ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

旅日記・追記

2006-10-31 20:30:06 | 昔の道具・暮らし

写真は、天神市で買ったものです。「杼(ひ)」ですね。
「杼」というのは、機織りのとき、張られた経糸に対して、
緯(よこいと)を通すために使われる道具です。
細かい綴れのときは、小さな「杼」を使いますし、
機織り最初と最後の部分では、長くてスマートなのを使います。
あと私が知っているといったら、大きなものには錘として
「鉛」がはいっていること、杼の下に小さい車がついているものがありますが
それは「杼駒(ひごま)」といって、すべりをよくするもの・・くらいです。
こんな大きな杼の実物を見たのは初めてで、お店のおじさんに聞いたのですが、
「いやー、わかんないねぇ」・・もーちっと「けんきゅーしん」ってものを・・。

で、調べましたところ、これは「両松葉」とよばれるタイプの杼で、
錦や綴の帯の地の部分を織るときに使われるものだそうです。
写真の上の半円部分の中に、V字型になっているものが見えますが、
これは下が固定されていて、Ⅴの角度が広くなったり狭くなったりと動きます。
また、Ⅴの内側にちょっと出っ張って見えるのは糸を通すための「輪(金属)」、
半円のてっぺんにも穴があって、そこから糸を通すわけですね。
下の舟形の中、右側のものは、木管というもので、これに糸を巻きます。
本来は、左側にも同じものがついているのですが、これは欠けています。
これが裏側で、左端下についているのが「杼駒」です。





真ん中のⅤをとじてみました。





杼というのは、年に一度くらい洗って乾かし、
ロウを塗って手入れする・・と聞いたことがあります。
また、一日中人の手の中にあったり、手で押されたりするため、
手あぶらがついて、もちろんヨゴレもですが、それでツヤがでるのだそうです。
亡くなった伯母に、もっと話しを聞いておけばよかった、と今になって思います。
この古い杼は壊れていますが、木管は今でも販売されていますからつけられます。
でもこれはもうサビがひどいし、直したところで、
家に機(はた)があるわけじゃなし・・・。
この「両松葉」の杼は、どんな人の手で、どんなすてきな綴れ帯を
どれくらい織り続けたのでしょうか・・。
そんな思い出話を秘めたまま、これは、我が家を終の棲家として、
お休みいただこうと思っています。
二度と絹糸の間をくぐることはないけれど、
長い間はたらいてきたのでしょうから、大切にします。


さて、先日の「やっこさん」の裏がついた羽織ですが、
表地をご紹介していませんでした。
こちらです・・・ひたすら「ジミ」・・。





袖裏もやっこさんだよーっ。





ちょっとアップしてみました。ジミでしょう?





かつて女性が羽織りを初めて着たとき、男物をちょいと借りて着たのだそうです。
私は、旅のときなんかはコートがわりに、男物をそのまま着るのも
いいんじゃないかと思っています。なにしろ袂の「振り」部分があいてなくて
ポケットがわりになりますしねぇ。
昔の男物は、体型的に今より小さい人が多いですから、
なおさずそのまま着られることも多く、これもそうなんです。
次の旅にはこれかなぁ?

さて、おしまいは「息子へのおみやげ」、京都限定の「着物姿M&Mコンビ」
ミッキーとミニーって、着物着てても手袋・・なんですよねぇ。





「京都限定」のお店は、以前は2軒ありましたが、今は一軒、
それも「京都限定」キティちゃんグッズ」ばかりのお店の一角。
毎回息子のお土産に立ち寄りますが、なくならないでーと思っています。
これは、毎日施設に通うときにもっていくリュックにつけました。

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6 コメント

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羽織について (zizi)
2006-10-31 21:27:55
アンティーク泥大島紬の長着の上に着る羽織がわかりません。
とんぼ様ならどう合わせられますか?

以前、錦紗とかの染めのアンティーク羽織を着ましたら、通りすがりの方にご注意を受けまして、無地の髭紬ならいいかしら?と、男物の羽織を求めました。

必死こいて「振り」つけましたけど、ポケット代わりにそのままでもよかったのですね。でも、男物はどうしても「お太鼓」がない分、裾が広がるような仕立てなので、着たときにちょっと気になります。

お時間ございましたら、ちょっとした知恵をお授けくださいませ。_(_^_)_
返信する
Unknown (陽花)
2006-10-31 22:26:41
あの杼が出てこなかったと思っていたら
ようやくお出ましですね。
真ん中のVの所閉じたり出来るのですね。
それにしても研究熱心、さすがはとんぼ様!
この様な道具を使って織っておられる所を
見てみたいですね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-11-01 01:15:21
zizi様
すみません、一度描いたのですが、なんかわかりづらいと思い、書き直しました。すみません。

紬には染めの羽織で、まちがってはいませんよ。
礼装・準礼装などの場合はいろいろ決まりごとがありますが、いわゆる「街着」オシャレ着のことですね、その場合はけっこう自由です。女性の羽織はほとんど染め、です。紬の羽織もありますが、実はちょっとシャツキリしすぎてきづらいものです。こなれて柔らかくなってりゃいいんですけどね。紬のアンサンブルなんかはどうしてもおそろいになりますが、私はとうとう一度も一緒に来ませんでした。あとは色と柄あわせ・・ということになります。これはもう、本人のセンスですから・・。
男物の羽織が広がる感じ・・と言うのは、身幅が広いせいではないかと思うのですが・・。つまり男モノの方が後ろ幅がちょっと大きいです。それと繰越がありません。袖をちゃんと「振り」に作りかえたのなら、そのままより広がらないと思います。つまり、男物でも、女性は衿を抜きますから、その分羽織が後ろにさがるわけで、男物の羽織は、そのとき袖付けが総付けなので、袖全体が少しゆがみますね。それを直したのなら、広がるのは、たぶん横の幅がひろいのではないかと・・。羽織りについて、書いてみましょうね。

陽花様
はーい、出てまいりました。
糸をとおして動かしてみたいところです。
この「杼」を作る人がいるわけですが、
後継者いるといいですねぇ。
一度これを使っているところ、私も見たいです。
返信する
お忙しいところありがとうございました (zizi)
2006-11-01 09:40:39
とんぼ様。

いつも有り難う御座います。
洋服じゃ注意されることなんかないのに、着物着てますと色々ございます。
もう若くないので 色々お知恵を頂きたいです。
またの特集楽しみにしています。
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 (蜆子)
2006-11-01 22:04:12
杼を飛ばして機を織ってみたい
おつうになってみたい、憧れますね~
それができたんです。
富山県南砺市に「織館」があります。昔城端は絹の機が盛んであったところ、国の証紙がはられないと市場には出られなかった、その為の検査の場所があったのですが、それが現在小さな美術館になってます。その二階で行ってすぐにでも高機まで経験できます。卓上の機もあります。
袱紗挟みを作って使っています。
よかったらおつうになりに来られませんか?
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Unknown (とんぼ)
2006-11-01 22:52:21
蜆子様
貴重な情報ありがとうございます。
いいですね。実物!
いつかきっと行きます。また目標ができました。
おつうになるために「アヒル体型」を
なんとかせねば・・。
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