雨雲に、あれだけよけられて、避けられて…できましたが、昨夜からまあ今度は降るわ降るわ…。
もっとも、西の方の災害が起きるほどのこともないのですから、ありがたいのですが。
これでちっと「水がめ」が潤ってくれるといいと思っています。
とりあえず今日は「さぶいってば」…のお外、あらら長袖は~でした。
極端すぎます、今年の日本。
あんまりいつまでも暑かったので、秋冬のしたくなんて、からっきし考えてもおらず…で、あわてています。
考えたらあと一週間で、着物だって袷なんですよね。
そんなこんなで、今日はつれづれに…。
「作り帯」を見るのに、古い本をあれこれ引っ張り出しました。
パラパラとめくっていましたら「古くなった着物の上手な活かし方」というページを見つけました。
以前見たとき「なんかおもしろかったよなぁ」と思い出しまして、じっくり見てみました。
すごいのがありました。「絽ちりめんの夏羽織でシックな黒いスリップを…」。
おぉなーるほど。いや、絽ちりより平絽のほうが肌触りはいいんじゃないかとは思ったのですが…。
説明文にれば「外国のおしゃれな婦人を評する言葉に、あの方は黒のスリップを何枚持っている、という」…。
ほんまかいな…。
まあこれは「スリップは白だけでもいいが、黒い服には合わせて黒いスリップを持つのがオシャレだ」
というようなことらしいです。イマドキは当たり前にだれでもブラックフォーマル用に黒スリップを持つ時代ですが、
何しろこの本、昭和32年ですので…。
このページの最初の「古くなった着物」とは、もう日常に使えないもの…
まずは「流行おくれ」などで、売るにも売れず、さして用を成さないと思えるもの、
次は品質が弱っていて実用に向かないもの。最後が傷んでいるもの。
で、いろいろ載っているわけですが、へぇぇと思ったのが「男物仙台平の袴でペティコート」。
最近はペティコートをはくようなファッションがなかったり、
素材がいろいろできて、ペティコートがなくてもふんわりするとかで、あまり見ませんね。
私が中学生のときに買ってもらった赤いチェックのワンピースに、縫いつけでペティコートがついてました。
段にはなっておらず、1枚だけのものでしたが、硬くてゴワゴワ、下に白い小さな花のレースがついていました。
効果は抜群で、それを着るといつもスカート部分がふわりときれいに広がる…ので大好きでした。
この本によれば、仙台平のしっかりした袴地は、化繊のものよりずっときれいなハリが長持ちする…そうです。
おまけに着ると「衣ずれ」の音がするそうで…。ハリが強いので、三段のティアードにするといいと。
1950年代のアメリカ、オールディーズ・ファッション、ポニーテールに水玉のスカート…なんてのには、よかったでしょうねぇ。
スカートなんぞ、何年もはいていない私には、まったく用がありませんが、
仙台平のペティコート…見てみたい着てみたい、の好奇心はアリマスー。
ほかにはまぁ当たり前に「作り帯」とか「丸帯でバッグ」とか、ちょっと手芸を入れて「羽織を茶羽織に」とか
そのくらいだったのですが、最後の「弱っていたんだもの」、これでへぇぇと思ったのが、
もう使えないよねとおもっていた「裂けてしまうような絹」…。
「性(しょう)の抜けた絹」という文字を見て「あぁ」と思い出したのが、
母が、もうボロった絹を「もうショウがぬけて、ニリニリになってる」といっていたこと。
この「ショウ」は「性」だったのかと、つまり「絹の特性」とか「絹の長所」がなくなっている、ということだったんですね。
「ニリニリになって」という表現がおかしくて、そのくせ私も使うのです。ちょっと引っ張ると裂けてしまうようなもの。
紙なら「ビリビリ」ですが、布ですからもっと弱くて「ニリニリ」…うまいこと言ったものです。
で、この「ニリニリ」ですが、縦地にだけ裂ける程度なら、薄く綿を入れて別布と合わせて刺し子をするとよい…と。
つまりキルトですね。なるほどねぇです。
更に、紙(和紙がいいのでしょうが、今は接着芯という便利なものがあります)を貼って裏打ちして、
襖の腰張り、これは襖の下のほうに柄を入れることですね。これにいいと。
最後に、どんな絹物でも、裏地としては人絹に勝る…。
「人絹」は「スフ」、つまり「ステープル・ファイバー」の略で、今で言うところのレーヨン。
レーヨンは化繊ではありません。元々は植物のセルロースが原料です。
最近はレーヨンの質も向上していますけれど、当時のレーヨンは粗悪だったので、すぐよれたり切れたりしました。
そんなことからこの本では「人絹よりも…」という表現になっているわけで、
傷んだ着物のいいところを切り取ってつなげておけば…とあります。
よく、すごいパッチワークのような端縫いの着物などを見ますが、あれは「生地を揃えて一枚ずつつなぐ」のではなく、
ある程度つないでおいたものが、形になる長さだけ揃ったらそれにする…という方法も使われていたわけですね。
では手持ち「つぎはぎ着物のいろいろ」
毎冬お世話になっている薄い綿入りひっぱり。ゼータクにも錦紗、ちりめん、お召しの寄せ集め。
こちらは元々が裏地ととちりめんの中着から、いいとこ取りして合わせた「道中着」
こちらは保存ブツで、何度もアップしていますじゅばん。すべて「絞り」です。帯揚げがほとんどと思います。
こちらもほんとにつぎはぎのじゅばん。すでにもう更なる傷みがひどいです。
究極の端縫い、これもお宝で何度も登場していますが…
こんなものができるのも、和服が長方形の組み合わせでできているから。
だから「反幅の布地」に縫い合わせておけば、なんでもできるよ…なわけです。
一番便利なところですね。
着物の裏地にあまりつぎはぎは…ですが、たとえば派手になった小紋を八掛にするとか、
襲風に、袖口や振り、裾などに「比翼」のように重ねるとか…それもいいと思います。
ちょっとあればできるものに使いなおす…柔軟な発想と、ちょっと手間をかける…
こういうワザも、なくなってほしくないものと思います。
さてさて、まだ雨は続いています。おかげて涼しくなりましたが、このまま秋に突入を…オネガイシマス!
同じ布で縫って、あとはツギハギ
だけれど、ひっぱりや割烹着を上から
着れば見えないからそんな風にして
親は着ていたと聞きます。
多分、一番下の写真のような感じ
だったのではと想像ですが・・・
性の抜けた絹とかニリニリ初めて聞いた
かもしれません。
とんぼさんの家にもあるのですねぇ
私も 性の抜けた絹とかニリニリ
初めて聞きました
母も、うそつきみたいに胴体だけ違う…なんていうのを
きていたような気がします。
いつも割烹着かひっぱりきてましたから、
定かではありませんが…。
ものを大切にしましたよね。
「ニリニリ」は、たぶん母の造語だと思いますが、
感じでていますでしょ。
端縫いは、いろいろ探すのですが、
なかなかいいのがでません。
ただもうツギハギならいいってもんじゃないもので。
北のは縫いなんか、ステキですよねぇ。
ニリニリ、感じが出ていてボロボロとかビリビリより
いいんじゃないかと思っています。
ニリニリでも捨てられない布たくさんあります。
捨てられないだけで大切にされているとは言いがたい布ですが何かに上手に活かしてあげたいです。
西馬音内の端縫いは、ほんとに芸術品ですねぇ。
上の絞りの襦袢もそうなんですが、
広げるとちゃんと左右対称になるように、布を配置しています。
ハギレでも扱いは変わらないところが、またすごいと思います。
ニリニリでも…すてられませんよねぇぇぇぇぇ!