
お片付けのおかげで、主人の部屋の収納に突っ込んであった古いふとんや毛布など、
やっと整理が付きました。(そこだけですが)
そして一番てっぺんの棚の、更に一番奥からでてきたのが息子に使っていた「古い布おむつ」だったわけです。
もちろんきれいに洗って、しかももう用がなくなっていたというのに、ちゃんと二枚ずつ組んで…。
いくら物持ちがいいからって…と、お思いでしょう。私だってそう思いますよぉ。
実はこれ、横浜に来ることが決まって、船橋で少しずつ荷物の片づけを始めていたころ、
もう20年近く前のことですね。手伝いに来てくれていた母に「それ、とっといてんか」と言われたのです。
私は自分自身が「用がなくなったのに、なんでこう何でもとっとくんだろ」と、あきれていたので、
そんなことを言われて「今更何するの?」と聞いたら、母は「いずれウチが使うかもしれへんから」と答えました。
ギョッとしたのですが、要するに年をとって寝たきりになったら…です。
思わず「何言ってんのよ」と言いましたが、母は真面目ながらも半分笑い顔で
「誰かてどんな死に方するか、神様しか知らへんことやしなぁ。おむつの世話になるやもしれへんし」と言いました。
当時も確かに大人用紙おむつはありましたけれど、今ほど種類もなく、結構高かったです。
情報も少なかったし、当時まだ母も元気でしたから、福祉だの介護だのの話は遠いことのように思っていました。
それでも、母は当時70を少し過ぎていましたし、準備のいい人でしたからいろいろ考えていたのでしょう。
さりげなくそんなことを言われて、私は「親の老い」というものが、いきなり一歩ぐいっと近づいた気がして、
ちょっとあわてましたっけ。
言われて捨てる気になれなくなり、そのまま、ポリ袋に詰め込まれて…息子のおむつはここへ来たのです。
引っ越してきたとき片づけを手伝ってくれた母が「これはこっちにもらう」と言って持って行ったのですが、
結局使われないまま、母の葬儀のあとみつけて袋ごと持ち帰り、押し込んでおいたわけです。
切ないやりとりの15年ほどあとに、母は人生最期の準備に入ってしまいました。
ただ、できる限り自分で…と、亡くなる少し前まで、ポータブルトイレにしがみつくようにして、
おむつを使わずに頑張ってました。
そして、さすがに寝付いてからは、すでにあれこれサイズもでまわっていた紙おむつを使いましたので、
ポリ袋のなかのおむつは、一度も日の目を見ることはなかったわけです。
大きなおなかで母と買いに行った青いワンちゃん柄です。せっせと縫いましたっけ。
ちゃんと組まれたものを一枚ずつ広げて重ね直しました。
使い込まれて晒しのものもやわやわです。枚数70枚以上あります。
これにはちとわけがありまして、息子は今は紙おむつですが、4歳半くらいまで布を使っていました。
息子が生まれたのは昭和59年ですが、当時は紙おむつも出始めのころで、
パンパースが主流、産院を退院するとき、粉ミルクの小さな缶とパンパース新生児用が二つだったか、
それをおみやげ、いや退院記念にもらいました。もったいなくて使えなかった…。
私は子供ができたら、毎日ベランダで真っ白なおむつをいっぱい干して、
風にひらひらなびかせて乾かすのが夢でした。
夢は6年目にかないましたが、かないすぎて、ずーーっとおむつの洗濯…。
最初はどうしても紙おむつを使う気になれず、4歳半まで布を使いましたが、
途中で体も大きくなるし、排せつ量も増えます。
ずらして折っても足りず、結局新たにおむつ地を買い直し、少し長いサイズに作りました。だから枚数が多いのです。
ところが今度はおむつカバーのサイズが…になりました。手作りするにも「完全防水」はどしたらよかろ。
と思っていたら、当時お世話になっていた病院の婦長さんが、
「とんぼさんが頑張ってるのもよくわかるし、ほんとは布の方が赤ちゃんには優しい。
だけど、子とんぼくんの体は大きくなるし、リハビリや通院や、そのたもろもろ、
おかあさんのやることがどんどん増えてる。本人ももう肌が弱くてかぶれるということもないだろうから、
手を抜けるところは手を抜きなさい。毎日おむつを洗って干して、たたんでセットして…の
その時間を、別のことに使いなさい」と言ってくれました。
まだあのころは「紙おむつ」を使うことに対して「紙はよくない」「親の手抜き」「ぜいたく」「もったいない」、
そんな気風が結構ありました。でも婦長さんにそういわれて「あぁそうか」と、肩の力が抜けました。
紙おむつに替えて、ほんっとうにラクになったと実感したものです。
それでも捨てがたくて、まぁなんかあって紙おむつが手に入らなかったときのために…なんて、
防災用品のつもりで、全部きれいに洗い、たたんで二枚ずつセットし…それでとっておいた、というわけです。
実際、私は今でも「健康な子なら布がいい」と思っています。
病気や障害で長く使わねばならないときは、負担軽減に逆に使うべきだと思いますが、
そうでないなら、おむつなんて数年で使わなくなるものですから。
一番使う時期でも、一日に20枚くらい?子育ては大変です、忙しいです。
それでも、今はバケツにつけて予洗いができるし、どうせ洗うのは洗濯機です。
そのあとで、自分たちの服や下着を洗う…という手間はかかりますが、
ほんの数年のしんぼう。そうすることが子育ての実感だなどとは言いませんが、
夜泣きで寝られなくても、たくさんのおむつと格闘しても、あとになったら
笑ったり懐かしがる思い出になります。
そんなこと言ったって「働くお母さんは忙しいのよ」と、友人に一蹴されました。
そうなんだろうねぇ…私はずっと専業主婦だったからねぇ…そう思うと、若い友人や、友人の娘さんに
「布の方がいいよ」とは、言えずにいます。
こんなものもありました。これ、私が縫ったものではありません。
母は、年取って寝たきりになったら、できるだけ世話をしてくれる人の手間を減らす…と、
折に触れて言ってまして、例えば下着(メリヤスのシャツなど)は、袖や衿の飾りなどを切り落とし、
四角い状況にして重ねてとってありました。
要するにいまなら「おしりふき」や「オネショパッド」のかわりです。
使ったらそのまま捨てればいいから、と。なんだかねぇ「姥捨て山に行く母親」を連想しましてね。
準備がいいにもほどがある…と、切なくも腹立たしい思いをしたものです。
そんな母でしたから、大量に孫のおむつはもらっても、尚節約…で、
晒しのハギレと、このつぎあてはどう見ても「木綿着物の肩裏」か「うそつきの肩の部分」です。
古くなったそういうものをつなぎ合わせて、おむつに作ったのでしょう。
わずかな年月の間に、紙おむつも、おしりふきもオネショ用シーツも、いろんないいものが出ました。
経済的な補助もでるようになり、準備は「その日」からでもできるようになりました。
でも今になって「母は、布おむつを使ってほしかったかもしれないなぁ」などと、思ったりしています。
これだけ残っているもの、さてどうしたものかと悩みます。
元がおむつですから、たとえぞうきんにしても、人様に差し上げるのは気が引けます。
我が家用に縫ったら、一生分のぞうきんができますなぁ…。
晒しのものとドビー織のものと、二種類あります。
自分が使う分においては気になりませんから、使い込んでやわやわになって、
肌触りも水の吸収もいいこれを、つなぎ合わせて肌じゅばんにするか…なんて思っています。
昔は着古したヨレヨレの浴衣がおむつにはぴったりでしたが、こうなったらその逆もありだわ…。
自分の「最期」のために、これを捨てさせなかった、私はその母の娘ですから、
このまま捨てるようなことはできない…と思っています。がんばるぞっ…おかーちゃん。
湯文字とか、例のパンツ、とかにも。
裾よけとなると、ちょっと頼りなさそうですが。
布オムツも、まだ使っている人もいるようです。
紙と併用らしいですが。紙をどういうときに使うかは、ご家族によって違うみたいで、夜とかお出掛けのときとか、聞きました。
母も寝間着やおむつはここに入れてるからと
元気な頃にそんな風に言って見せてくれました。
姉も母に似たのか入院した時の為にとパジャマや
肌着など入院グッズを準備しているとの事。
やっぱり傍の者が困らないように準備は必要なんだと
分かっているのですが、準備すると本当になりそうで
気になりながらできていません。
他の方はどうされているのか気になります。
真っ先に「あのパンツ」を考えました。
素材的には大きさも柔らかさもぴったりなんですが、
青いワンちゃんってのが…見せるもんじゃないからいいか、ですね。
白いドビーのもあるので、まずそれから…ですかね。
私も併用の時期がありました。
やはり外出の時、息子の体が大きくなって、
荷物が重くなりましたし、使用済みをトイレのゴミ箱に
捨てられるので、荷物が減っていきますし。
ネットでは「布」を推奨するサイトもまだまだあります。
無くなってほしくないと思いますねぇ。
ゆかたが着られるようになりましたが、
着倒すまで着ないから、おむつにいい…なんてことには
ならないでしょうけれど…。
昔々のおむつの洗濯物は、いろんな柄があったなぁなんて
思い出しました。
そうですよね。母も「入院グッズ」もそろえてました。
ただ、最近の病院は「何にもいりません」なんて言われる…。
息子がお世話になってる大学病院は、パジャマも女性はピンクと白、
男性はブルーと白の細い縞模様のものが準備されてます。
監獄ルックかと思っちゃいました。
まぁ自分のものを着てもいいのですけれど。
父のお世話になった病院も、タオルもいりませんって。
便利になった…のでしょうけれど、味気ない気もします。
私も入院グッズはちゃんと揃えていません。
やっぱり元気だとつい…もありますね。
防災系は、やたらやってるのに…。
ただ、メモは用意して「○○は何番目の引き出し」とか、
そういうことは、書いてあります。
下着などは必要でしょうから。
あと貴重品の保管場所とか、
支払系はほとんと振り込みですが、新聞は集金なので、
いつごろ○○が来る、××円支払う、とか…。
もしかの時は、それを見よ、ですね。
昔はいまのように便利ではなかったから、
万が一、が切実だったのでしょうね。
「備えあれば」ですね。
以前に背中の紋かくしに背守りを…でコメントさせて頂いたきのこです。
いつも、とんぼさんみたいに日常を大切に生活出来たらなと拝見させて頂いてます。
私も25才になる娘が使ったオムツ取ってありますよ。あのころは紙と布が併用でしたよね。
お家では布。お出かけは紙でした。
なんだかあの小さなお尻を包んでいたオムツが愛しくて大事に取ってあります。
でも、きっとオムツとして使う事は無いのですよね。
我が家には年老いた猫が4匹。
先日、一匹は病気で手術しました。
サークルの中でおトイレです。
(普段からおトイレはペットシートなんです
他の子達もおそそうする時もきっと来るはず。
人様には使う機会がなくても家のにゃんこ達に使えそうだわとまだ取っておくことにしました。
病院での布オムツはなくなりましたね。
看護師をしていますが廃棄しやすさ、衛生管理の点からもオムツを使わせてもらってます。
でも、ご自分の「いつかその日」を考えてご準備されている方もいるのですね。お仕着せの寝間着や衛生品ではなくて、出来る限りご自身のご準備されたものも使って差し上げたいな…なんて思いました。
コメントありがとうございます。
そうそう、かわいいお尻を包んでいたかと思うと…って、
そういう思い、ありますね。
他にも気に入ってたロンパースなんかもとってあったりします。
紙と併用してましたね。外出にはありがたかったです。
いまよりずっと割高だったけど。
にゃんこさん、大切になさっているのですね。
私も昔にゃんこもワンちゃんも一緒に暮らしたことがあります。
子供とはまた別のかわいさですよね。
なるほどおむつの使い道、こんなところにありましたか。
母の年代の人たちは、モノを無駄にしませんでしたから、
なにかというと「いつか何かに」と、とっておいてました。
病院も、息子のことで長らくお世話になっていますが、
衛生管理や、手間などから、新しいもの便利なものに
移行するのは、
安全安心の基礎でもあります。
それはそれで、いいことなのだと思いますが、おっしゃる通り、
「その方の気持ち」というものも、大切にしたいものですね。
きのこ様の優しいお心に感謝します。
アレルギーがあったので布おしめでした。
医師は紙を化学処理している
物質のうちの何かが合わないようだと
言っていました。
そのまま下の子にも使いましたが
やはり薄くなってくるので
かなり買い換えました。
あまり使っていないおしめは惜しくて
ヤフオクで売りましたが
結構欲しい人がいるようです。
金銭はともかくおしめとして
使ってくれる人に渡せて
何だかほっとしました。
遅くなってすみません。
今でもまだ布がいいという方や、アレルギーなどで、
つかわなければならないかた、いらっしゃるのですね。
何に使うにしても、こんなに柔らかくて吸収がいいもの、
捨てるなんてもったいないです。
使ってくださる方がいて、ほんとによかったですね。
お返事遅れてすみません。
母がなくなって5年目に入っていますが、
今更ながらに、母の生き方はすごかったと、
そんなことを何かにつけ、思い出しています。
とてものことに追いつけないライバルではありますが、
私もできることはやっていこう…
そんな気持ちです。がんばりまっす。