ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

鬼さんこちら…

2012-02-03 17:41:38 | つれづれ

 

明日は「立春」、ようやくここまできたか…と、今年は特に思います。

春よこ~~いですねぇ。

トップ写真は、以前も出しましたが「大津絵」の中の右側「鬼の寒念仏」。

 

みなさん「鬼」というと、どんなものを思い出されますか?

だいたい「鬼」は、昔話に出てくる「恐ろしげな顔つきで、アタマには角が生えていて、牙があって、

金棒なんかをブンブン振り回して、人間を追いかけて乱暴狼藉を働くマッチョマン」…(それでいいのか…)。

この「定番の鬼」は、仏教思想やら、曼荼羅絵やら、様々なものが入り混じって生まれたもので、

現代人である私らには「桃太郎」や「一寸法師」というお話し絵本で「すりこみ」されていますね。

もちろん、それもマチガイではありません。「ひとつの鬼の形」ではあるわけです。

では本来「鬼」ってなに?

 

こういうお話は、あまりに昔過ぎるのと、経緯が複雑になっているのとで「確証」はありません。

「~といわれている」とか「~という説が有力」とか、そのへんです。

で、その「言われている」お話しで「鬼」は「隠(おん)」が語源、という説があります。

「隠」とは文字通り「隠れているもの」、つまり姿の見えないもののこと全て。

今の時代では考えられないことですが、自然現象でさえ何も原因がわからなかった大昔、

「見えない怖いもの」が今よりずっと多くありました。見えないということは「わからない」と言うことでもあります。

いまや小学生でも「日食」の起こる原因なんて知ってますから、日食も珍しがっても驚きゃしません。

でも、何も知識がない状況で、突然太陽が欠けはじめたら、そりゃ怖いですよね。

なぜ秋になると台風が来るのか、なぜ地震が起きるのか、原因が何もわからないころは、

「わからないから怖い」ということもたくさんあったわけです。

日照り、大雨、病気、怪我…こわいものは数え上げればキリがありません。

 

また照明の手段がほとんどなかった時代は、何も見えない「暗闇」もまた恐ろしいもの。

そこには「魔」というものが潜むとされていました。

さて今度は「魔」…「魔」ってなんでしょう。仏教で言うと「修行の妨げになるもの」、です。

仏教で悟りを開くというのはタイヘンな精進ですから、それを邪魔しようとするものは「とんでもない悪者」です。

ここでまたややこしいことに、日本では「神」と「仏」と両方受け入れていましたから、

神様の方で言うと「魔」というのは、神様に敵対するものです。

まぁどっちにしても「わるいもの」…という位置づけですね。

人にとっての魔は、生きていくうえで災いをなす恐ろしいものです。今でも「病魔」などといいますね。

 

もうひとつ怖いものに「幽霊」があります。

まぁほぼ人間の形をしていますから、魔物化け物の類ではないけれど、人にとり憑いたり、とり殺したり…、

幽霊は「霊」、これは亡くなった人の魂、といわれています。

「魂」と言う字、「鬼」という字がはいってますね。なんで?

鬼という字を「部首」でわけると「鬼繞(きにょう)」と言います。「繞」はたとえば「しんにゅう」なんてのがありますね。

にゅうといいますが「しんにょう」とも言います。左からから右下に流れる部首のことです。

で「云」にこの「きにょう」で「たましい」…「云」は「いう」と読まれますが、この場合は話す方のことではなく、

元々は天上にある、なんといいますか気とか流れとか…そういうもの。

「天上にあって、水の流れを作りふりまくもの」だから「雲」…です。

「魂」は、人の体を離れ、天上に浮遊する姿かたちのないもの…

対して、この世に残った「抜け殻」の骨の方を「「魄(はく)」と言います。

怪談などで「魂魄この世にとどまりて、七代先までも祟ってくれようぞ」なんて時の「魂魄」、

つまり、体をなくして霊となった部分も、もう命を持たない骨の方も、この世に残ってうらんでやるぞ、ですね。こわっ!

 

なんで鬼の話が幽霊に…

実は元々中国で「鬼」というのは「幽霊」のことでしたが、これが日本に伝わってきて、

日本古来の「恐ろしいもの」と、これまたごちゃ混ぜになってきたわけですね。ほんまにややこしいです。

日本と言う国は、実におおらかで、もともとの神道も捨てることなく、仏教も信心し、

神社の中に寺を立てたり、仏像に神様がついていたり…。

おかげさまで、鬼も魔物も幽霊も…なんかみーんな「怖いもの」になりました。

要するに「怖い」のは「人」を超えているから。

ヒトにはない力や技術や能力を持っているから怖いのです。

それを悪いほうに使われることの方が多いから、病気も天災も「魔」であり「鬼」になる…。

逆に、それをいいほうに使ってくれるものは「鬼」であっても「鬼神」といいますね。

「魔除け」の「鬼瓦」なんて、眼に見える「ありがたい鬼」です。

「鬼子母神」なんてのもそうですね。元々は夜叉の娘。「夜叉」というのも仏教でいうところの「鬼神」。

その娘であるところのカリテイモ(すみません、字、覚えてません)は、子沢山で子煩悩。

ところが残虐で人の子供をとって食べる…これをオシャカ様がご覧になって、カリテイモの子供を一人隠すことで、

彼女に「子を亡くす親の悲しみ」を教え、それを悟ったカリテイモはそののち「子供と母を守る神」となった…。

これまた「鬼神」です。

 

というわけで節分は鬼払いの豆まき~と言っていますが、

この場合の鬼は「人に害をなすすべてのわるいもの」ということなのでしょう。

今夜は我が家もちょびっと豆まきします。実家にも昼間のうちにまいてきました。

去年と同じ「三角まめ」さんです。「追い出すつもりはないから、守り鬼さん、よろしくね」と、

玄関にひとつ置いてきました。

 

   

 

今夜は恵方巻きと豆まきと、どちら様もよい「春」をお迎え下さい。

で…こんなおまけを…

 

「節分・出勤準備中」

 

     

     

 ウソです…。 


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4 コメント

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Unknown (陽花)
2012-02-03 22:00:13
恵方巻は食べたけど豆まきはうっかり
忘れる所でした。
読んでる途中で慌てて鬼は外と撒きました。

今日は川が氷っていました。
今年は本当に厳しい寒さですね。
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顎がね~(^▽^;) (えみこ)
2012-02-04 09:14:45
…顎関節症が、もとからあって
寒い時期は、ぶり返しまして。
…太巻き(恵方巻)スルーです。(笑)
食べられるものを撒くのもどうかと
豆まきもなし。その分、被災地の方々へ
福よ届けとねがいます。鬼は解釈がひろいですね~。
嘆き悲しみに耐えられなくなって「鬼」と化す人間…。なんてのもあると、ちょっとかなしくなる節分です。

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Unknown (とんぼ)
2012-02-04 20:36:43
陽花様

昔はどこのうちからも、鬼はー外ぉ、と、
聞こえたものですが、今は静かなもんです。
私も玄関先にはそーっとチマッと撒きました。

毎朝、オモテのバケツに氷が張ります。
昨夜うっかりひとつ鉢植えを
玄関にいれるのを忘れてしまって、
一晩で傷んでしまいました。
ほんとにあんまりな寒さです。
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Unknown (とんぼ)
2012-02-04 20:39:27
えみこ様

顎関節症はつらいですね。
イトコが時々「あわわわ」ってやってました。
私も先日歯茎が腫れたとき、あごが開かなかったんです。
不便ですね。どうお大事に。

妖怪よりも、幽霊よりも、生きた人間が一番こわいですよ。
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