久しぶりに…「絵本」を買いました。
私は「絵本」は、まず大人が読むものだと思っています。
子供に読んでもらいたい本は選びたいですから…なぁんてナマイキなことを言ってますが、
私がずーっと好きなだけだったりもします。
今回の絵本は絵もたっぷりですが「字」もたっぷり。
「イーダ」というタイトルで、どこか南国にいそうな「おサルさん」の顔…写真ではなくてイラストです。
本編もですが、まるで写真のように見えるほとんどが「絵」です。
まぁ絵本ですからして当然ですが、描いたのはこういう科学関係の絵を多く描いている画家さんだそうです。
物語は…
イーダというおサルさんの女の子が、生まれてやっと独り立ちして…そして不慮の事故で命を落とします。
その体は湖の底深く深く落ちて運ばれて、やがて埋もれて…見つかったのは4700万年後。
つまりこれは「化石」のお話です。サブ・タイトルは「美しい化石になった小さなサルの物語」。
ドイツの真ん中にメッセルという村があります。大都市フランクフルトから近いけれど、周りは緑いっぱいの地域。
ここでいろいろな種類の化石が、たいへんいい状態で大量に出土する…という話は、
以前何かで読んでへぇぇと思っていました。世界遺産にもなっています。
いろいろな条件が揃っての奇跡だそうですが、4700万年前、今のメッセルがある場所は、
火山湖があり、底から有毒な火山ガスがブクブクと吹き出していたのだとか。
それを知らずに水を飲もうとして、吹き出すアワのガスを吸い込んだり、湖の上を飛んだりした動物は、
あっという間に命を落とし、水の中に落ちた…水の底は無酸素状態であったため、
遺骸を崩すようなものが棲息せず、その他いろいろな「保存されやすい」条件が重なった結果、
そのまま深く埋もれて、きれいな化石として残った…ということだそうです。
ガスであったため、地表に暮らすものだけでなく、その上を飛ぶものまで落ちて残ったのですね。
さて、イーダの物語は、見つかった化石とそれがあった場所、その時代のほかの動植物の化石など、
さまざまな「調査結果」をもとにして作られた物語。
つまり「こうしてイーダは化石になった」というお話しです。
イーダは生まれてしばらくは、母親や仲間と暮らし、少しずつ自分で餌を摂ったり、
木登りやジャンプを覚えて移動したり、ごく当たり前に「サル」としての暮らしを送っていたのですが、
ある日、蛇に襲われかけ、あわてて他の木の枝へ飛び移ろうとして失敗。
落下して手首を痛めます。木に登ることもままならず、イーダは危険な地表で餌を探し、身を隠し、
傷の治るのをまっていたわけですが、ある日水を飲むために水面に顔を付けたとき、
底から上がってきた毒ガスの泡がはじけた…そのままイーダは湖の底に運ばれた…というわけです。
物語はここまで、本のここから先は「なぜイーダの物語ができるくらい、いろいろわかったか」、
つまり「化石の研究」のお話です。
私は考古学なんてことは、全くわかりませんが、遺跡や発掘のお話は好きです。
今は、調査するための道具や状況も、昔より格段に進んでいます。
イーダの化石はオスロに運ばれ、いろいろな研究がなされたのだとか。
ガスであっというまに亡くなったため、胃の中には食べたものがいろいろそのまま残っていたり、
手首の変形があったり…そこから想像された物語というわけです。
細かいお話は省きますが、人類は「イーダ」以降、ずーーっとあとに出現しています。
長い長い年月の間に、どんどん枝分かれして、やがて「霊長類」という分類ができるわけですが、
この霊長類には「真猿類」と「原猿類」がある…とここまでは知ってました。
真猿は、これまた長い年月をかけて、例えば人間や人間に近いと言われるおサルさんたちになり、
原猿は…すみません、知らなかったのですが、この本によれば「キツネザル」などがそうなんですって。
イーダは真猿と原猿の両方の特徴をもっているのだそうで、まだどちらかは確定していないのだとか。
イーダが生きた時代は4700万年前、人類出現は20万年前です。
単純に「人間の祖先はおサルさんだ」と言いますが、イーダの時代から、
気の遠くなるような年月かけて、私たちはこの世にうまれたわけですね。
20万年だけでも、想像つかない長さなのに…地球上の生物は、本当に長い長い時間をかけて、
今があるのですね。それとともに、消えていったものもたくさんあるわけで、
化石も残さず絶滅したものは、想像のしようもありません。
太古の地球の、例えば今私が暮らしているこの場所は、いったいどんなだったのだろう、
水の底だったものが表に出てきたのか、もしかしたら三葉虫がたくさんいたか、
裏のドーンと下がったあたりは恐竜の巣があったかも?
この本の最初には
「ある夜のジャングルでのことです。このジャングルに、名前はありません。
名前を付ける人間がまだいなかったからです」…とあります。
今、私たちが「どこ」「だれ」「何」…と話ができるのは、言葉が生まれたからですね。
今、太古の昔のことが研究され、いろいろわかるのも、それを伝え広められるのも、
言葉、文字というものがあるからです。人類って、地球ができてから、
たいへんな長さの時間をかけて生まれた、素晴らしい生き物なのだと改めて思います。
私は、イーダのように化石になって、のちの世の人になにかを伝えることはできないと思うけれど、
かわりに言葉や文字を使って、まずは今生きている時間の中で、大切なことを
伝えていかれたらと思います。えぇつまりは「着物のあれこれ」…やっぱそこへいく…。
この本は、ちょっと年長のお子さん向きの本だと思います。
でも大人が読んでも面白いです。
この本に出てくる化石のいくつかは、オスロの博物館で実際に見ることができるのだそうです。
行くのは難しいとはおもいますが、もし行けたら「イーダ」にあって、
「楽しいお話をありがとう」と言ってみたいです。
絵本の解説で状況想像ができ楽しめました。
まず絵に惹かれましたーー読んでみたいと思います。私も絵本は大人の為にあるとおもっています。
これはこの夏のお楽しみになりそう~
とんぼさんは本当に素敵なものを見つけるのがお上手!!!
これはなかなかの本でした。
小さい子には難しいです。
太古の地球のお話、なかなか面白かったです。
他の「太古の動物」の絵もなかなかです。
一応「子供向け」なので、説明がとてもわかりやすくてよかったですよ。