ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

紬で結婚式に…

2009-05-29 19:33:32 | 着物・古布
すみません、写真がないので私物です。
しかも以前の写真の使いまわし…。出ている過去記事はこちらです


先日のNHKのおしゃれ工房、月イチでやっている「めしませ きもの」。
その日は「恥をかかない! きものの基本 」講師は大久保信子氏でした。

最初から見ていなかったのですが、この日は視聴者からの質問に答える、
という企画で、ちょうど「結婚式に紬はきてもいいのでしょうか…」
というお話しがはじまったところでした。
そのときに大久保先生がおっしゃったのは、基本的にはダメなのだけれど、
最近の結婚式は、いろいろな形式もあるので…というようなことでした。
相方の女優さんも「最近はちょっとしたレストランなどで、
気軽なパーティーみたいな場合も多いですねぇ」という感じの持っていきかた。
でも結果的にお話しのポイントは、紬を着てもいいかどうかではなく、
紬の場合の着物と帯の組み合わせ、ということにいってしまいました。

ええっとぉ…と私はちっと整理するのに時間がかかりました。
私、この番組ずっとみているわけではありません。
また、おしゃれ工房の本も必要なときしか買いません。
ですから、過去の番組や本で、「紬」というものについての
詳しい説明がなされているのかどうか知りません。
でも、みんなが必ずしも番組を全部みているわけではないし、
本も買っているわけではないと思います。
つまり、私のようにたまたまその日見た、という人も
たくさんいるはずなのですよね。
そうだとしたら、とても不親切な説明であったと思うのです。

これは結婚式(披露宴)のお話しですよね。
確かに、このハナシの最初に大久保さんと司会のアナウカサーと女優さんで、
最近の結婚式っていろいろありますからねぇ、というお話しはありました。
でもねぇ、実はそこが一番わかりづらいところなのですよ。

確かに大きなホテルや結婚式場の「披露宴会場」みたいなところで、
昔ながらの留袖、振袖カッチリとした披露宴ではなく、
お式は別のところでやって、披露宴だけはこじんまりとレストランで、とか、
式ごと「人前式」で、そのままそこの貸しホールだのレストラン貸切で、とか
いろいろあります。でも、「堅苦しくなく」といってもさまざまです。

たとえば、私の京都の姪っ子は相手に両親がいなかったため、
それぞれの兄弟姉妹と姪の母親(こちらも片親でしたので)
あとはトモダチばかりのレストランパーティーでしたが、
みんなの前での「人前式」でした。
本人たちはずっとウェディングドレスにタキシード、お色直しもドレス。
お客様も、フォーマルスーツやフォーマルドレスに近い服装がほとんどでした。
また、別のいとこは、出席者はふつうに両家家族親族、来賓、友人たちでしたが、
式は教会であげて、披露宴は中華街の小さな宴会場を貸切で
円卓囲んでみんなでご馳走!でした。
本人たちは式が終るとそのあと着替えて普通のスーツにワンピース、
式に参列した両方の両親やあちらの親族は、ホテルに宿泊していましたので、
そこで留袖などをを着替えて普通のちょっとオシャレな服装、
披露宴だけ出席の、彼らのオトモダチはまぁちょっとしたオシャレ着、
着替えられなかった私の一族だけが、そのままフォーマルスーツ軍…でした。
「多様になる」ということはそういうことで、単純に「かたくるしくない」と
一言では片付けられないことです。
だからなんでもいいじゃん、というのは、ちょっと乱暴ですよね。

披露宴がどんな状況の上での披露宴なのか、
たとえレストランでお気軽に…でも、ちゃんとしたコース料理かもしれないし、
バイキングみたいな「宴会調」かもしれません。
イトコの時なんか、中華料理の円卓なんて忘年会とかわりゃしませんでした。

番組の「視聴者からの質問」は「結婚式に紬をきてもいいか」でした。
これって、全く着物がわからない人の質問です。
まず「本来はだめ」なら、そこの説明と「でも最近は…」なら、
まずその披露宴がどんなものなのかによる、という説明は必要ではないか、
そんな風に思ったのです。番組のなかで着られていた紬は、
たとえいいものであっても、いわゆるオシャレな街着タイプ、
それに染め帯です。柄は「たいこにラッパ」…。
そのまんま銀座ブラブラでもフシギはない、というより、そういうレベルです。
もしお気楽な披露宴であっても、お身内などが色無地や江戸小紋だったら…。
お友達がちょっとしたフォーマルドレスだったら…。
紬は値段ではありません。

わからない人というのは「そこがわからない」のです。
最近は紬も訪問着などが出ていますから、とか、ほんとに普段のオシャレ着でも
問題のない披露宴なら…という注釈が、ぜひ必要だと思いました。

くくりをゆるめていくということは、時代の流れで必要なこともあります。
ただ、だからなんでもいい、となってしまうのはやっぱりね。
「そんなことは言ってない」と、着物をご存知の方はおっしゃると思います。
その場にあわせて、とか、ケースバイケースで、とか。
だから、その「その場」とか「ケース」が、わからないことには…なのです。
「紬でも、訪問着タイプがあります、これは簡素な披露宴でも、
相手が略礼装くらいならこちらに。みなさんが単なるオシャレ着なら、
普通の紬でも」というような。

番組ではそのへんのところは全部すっ飛ばして、
モデルさんがでてきて、「帯の締め比べ」を見せてくれたわけですが…。
お話しは「紬は光を吸収してしまうので、カガヤキがないから、
帯がきんきらしていると合わない」…ということ。
テレビでも著作権はあるでしょうがちょっと拝借


   
   

テレビあわてて映したので横長画面ですみません。
紬は訪問着タイプではないです。
左がNG、つまり、光るから…です。
この場面は、まわりをカットしてありますが、
上にOKかNGかの別しか書いてありません。
この写真を見て「結婚式の紬の着方」に見えないのは私だけでしょうか。

ものすごく消化不良の気がしました。
せっかく「めしませ きもの」というなら、
一度にいろいろな情報ではなく「紬というものは…」というような、
そういう初心者へのレクチャーをしてほしいものだと思いました。


本日のおまけ画像、バケツの水。
いえいえ、昨日の夕方空っぽだったバケツです。
今朝10時ごろみたらこんなにいっぱい…大雨だったんですねー。


    





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14 コメント

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Unknown (陽花)
2009-05-29 21:47:04
私も途中から見ました。
ン十万以上する大島紬でも紬は普段着と
習いました。
最近のように何でもアリ・・・っていうのは
どうなんでしょう。
つい最近、お友達が結婚式に着るのにと
色留袖を購入されましたが、紋は一つ紋で
比翼はつけないほうが着る機会が多くなると
アドバイスされたそうです。
私的には腑に落ちない、どうしてなの???
折角の色留袖が訪問着に化けちゃうのにと
思って悲しくなります。
返信する
Unknown (りのりの)
2009-05-29 23:21:03
なんでもあり・・・で思い出したんですけど友人で最近アンティーク着物にはまってるというひとがいます。アンティークわたしも大好きですけど、彼女の話はちょっと?????でして。サイズなんて気にせずどんどん着る、アンティークは安く買えるし柄の美しさが絶品のものは派手でも何でも着るんだそうです。着物に限らずはまると自分勝手に暴走する彼女の性格を知っているので着物でランチしよう、と言われてもいつにする?と言えない私。

なんでもあり・・・という自由な発想は時に周りをドン引きにしますよね。
返信する
Unknown (あめだま)
2009-05-30 00:31:55
紬で結婚式に…
というタイトルだけみて、はぁ~と思った私はガッツリ昭和の生まれですね。
母に教えられた覚えもないのにわかるのはなぜでしょうか。
トンボさんのお話しは私のとって懐かしい昭和の香りです。
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万年ビギナーの自分です。 (えみこ)
2009-05-30 04:26:14
きっとそれでも披露宴には紬は着ないでしょう。
格やTPOをきびしく要求される場には洋服でと決めています。
場を楽しめなくなるからです。披露宴なら、やはり主賓をお祝いしたいわけですから、それが後回しになるようなら
一線を引きます。
とんぼさんのお話はその一線に関わることなのに
TV局側(企画側が)から最初に結論があって、それにそった質問を選んでいるのではと思います。これに踊ってしまう方が出ないように願いたいです。


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Unknown (ゆん)
2009-05-30 07:35:50
おはようございます。

 「自分が、わかってないことを分かってない人」に何かを伝えるのって、とても難しくて、でも、大切なことだと思います。
 拝金主義が、「紬の超高級品」を生み出して、しまいには「高いものだから、どこへ行ってもかまわない。」にまでなってしまったのかと思ったり。

 人生の節目・というものの重みが感じられなくなったら、着る人も着るものも薄っぺらになってしまいそうです。えらそ~~なことを言いますけど、本当に残念です。とほほ
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Unknown (とんぼ)
2009-05-30 22:11:46
陽花様
あれ、やっぱりヘンでしたよね。
たくさん着物を持っていて、
着る機会もしょっちゅうあるような、
そういう人なら、たまにはお遊びで、
もったいないものを作るのもいいでしょうけれど、
普通はねぇ…勧める呉服屋さんもって
思っちゃいますねぇ。
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Unknown (とんぼ)
2009-05-30 22:15:01
りのりの様
どうしても「洋服感覚」なんですかねぇ。
着物のことをずっとわかっていくと、
自然と「なんでもいい」ってことが、時として
実はセンスがない…に通じたり、
カッコよくないに通じたり、
もったいないに通じたり…ってことが
わかってくるんですけどねぇ。
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Unknown (とんぼ)
2009-05-30 22:21:39
あめだま様
古いといわれようと、なんと言われようと、
見た目じゃなくて「ココロ」のモンダイで、
紬は却下しますねぇ。
自由とか個性って言葉が、つごうよく
使われてる気がします。
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Unknown (とんぼ)
2009-05-30 22:24:01
えみこ様
そうなんです。何も知らない人は
なんでもテレビが言った、
先生が言った…で、信じちゃいますから。
「何のために呼ばれているか」なんですけどね。
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Unknown (とんぼ)
2009-05-30 22:26:39
ゆん様
季節のさまざまな行事にしても、
その基本的な意味はどっかへいっちゃって、
ご馳走食べに行く日になったり、
どんちゃん騒ぎの日になったり、
プレゼントをもらうのあげるのって、
そんな日になったり…。
「節目」って言葉さえ、死語になるんでしょうか。
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