我が家の近くにも、半ノラの黒猫さん親子がいます。
いつも、お向かいの室外機の上でお昼ねしているのですが、
最近は子猫も大きくなって、どっちが親猫さんかみわけつかなくなりました。

拙いブログですが、これからもよろしくお願いします。

返信する
やっぱり! (べにお)
2012-07-16 19:20:44
夏見台!
実家に帰る時、必ず通ります(笑)
運動公園も、子供の頃毎年泳ぎに行きました。
どはー、もしかすると、とんぼさんと子供の頃ニアミスしているかもしれませんね♪
海老川沿いの桜並木が毎年きれいでしたわ…。ああ、懐かしい!

拙ブログにもお越しいただいたようで、どうもありがとうございます。
今は窓辺の親子猫が気になって気になって仕方ありませんが、基本は着物ブログです(笑)
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
返信する
Unknown (陽花)
2012-07-16 20:10:53
昨年の東北といい今回の九州地方といい
今まで見慣れたはずの景色が根こそぎ崩れ
自分の家のあった場所や田畑まで分からなく
なるほどの自然災害を見るにつけ、本当に
当たり前に暮らせる事がどれだけ幸せかと
ことさら思います。

都会と言うとビルが立ち並んで・・と
想像しますが、写真では自然がいっぱいで
のどかな景色ですね。
返信する
自然 (akkomam)
2012-07-17 05:13:49
この頃特にそう思えるようになりました。
大森に住んでいました頃は実家に
帰るのが嬉しかったのは、
子どもたちに身近な自然を感じさせて
あげられたからですが、
今はこうして吹く風が強いとか、
坂の上りがきついとか、言ってますが、
これがあるからこその風景の恩恵も
あるわけで、冬のベランダの穏やかな
陽だまりを忘れているなんて、と、
思っています。

神奈川県と違って千葉県は平地が多く、
遠くまで景色が広がります。
今はこの暮らし方が自分には
合っているように思え、
都会から戻ってくると、
(あ~、やっぱり...)と
心が穏やかになります。

普通に暮らせる、自然がある、
一番のことと思えますね。

子ども絵本、私も大好き!!です。
この絵本、届いたら教えてくださいね。
返信する
Unknown ()
2012-07-17 17:21:17
べにおさんは とんぼさんの船橋という地名に反応し
私は自然さんの大森という地名に反応

私は単なる活字好きで 頭の中に留まることなく
いつも通り過ぎて行くだけ

絵本も大好きで 子供達にも沢山 読み聞かせたり
買い与えていましたが
先日 娘が帰宅した際に 絵本を大量に持ち帰りました。
孫用の赤ん坊用の絵本ばかりでしたが
その絵本を見せていた昔を懐かしく思い出しました。
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-07-17 19:47:08
べにお様

ニアミスの可能性大ですねぇ。
海老川沿いは、お花見に行きましたよ。
運動公園の桜もきれいですが、
海老川は「ヒトがいなくていい」…ですね。

猫さんも親がいたようですが、どうぞすこしでも
よい「未来」になりますように。
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-07-17 19:50:07
陽花様

吸収は、やっと雨がおわったのに、
今度は台風…踏んだりけったりです。
古い家でも、草ぼうぼうの庭でも、
変わらず暮らせることはありがたいですね。

船橋は「駅前のみ都会」でしたね。
駅の向こう側は、港が近いので昔ながらの商店街でしたが、

駅のこちら側は、田畑と雑木林満載でした。
景色だけは「持ってきたかった!」
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-07-17 19:54:32
akkomam様

たかいところは景色がよくて、それだけでなんか得をした気分ですね。
いつも写真を拝見して、あーこんなに緑がたくさんなんだぁと、
うらやましく思っています。
若いころは、便利がなにより…でしたが、今はやたらと、
母の田舎の風景や、船橋の風景が懐かしく恋しいのです。
年のせいですかねぇ。
それでも、なにより「穏やかな暮らし」が一番ですね。

絵本が着いたら、また書かせていただきます。
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-07-17 19:57:42
惠様

「自然」はタイトルで、akkomam様ですー。

私は子供のころの絵本をとっておけばよかったと、
今でも思います。
覚えている絵本も何冊かあるのですが、もう販売されていませんしねぇ。
子供にも買いますが、私の絵本の本棚、満杯です。
なんとかせねば…いやなんともならん…の繰り返しです。
返信する
Unknown ()
2012-07-17 22:39:04
あはっ
見た途端に 随分と洒落たお名前だなぁ・・・と
しっかり思いこんでしまいました
自然さん じゃなくて akkomam様 
粗忽な私でごめんなさい

私用に買った絵本
子供の本箱からには抜いとかないといけないかしら
返信する
Unknown ()
2012-07-19 23:36:11
今週の生協の申込みカタログにあったので
私も思わず 1 
申込みました
来週が楽しみです
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-07-20 17:21:07
惠様

ありましたでしょ!
楽しみですね。
うちは月曜日です。
返信する

コメントを投稿

本・マンガ・絵」カテゴリの最新記事