ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

ワハハ?・・・の半衿

2006-01-17 20:42:37 | 着物・古布

半衿です。題がついてました。「鬼の洗濯」・・・。
通常は「鬼のいぬ間の洗濯」ですが、これは鬼が洗濯してます。
そりゃまぁねぇ、鬼だって着たきりすずめってわけにいかんでしょうから、
洗濯くらいしなくちゃとは思うんですが・・実に楽しそうにやってまっせ。
定番「トラのしましまぱんつ」はもちろん、シャレた大柄の着物に靴下、
ツギのあたった褌、ワンポイント柄のTシャツ・・鬼もなかなかオシャレさん!?

この半衿を、今の着物の着方で実際に使うと向かって左はかろうじて
「とうちゃん赤鬼」が洗濯しているところが、右は「かあちゃんオレンジ鬼」が、
僅かずつしかでません。昔風の着方で、少しゆったりと多めに出しても、
一番上でステテコといっしょに楽しそうにぶらさがってる「子鬼」や、
一番下で手押し車に洗濯ものを乗せて運んでいる「お手伝いカエル」の姿は
どうやっても見えません。それでも・・いいんですねぇ。

元々、日本の着物文化は「みえないところも手を抜かない」文化です。
もちろん、長い歴史の中で培われてきたものですが、
たとえば「ゆとり」がある場合でいうなら「十二単の襲の色目」、
決められた色を順番に重ねて着る文化ですが、実際に見えるのは、
襟元と袖口、裾だけ、それでも「そこだけ色がついている」訳ではなく、
ほとんど9割見えないところまで、全て色むらなく美しく染められています。
また「戦」という命がけの場面でも、鎧に使われる糸や皮、兜の飾りなど、
お互い見とれて誉めあう余裕のないところで使われるものも、美しく飾りました。
江戸時代、奢侈禁止令にさからって、庶民は表は地味でも、羽裏やじゅばんに
これ以上ないというくらいの贅を凝らしたり、シャレをきかせたり・・。
また貧しくあっても、はぎれのつなぎに工夫を凝らし、外へは着てでられなくとも
美しい色合い、シャレた組み合わせで、見えないオシャレをしてきました。
実用のための「刺し子やこぎん」といったものにも、美しい針目、丹念な仕事で
飾っておきたいほどのもようを残しています。
「ステキでしょ」とみせられないところでも、そんな風に見せる目的でないものも
細かい心遣いをわすれず、またオシャレ心も忘れない。
そういうことを楽しみながら暮らしていたのではないかと思います。

今の時代、どうも「針仕事」が苦手・・・という人が増えています。
友人の一人は「着付け教室に通って着物の着方は覚えたんだけど
半衿の付け替えができない」と、四苦八苦・・。
回数こなせばコツなんてすぐに掴めるんですが、針を持たない・・という暮らしを
ずっと続けてくると「苦手意識」とともに「めんどくさい」というキモチが
出てきてしまうようです。「カンタン半衿」とか言うものが出ていますけれど、
自分でつけて、針仕事との距離を縮めて欲しいものです。

また脱線してしまいましたが、先日からお話しに出ている「見えないオシャレ」
これほど贅沢なこともないと思います。
半衿は、ほんとに僅かなところしかでないけれど、顔に近いところであり、
帯や帯締めという、着物にとって大切な部分とも近いところです。
自分はいつも白襟しか使わない・・というのもひとつの確固たるオシャレですが、
面倒だから「白」って思っていたとしたら「もったいない」です。
別に高い半衿でなくとも、私なんかは「レーヨンちりめん」の風呂敷だの、
古い「腰巻」だのから、いいとこ取りでとって使っています。
着物には「こうでないと」というルールもたくさんありますが、
「ここはハズしても」と楽しめるところもたくさんあります。
着物を楽しんで着る人が、もっともっと増えるといいと思っています。

この「鬼さんファミリー」の半衿は、2月の節分ころ、
鬼がみんなに豆で追われてさみしい思いをするころに、
使ってみようかなと思っています。


コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 旅のおとも・・ | トップ | 映画になりましたね・・・ »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ほんと、おっかしい (ぶりねぇ)
2006-01-17 21:27:38
この半襟、洋ものをロープに干してあるところをみると、現代作品でしょうか。

このアイディアを思いついた方にお会いしてみたい。
返信する
現代モノです (とんぼ)
2006-01-17 21:33:36
私もたまにゃーいまどきモノも買うもので・・。京都へ行くと立ち寄る「ゑり正」さんのものです。「えり正」ででますので、HP見てください。このシリーズ、いろいろあるんです。帯揚げとおそろいってのも出来るのですが、とにかく「お高い」・・・。ぼちーぼちー揃えてるというのが現状で、間に合わず「売り切れ」ってことの方が多いんです。
返信する
早速、見に行きました (ぶりねぇ)
2006-01-17 23:20:34
確かに、少々値が張りますね。

年に2回ぐらいは、京都の菩提寺に行くのですが、以前、えり正さんに、立ち寄ったことがありました。

HPには、全く気が付いていませんでした。 有難うございます。

返信する
ねっ高いでしょう? (とんぼ)
2006-01-17 23:41:17
ぶりねぇ様



半衿とか帯揚げ帯締めって、ピンキリですね。

数欲しいので、いつもバーゲンとか、

京都でも安いお店のを探すんですが、なかなか。

柄半衿の小紋なんかは、レーヨン使ってます。

洗濯きくし、それほど「化繊だからなぁ」という

マイナスは感じないので・・。
返信する
半襟 (紀夜)
2006-01-18 01:56:12
裁縫が苦手だからとついつい半襟付きの襦袢を買って着用しています・・・。

でも半襟でもおしゃれを楽しみたいので

なんとか苦手意識を押さえ込んで頑張ってみようと思います。
返信する
ようこそ (とんぼ)
2006-01-18 02:15:56
紀夜様



こちらでははじめまして。

紀夜様のブログ、ときどき覗かせていただいてます。半衿付けは本当いうと「面倒なこと」です。特に前日とか当日に急に「これ」なんてことになったときは、もータイヘン。それでも着たあとのことを考えると、やっぱりがんばっちゃいます。コツと慣れですしね。私なんか、ちゃんとつけるのは着物着て見える後ろの襟首だけ。あとはもう半衿の内と外、一緒にザクザクです。がんばりましょうねっ!
返信する

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事