ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

着物の柄

2008-09-03 15:33:25 | 着物・古布
今HPアップされている、もう一枚のとごっちゃになってしまいまして…。
共通点は「紺地の小紋」ってだけなのに、何見てるんだか…。

あららと思いながら、しげしげと眺めていました。
古典柄、といわれてしまうんでしょうねぇ。
弓矢を持つ人、おつきの人、都から少し離れた山郷に花を愛でに?
それとも「お参り」でしょうか…。
御所車の中のやんごとなき方、お姿が見たいものですね。


   


今の柄ってこういう物語のあるものって少ないですね。
一見ごちゃごちゃした柄に見えるのですが、着てみると感じは全然違います。

古い和裁本の一ページです。
タイトルは「安い費用で豪華に生まれ変わった和服」
つまり、染め替えをしたり、洋服地に刺繍などをして工夫したもの、です。


   


この本は昭和30年の本、つまり戦後5年目(あたちは5しゃい…コレコレ)、
やっと戦争あとのドタバタが少しずつ落ち着いてきたころ、
まだまだ貧しい状態ですから、このころの和裁関係の本には
できるだけお金をかけずに…という工夫がたくさん見られます。
もうひとつ特徴的なのは、戦争によって着物離れが始まった上、
あっというまに洋装が台頭してきましたから、着物も負けじと、
洋服感覚、洋装感覚の色柄や着方が、これでもかと紹介されています。

一番右の羽織とおそろいのものは「訪問着風に染めた」とあります。
紫は「近代感覚の模様」とあります。
いずれも「モダン」を意識して、はつきりした切り替えとか、
大柄をあっさりと置いた感じとか…およそ古典柄とはかけ離れています。
面白いのは、これ全部染め直しのものなんですけれど、
一番左のパッチワークみたいな着物の元の染め柄はというとこちら、


   


思いっきりの古典柄ですが、元は「七歳のお祝い着」だそうです。
そしてこちらは紫の着物の元の柄、


   


説明によれば「流行おくれのぼかし模様」…だそうです。
いかがですか?まぁモノクロですからわかりづらいですが、
なんとなくどんな着物だったかはわかりますね。
私は染め直す前の柄のほうが、よっぽどよかったと思います。
日本の呉服界、実はこの辺から「洋装」を意識しすぎて、
柄がかわっていってしまったように思います。
もちろん、全部がこうだったわけではなく、これは「本」ですから、
実際にこれを見て読者がどう思ったかは別です。
この本の別ページには、わずかに古典柄もありますが、
昔ながらの柄を使うにしても、やたら大きくしたり、デフォルメしたような
ピカソの絵のような…そんなのが多いんです。

着物の柄というものにも、流行はありますが、
洋服柄でも、タータンチェックとかドットとか、普遍のものがあるように、
着物の柄にも昔からのまま変わらない柄もあります。
そういう柄のなかに、トップの写真のような古典柄も残してほしいですね。
洋装に影響されたことは、負の部分もあると、私は思っていますが、
どうせなら、それもプラスにして「なんでもあり」にしたらお得でしょー。
何かが広がると何かがなくなる、のではなく、
いろんなチョイスができるように、古典柄もしっかりあってほしいと思います。

さて、これはいつアップになることやら…。すんません…。



      


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2008-09-03 21:11:56
古典柄はいいですね。
沢山反物を見ていても、やはり古典柄に
目が行きます。洋柄がダメって訳では
ないですが、飽きがこないのが一番いいと
つい思ってしまいます。
返信する
おはようございます^^ (えみこ)
2008-09-04 04:37:05
イラストに着色した感じですから
どちらかといえば、イラストを描いた作者の意図が
大きく出ている感じがしますね。
当時でも古典柄が多かったと思います。
なんとなく、洋装というよりかは
踊りの衣装に通じる大胆さ^^;ほんとにこれを着ることが
できたのかしらと思いました。
自分も古典柄のほうが好きです。
返信する
苦労が忍ばれますね (てまりばな)
2008-09-04 16:18:11
いろいろと模索していた時代なのでしょうね。
流れを読み切れず、
変な方向にいっているような気がしますが(笑)。

私も古典柄が大好きです♪
返信する
追伸 (てまりばな)
2008-09-04 16:18:45
リンクさせていただきました。
ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします!
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-09-04 20:25:48
陽花様
私もどうしても「着物らしい柄」が好きです。
安心できるんですよね。
華やかな古典柄を若い方に
着ていただきたいですね。


えみこ様
これはイラストじゃないんですよ。
この時代の写真技術ってこんなもんなんです。
つまり、これ実物ってことです。
モダンをめざしたんでしょうけれど、
いまでいうなら「ケバい」ですよねぇ。
いただいても着ない…ですね、たぶん。


てまりばな様
売れなくなってなんとかしよう、という
努力は認めたいと思うのですが、
新しいものの模索の方向が違ったような
気がしています。難しいことですね。

リンク、ありがとうございました。
私もさせていただきます。
返信する

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