ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

着物、楽しく着ましょ

2006-05-07 14:39:47 | 着物・古布

写真は、最近入手の羽織、残念ながら全体に薄汚れた感じ・・。
洗ってもスッキリしないタイプの「くすみ」です。きれいな柄なんですが。
で、近くで見ると、こんなふうに、鶴の色やそれぞれの形や向きなど
はっきり見えて面白いのですが、実際着用してみると・・・こんなです。



すみません、スタンドハンガーのコートの上に掛けた上、
玄関先という場所・・ティッシュ5箱入りが置いてある・・主婦もしてますんで。
で、どうでしょうか、なんかごちゃごちゃしてる、もっと離れると
鶴がわからなくて、ただ黒地にいろんな色がくちゃくちゃっと
飛ばしてあるように見えます。これってジミですか?ハデですか?
1枚目の写真だけ見て、羽織です、って言ったとしたら色からいけば
「ちょっとハデ系」な感じです。でも「鶴」の大きさがわかる2枚目だと
そんなにハデじゃない、これ、6~7メートルくらい離れると
「目のいい人ならしばらく見てて、あぁ鳥か・・とわかる」という感じです。
フシギな柄です。

何でこの写真をだしたかというと、着物を色柄を選ぶということについて
お話しようと思いまして。着付けのお話もあとで致しますので・・。

似合う着物の選び方がわからない・・と聞くことがあります。
確かに洋服と同じように選ぶと失敗することがあります。
それは何度も言うように、着物は面積が大きくて平面的なので、
たとえば、ブラウスの柄だったら、白いスカート合わせてかわいくなる、
というような柄が、着物になるとただうるさい柄になったりするわけです。
色も、面積が大きい分、濃い色だと重く見えたりジミにみえたり。
着物の色柄を選ぶのに、これならゼッタイ安心ということはありません。
ある程度の目安はあります。その辺は洋服と似ています。
たとえば小柄な人が、大きな柄がポンポンと飛んでいるものはやめたほうがいい、
太ったヒトが膨張色はやめたほうがいい、
やせたヒトが細い縞柄を着ると、よけいひょろひょろ見える・・とか
でも結局は、それも目安にすぎません。ヒトはひとりひとりの体格も違うし、
顔つき、というのもあります。ちなみにとんぼは「童顔系」です。
それとその人の持つ雰囲気、ほんとーの性格はともかくとして?です。
結局は洋服と同じで、自分をよく知ること、になってしまうのですが・・。
これじゃアドバイスにもなりませんので、別の角度からコツ程度のことを・・。
最初に書きましたように、着物は面積が広いということを忘れないでください。
着たとき出るのは首から上と、手首から先だけです。
もうひとつは、最初の羽織のように「近くで見るとこうだとけど・・」
という色柄、30センチ四方で見ているのと、ちょっと離れてみたのとで、
ぜんぜんイメージがちがってしまう場合があります。
地の色が濃いものはとくにそうです。近くで見ていると「柄の色」ばかりに
目がいくのですが、少し離れると「地色」が前にでてくるタイプ。
ですから、まず手にのせて、それからちょっとひろげて少し離れて見てください。
縞模様なども要注意、私は白地にブルーグレーと臙脂の縞模様の着物を
もっていますが、すぐそばで見れば3色縞なのに、少し離れると「白と臙脂」の
縞柄に見えます。つまり「赤系」が勝ってしまうんです。

この前コメントで「明度・彩度」というお話がでていました。
おっしゃるとおりで、昔の華やかな着物と今の華やかな着物、
あきらかにそういう違いがあります。着物しか着なかった時代には、
ヒトはみなそのときの流行は踏まえながらも「日本人」に会う色、明度、彩度、
というものを自然に選んでいたわけです。しかし、洋装文化になって
デザイン・スタイル・・というものが加わり、色使いや柄そのものも
着物では使わないものがあふれてきて、結局日本人に合う着物の色柄、
というものがわからなくなった・・というより、使わなくなった・・ですね。
「着物はこれがいいんですよ」と言っても、選ぶ側が洋服の色柄を好む・・
ということは呉服屋さんから聞いたのですが・・。
まぁそんなこんなで、着物を選ぶのが難しくなっているわけですが、
「明度・彩度」といってもカラーチャート持って歩くわけにも行かないし、
いちいち「これは明度何度だろう」なんてわからないし・・、
結局はこれって「経験」なんですね。つまり「たくさん見ること」、
体にあててみて、少しはなれて鏡で見てみる、これの繰り返しですね。
そうそう、とんぼは洋服の場合「紺」や「青」系が似合いません。青ならいっそ
トルコブルーとかピーコックブルーとか、紺に至っては、
よくも学生時代ヘーキでセーラー服着てたもんだ・・と思うくらい似合いません。
でも、着物だとこれがイケるんです。紺地の紅型、紺地のお召し、紺紬、
フシギなものです。たぶんデザインというものが関わってくると思いますが・・。
そういうこともありますから、私は何色ダメ、と決め付けないで
洋服で着ない色もあててみるといいと思います。新発見もアリ!です。

さて、着付けについて、ですが、とんぼは着付け教室をするつもりはありません。
着付け、というより「着かた」のお話です。
以前にもかきましたが(とんぼはいつもこうで、すみません)、
日本人が、戦後のドサクサと、わっせわっせがんばれがんばれの時代を
怒涛のようにすごしている間に、着物は忘れられ、家庭で伝えるということが
難しくなりました。それで「着付け教室」に行くようになるわけですが、
ここで教えること、まずは「着物の着方」ですね。
そもそも着物を着るってのは・・



これだけのことなんですね。
「それがむずかしいのよ!」と叱られそうですが、でもホントのことです。
こういう風にするのに、いくつかの決まりごとといくつかの「コツ」がある、
というわけです。それを教えてくれるのが「着付け教室」です。

今、着付けは「○○流」とか「何々方式」という形で、その教室の方針で
「こうやって着ます」というふうに教えています。
私は母に着付けを習いました。母は祖母に習いました。
つまり私の流派は「我が家流」です。厳密に言うと、私は母に習ったけれど、
長く着るうちに「母はこういってたけど、こうしたほうがラクだわ」とか
「私の体型だとこうよね」とか、自分で着易いように変えたところもあります。
つまり、今は「とんぼ流」の着方をしています。母もおそらく同じでしょう。
着物の着方なんて基本は同じだけど、あとは自分流でいいと思うのです。
昔は誰もが「自分流」だったのですから。

着物の着方には、守るべきルールや原則はいろいろあります。
当然ですが「右前」にするとか、おはしょりの長さとか、
昨日書いた左脇を合わせるとか・・そういうことは、変わらないわけです。
でも、ここで何センチ揚げるとか、重ねるとか、おはしょりの始末の方法とか、
どこで紐を結ぶとか・・・そのへんは、お好みでいいはずです。

着付け教室は、本来の「基本」、つまり、襦袢を着て、着物を着て、
おはしょりを作って、帯を締める、ということを教えることと、もうひとつは
「自分流を探しなさい」ということを教えてほしいと思います。
元々着物は、それ自体があいまいなものです。
四角い大きな長方形の布をまっすぐつなぎ合わせただけのものを、
デコボコした体に、まといつけて着るのです。合わせるべきところや方向、寸法
締めるべき場所と押さえどころ、それさえわかれば、あとは紐を何本使おうが
道具を使おうが、帯を前で締めて後ろへまわそうが(しょっちゅうやってます)
それは自由であるべきだと思います。
私のように、たまたま着物を着る親に育てられた者は、教えられて、
そのあと「自分流」を探す・・ということを当たり前にやってきました。
みなさんも、着られるようになったら、まず「ここは変えられない」、
というルールを覚えてください、そのあとは「そうでなければならない」と
思い込まずに、自分流を探してほしいと思います。


ここ数日、なんかカタかったですねぇ。
明日はちーっと肩のチカラを抜いていきましょう。
えっ?誰も肩にリキはいってない?あたしだけかいっ!?

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7 コメント

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コメントありがとうございました。 (Fujipi)
2006-05-10 09:01:35
拙ブログにコメントいただきありがとうございます。



 母がなんであんなことを言ったのか、謎です。部屋が暗かったから?もうそろそろ目が悪くなってきていますので良く見えなかったのかもしれません。



 とんぼさんのコメントを頂いて早速着て出かける勇気が湧きました!
返信する
やりましたねっ (とんぼ)
2006-05-10 01:47:36
Fujipi様

自分でやれれば一番です。

それと、Fujipiさんのとみろへお邪魔して、

コメント書いてきました。

いくらなんでも60.70はないと思います。

かえってお母様のほうが洋服感覚じゃないでしょうか

あっ、こんなこと言ったら失礼ですけど。

イマドキのおばあちゃんたちって洋服はけっこう

きれいな色着ますでしょ。

あとは、モニターでちゃんと色がでてないって

心配もありますが、少なくとも「紺系」には

みえませんでしたし・・・。
返信する
Unknown (Fujipi)
2006-05-09 09:08:35
とんぼさま



 拙ブログに訪問いただいてから間が空いてしまいました。今日やっとお邪魔したら毎日記事が更新されていてまとめ読みしているところです。



 「これを読んでいる若い人」←には入れないですが、「初心者」として参加させていただきます。



 先日やっと2月にリサイクルで買った着物の「裄だし」をしました。とんぼさんのおっしゃるとおりに身幅と丈は着るときに調節できるのですが裄だけは直さないと着られません。私は今までリサイクルでしか買ったことがないのですが、「裄」で買えないことが多いです。



 それと、今回の着物の色と柄のお話ですが、直そうと置いてあった↑の着物を見て母が

「まぁ~こんなの私でも着ないわよ~」というのです

「60歳、70歳の人が着るような色」なんですって。私の感覚では「明るく派手」なんですけど、洋服の感覚が染み付いてしまっているのでしょうね・・・・



 ブログにも写真載せたのでよろしければ見て感想などいただけませんか?
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-05-07 23:04:51
陽花様

補正のいらない体になってぅん年・・

あ~タオルが何本のって、言ってたのにぃ・・。

最近じゃ、ちっと補正しすぎ体型??やせよ・・。



うまこ様

地域によって、先生によっていろいろだと思いますが

左脇を合わせるというのは、左脇線がズレると、

着た時、着物がねじれる形になる・・です。

おくみ線で合わせるというのは、普段着というのは

それをきてパッパと動く、歩く、と想定して、

のことだと思います。理にかなっていると思います。

実は3センチも5センチも変わるわけじゃないわけで

ほんの1センチが動きやすいとか着づらいとかに

なるんですね。おおざっぱなものでありながら、

そのへんはデリケートでもあります。

それこそ自分にあってればいいんです。

約束事、決まり事といっても、厳守する理由は

厳密にいえば、人に不快感を与えないように、

というのが一番大事なことですから。





返信する
↑あ、もちろん (うまこ)
2006-05-07 22:45:54
垂れ物の時は深く合わせて

普段着は浅く合わせるんです。
返信する
 (うまこ)
2006-05-07 22:40:30
好きな色と似合う色と違うんですよね・・・

自分で良いと思っても、着て撮った写真を見ると・・・ええっ!?となることが・・・

あこがれる職業と得意な仕事と

へただけどやってて楽しい仕事が一致しないのと似ているかも。

体型も顔つきも好みも変わってきているし、

まわりの風景も、ことによると気候までもが

変わってきているし。

色の選択は本当に難しいです。

十人十色とは良く言ったものです。



それにしても、左脇の線を合わせる話は

初めて聞きました。

私が習ったのは前の線(おくみの)を、

普段着と垂れ物では変えるという話。

つまり前合わせを深くか浅くか、というものです。

両方合わせようとすると

着物がよほど合ってないと無理ですよね。



尾張はお江戸と京の間なので、

私は適当に間合いを取ることにします。
返信する
Unknown (陽花)
2006-05-07 21:21:03
着物はボイン、キュッじゃなくて

ずんどう型のほうがいいんですよ~。

だから着物を着るときは補正をして

ずんどうにしてから着るといいと思いま~す。

補正をするところは人それぞれですから

自分流でね。
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