ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

かるさんともんぺ その3

2006-08-25 22:34:55 | 着物・古布

さて、それでは袴の腰板について。
正式な袴の腰板と言うのは、たいへん手がかかります。
土台になるものに糊で布を貼り付けたり、
角を包む「付菱(つけびし」という布をつくったり・・。
縞模様のある布のときは、「縞」の向きや柄合わせも考えたり・・。
作り方を見て3分で「降参」しました。
カンタンを旨とする「とんぼ流」ではとてもとても・・。
というわけで「らしくみえる」でいいや・・になりました。
後ろ布と同じ幅になるように、プラスチック板を切り抜いて芯にしますが、
角をほんの少しカットしないと、鋭くて布が切れます。
キルト芯、もしくは手芸綿などてくるみ、腰へのあたりをやわらかくします。
これを布でくるんで形を整え、布がずれないようにちょっと抑えます。
これを後ろ布に縫い付けて、その上から後ろのひもを縫い付けるわけです。
作り方はざっとそんなところなのですが、
ここでひとつ、本式の袴の場合ひもの付け位置は実は腰板の一番下、
でもそれだと面倒なんです。(いやほんとはたいした手間ではないんですが・・)
それで「らしく」ですまそうと、「和裁の決まり事」ぜ~~んぶ無視して、
板の下にひもつけちゃいました。でもおすすめしません。
お友達にもこれで教えといて言うのもなんなんですが(陽花様ごめんなさーい)、
腰板と言うのは、そのひもがあって腰板が腰に沿うように抑えられるわけで、
そこをはずしてひもがついていたら何にもならないわけです。
ただ、私の場合は本式の袴のように腰板は大きくありませんし、
なによりも「カッコ」優先でしたので、こうしたわけです。
あっ、一つ注意です、普通こんなふうに折り込むと、何もない平らなほうが表、
と考え勝ちですが、外に三角に出ているほうが表です。





もし、本式に近く作りたい場合は・・と思い、一応描いてみました。
一番上の図、「プラ板」は向こう側です。見えないのでわざと描きました。
キルトなどはこのときは表側だけに貼ります。
本当は表側はキルトいらないのですが、入れたほうが触感がソフトなんです。
菱布は表にでるところはフチを折り返してから、
動かないように待ち針でとめて、こまかくまつりつけます。
裏の板は表より少し小さく作ります。こちら側も腰に当たる方にキルトを。
ふたつをあわせてとじつけますが、そのとき後ろ布とひもを
一緒に挟み込んで縫い合わせます。




ご参考までにホンモノ袴の腰板「表と裏」です。
裏の「ぶらさがってる白いもの」は、腰板を帯の上に乗せるとき、
ズレないように帯の中に押し込んではさむ板で今はゴム、昔のものはひもで
腰板の下のつけてあるものです。





さて、あとはカフスですが、これはもう縁取り布をつけるようなものですから、
お好みでお付けください。裾を細めにするなら、
全体にギャザーをよせるか、決まった場所でヒダをとるかです。
私の場合は、内股の縫い合わせと脇の縫い合わせを中心に、
縫い合わせに向けて2本ずつヒダを寄せました。
片側だけだと、ヒダをとったほうに裾がひっぱれますから、
ヒダをとるときは平均してヒダが入るようにしてください。
グルリと何センチおきかに入れるもよし、ギャザーにしてカフスを大きくする、
いろいろ考えられます。カフスの丈の大きいものは、自転車に乗るときなど、
スレたり引っかかったりが少しはふせげますね。
私のは左の図です。右は、初めて作ろうと思い立ったとき
いくつか考えたデザインのうちのふたつですが、ブラウスの袖口みたいですね。
結局面倒でやめました。とんぼはほんとにめんどくさがりです。





これでだいたいの説明は終わりました。細かいところまで書いていないので
補足として付け加えますと、まず、いわゆる「縫い代の始末」について。
反物の「みみ」は、そのままでいいのですが、布を裁った部分は、
糸がでてきますから、部分部分で、ちょっと端の始末をしてください。
それから、マチの角とか、脇アキの縫いどまりなどは、
チカラのかかるところです。補強してください。
布を切らずに織り込む方法だと、特に足の中は縫い代が多くなります。
くけておかないと履くたびに足がひっかかったりしちゃいます。(経験談!)

最後に、ひものお話です。
みなさんは袴のひもの締め方をご存知でしょうか。
実はもんぺのひもも、締め方は基本的に同じなのです。
カンタンにいいますと、袴ももんぺも前側から着付けますから、
足を入れたら、前布をエプロンのように腰に当てます。ここから始まりです。
1 前のひもを両方から後ろに回し、帯の結び目の上で交差させます。
2 そのまま前に持ってきて前でもう一度交差、それをまた後ろに持っていって、
  帯の下で結びます。
3 次に後ろのひもを前に持ってきて結びます。
めんどくさいんですよ。そのために、昔のもんぺも正式な袴も、
前ひもはやたら長いです。たしかに、ひもが長いと、夏場の薄い着物でも、
冬にモコモコ着ていても、自由に寸法変えて着られます。
でも今の時代、それほど長さがなくてもいいのではないか・・と思います。
それで私の場合は、前紐はエプロンと同じ、
後ろで最初に結んでしまう分しかありません。
2枚目に作ったのからは、マジックテープつけたのもあります。
テープの長さを長くしておけば、けっこう調節がききます。

かるぱんは、かるさんもどき、と言っておりますが、
それはかっこつけていってるだけで、実は「ニューもんぺ」なんですね。
もんぺというと「紺に絣」「ウエスト足首ゴム」というのが、
イマドキの認識ですが、紬やウール、柄物でもステキだと思います。
自分だけの、オリジナルかるぱん、いやこうなると「もんぱん」ですかねぇ、
作ってみてください。








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5 コメント

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Unknown (とんぼ)
2014-12-15 20:16:06
剣侠;様

こちらこそはじめまして。
コメントありがとうございます。

おつくりになられたのですね。
お役に立ててうれしいです。
私も、いろいろ幅を変えたりして作りましたが、
これを穿くと、普通の着物よりラクで…。
袴のようにはバサバサしませんから、
ついつい、大股で歩いちゃったりしています。
返信する
ちゃんとできました (剣俠)
2014-12-14 21:32:49
初めまして。
袴の作り方を検索していて、こちらのサイトにたどり着きました。
丁寧な解説とイラストのおかげで、和裁の知識のない私にも袴が作れました。
居合を抜いても大丈夫なくらい動きやすいです。
軽袗はなかなか売っていないので、自分で作れてとても嬉しいです。
本当にありがとうございました。
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-08-26 17:55:50
陽花様

こちらこそ・・正直腰板って「かっこだけ」って

そんな感じ・・。かるさんならちゃんと

かるさんを作ったほうが、かっこいいと

私も何枚もつくってそう思うようになりました。



蜆子様

仕立て屋さんに、ご迷惑をおかけしないと

いいんですが・・。

雨コートをきるときのように、腰まで

着物をひっくり返した状態できられるサイズ、

だったらお太鼓でも上にコートきてしまえば大丈夫

ということになるといいですね。
返信する
さあ~、どんな形にしようかな (蜆子)
2006-08-26 06:28:16
かるぱん、せっかくレクチャーいただいたのですから、今度こそ格好のいいものに仕上げたい、仕立て屋を督促しようっと、と、自分でやる気をおこさない私、昔姑から針を持たない、針を持つ暇にほかのことをと厳命されたのがトラウマに、

なに、専門家にあれやこれやと無理難題を言うばっかりが好きなのです。

かるぱんを履いて、コートを着て、ペンギンにならない、すっきりした着方をしたい、それが望みなのですが、痩せろに戻りそうですよね。

わかりやすいご説明ありがとうございました。
返信する
Unknown (陽花)
2006-08-25 23:29:47
折角とんぼ様が親切丁寧に図と説明を

書いてくださったのに、腰板は私には

到底出来そうもないと腰板はつけませんでした。

本当は腰板あった方がカッコいいのにね。
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