ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

また看護の話しですみません。

2008-02-23 02:27:35 | つれづれ
何にもナシでは申し訳ないので、次々回くらいに準備中の本です。
私ワンちゃん好きだけど飼えないんですよね。
それでも藍染木綿とか、ちりめんなんかで、ワンちゃんの服つくったら
かわいいんじゃないかなーと、モノ作りしていたころに買ったんです。
売れるかなぁ?またよろしくお願いしまーす。

さて、昨日バサマのところに「訪問看護」の看護士さんが来ました。
本当は来週だったのですが、例によって「ワガママ女帝」炸裂で…。
自分の体が思うようにならないので、イラつくのでしょうねぇ。
でもねぇだからと言って食べないのは困るわけです。
ただ、何々が食べたいとは言っても、実際に口にすると
ほんとに僅かしか食べないわけで、年齢的なものなのか、
体が受け付けないのか、味覚が鈍くなっておいしくないのか…。
いずれにしても、これ以上体重が減っては困りますので、
看護士さんと一緒にいろいろ話したのですが…。

看護士さんはやはり、少量で栄養の撮りやすいイマドキの栄養食品、
あのナンタラゼリーとか、コーヒー味ナントカですね、
ああいうものとか、医療用の経口栄養食などのお話しをしたんですが、
バサマはとにかく「そんなんよう食べへん、いやや」の一点張り。
なんとか食べさせるにはもう「言霊?」でねじ伏せる??
いや実は、その話しからあとで看護士さんとの話になってきて、
ええっ?というような話しを聞いたのですよ。
まず私は、バサマを脅す、いやいや説得するために、
「口からちゃんと食べないと、それ以外の方法になってしまう」
という話をしたわけです。

これはウソでもなんでもなく、人間が栄養不足の場合、たとえば一時的なもの、
高熱で体力が落ちたとか、そういう時はまず点滴で栄養を入れる方法があり、
次にもう少し日数かかるときは、本人の機能にももちろんよりますが、
経管栄養があります。文字通り、鼻からノドを通って胃まで管を通して、
それで栄養分を直接胃に流し込む方法です。
そしてさらに段階が進むと「胃ろう」になります。
胃ろうというのは、胃に体の外側から注入口を直接つけてしまう方法です。

実は、経管よりもこの胃ろうのほうが、するほうもされるほうもラクです。
経管は鼻から管を入れますから、入れるときは気管に入らないように
きをつけなければなりませんし、第一入れられるほうは、
ずっと鼻からノドを通って胃まで管が入るんです、意識がはっきりしていたら
こんなキモチの悪いものはありませんよね。
鼻から管を入れるのも、私は息子が小さいとき痰を引くのに通しましたが、
まず鼻の中を通すのに、すぐに粘膜を傷つけて血がでてしまったり、
ノドを通るときにむせこませて通らなくなったり…。
やるほうもやられるほうも、なれないとなかなか。

それに比べて、胃ろうは胃にくっつけた、要するに瓶のフタじゃありませんが、
そのフタをあけて、高カロリーの栄養食を流し込むわけですからカンタンです。
もちろんドボドボいれるわけではなく点滴のようにケースからチューブを伸ばし、
それを胃の入り口のところとつなげるわけです。
感染予防に殺菌消毒を全てやりながらで、まずは大きな注射器のようなもので、
胃の内容物を吸い取り、出血していないかとか、胃液は正常かとか、残留物とか、
いろいろ調べた結果、問題なければ接続するわけです。
消毒さえ気をつければ、経管のように痛みも不快感もないし作業もラクです。
しかし、これをするには胃にその「入り口」をとりつけなければなりません。
しかも、胃に直接ですから味もへったくれもありません。
これは経管でも同じですが…。

どっちにしても、こういう方法をとらなければならない場合というのは、
本当にもう体が重篤な状態になったとか、口から食べる機能がなかったり
うまく働かなくなった場合です。まだまだちゃんと食べられる機能があるのに
食べないと、そんな「テ」も使わなきゃならなくなるよ、とまぁ、
そんな風に脅し…いやいや説得したわけですが、バサマ口だけは達者で、
「そんなこと私になんの許しもなくできるわけがない」
「ばーちゃん、本人の意向よりも救命優先だから」
「そんなことあらへん!」このあたりから、私とバサマのバトルです。

「ばーちゃん、延命措置は拒否できるけど、ばーちゃんの場合は単に
 ギックリ腰だから、延命もへったくれもないのよ」
「そんなことあらへん、死ぬ権利もないのか!」
「いや『私は断食して餓死します』ってのは、いまやぼーさんでもダメだから」
「食わんと死んで何が悪い!」
「死んじゃうほうはいいけどさぁ、介護すべき人間がいたのに餓死するの
 黙って見てたってことで、じーちゃんと私が刑務所行きだわな」
「ウチが自分で死ぬってゆーてんねん!」
「アンタ死んだら誰がそれ証言するのよ、死人に口なしってゆーでしょ」
「そんな法律はドコの法律や!」
「ここのおクニ」
「やなクニや、ほんまに!」

このあたりからだんだん舌鋒がへしゃげてきます。
そして最後には「あんたのゆうてんのはへ理屈や」
「ばーちゃんには負けてるで」

このバトルの間、看護士さんは唖然としてみておりまして、
書類を見ていたジサマが気がついて「あっ、いつものことですから」
「そっそーなんですか」「はい最近は娘のほうがあきれて、
 いつも折れるんですが、今日当たりは最後までやらんとねぇ」
なんつー家族じゃ…。
ついにバサマが「アンタには口では勝てん」とポツリ。
ジサマは「勝てるわけないだろー…(ボソッと「十年早いよ…」)
私追加して「アンタに鍛えられたんやから、負けるわけがない」
看護士さん、このあたりでもう笑い転げてました。

実はおバカ話はここまでで、ここから看護士さんが言ったんですよ。
「いまや胃ろうがラクだからって、『食べられない、食が細い』っていうと、
 ドクターが『胃ろうにしなさい』って、どんどん勧めるんですよ。
 M(母の名前)さんの通ってるA病院の先生なんかも、よくいいますよ」
私はこれを聞いて、ほんとにビックリしました。
確かに、できるだけ最後まで家で暮らしたい、面倒みたいみられたい、
そういう状況においては「胃ろう」はたいへん便利で有効な方法です。
でもそれはほんとにどうにもならなくなった場合であって、
どこかに「入院回避させるため」「手間を省くため」という、
安易な介護方法、という医者がわの思いが感じられてなりません。

息子の学校で、この胃ろうの子が一人いました。
そのために、毎日お母さんも登校して、ずっと一緒にいるのです。
学校での医療ケアについて、そのお母さんは積極的に働きかけていて、
ついに教師が試験的にやる、ということになったのですが、
そのために教師は何ヶ月も子供病院に研修に通い、それが終了した後は、
お母さん立会いのもとにこれまた何ヶ月も試験的に実施。
やっと教師がやることになりましたが、基準どおりにやるものだから、
胃の内容物を引いたときに、糸くずの先ほどでも赤いものがあると
「出血あり」とみなして、今日は教師はやりません、お母さんきてください…。
長年やっているお母さんが「そんな程度なら三日にいっぺんくらいある、
心配ない」といってもダメです。感染や病気を考慮して…です。
つまりやっぱり「ナニかあったときの責任の所在」ですね。

この間も書きましたが、これも医療行為ですから、
本来シロウトはやっちゃいけません。だから他人サマがやるとなると、
こんなにタイヘンなことになるというのに、親は親だというだけで、
家族は家族というだけで、安易にやらされるのですよ。
面倒はなくていいですが、それはヘンですねぇというと、
看護士としては医師の指示に、患者さんが従ってしまえばしかたがない、
口で食べる能力があるのなら、薬だと思って食べられるといいんですが、と。

バサマはゼリーがキライなのですが、葛湯は好きです。
ゼリーは柔らかくても噛みますよね、あれがいやみたいなのです。
ぷるんぷるんしてて気持ち悪い?
「ウチの息子用みたいに、ゼリーもミキサーかけて、
トロミ料(むせて水分の嚥下ができない場合に、トロミをつけるモノ)で
調節すりゃ葛湯もゼリーも似たよーなもんだわよ」と言ったら、
看護士さんが「あぁ!そうですね、いいこと聞いた!」おいおい…。

バサマは果物がすきなのですが、幸いなことにナンタラゼリー系は
ほとんどが「フルーツ味」です。アップル味葛湯、マスカット味葛湯だよ、
というと、バサマは力なくうなずいておりました。
私は、息子が寝ている時間に抜けてきたので、そこまでで帰ってきました。
そして、夕方、ジサマから電話があってバサマに代わりましたら何といったか。
「今日なぁ、混ぜご飯つくってもろてん、うまかったわぁ」
「胃ろう」の話しは、とぉっても効果があったよーで…。
アタシとの舌戦に勝とうなんざ、100年はやいっての!

ただ、実際には食べたくてももう胃が「量」を受け付けなくなっています。
やはり「ゼリー」や高カロリー食で、凌いでいくよりないようです。
食べられるものが増えてくれるといいのですが。







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3 コメント

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Unknown (陽花)
2008-02-23 09:55:14
昔から食いりきと言いますから、食べられると
元気も出るのでしょうが、ほとんど食べないと
力も出なくて弱る一方ですから心配ですね。
口から食べ物を入れるにこしたことはありません
から、少しずつでも食べられるといいですね。
返信する
おはようございます^^ (えみこ)
2008-02-23 10:23:49
近い将来ぼっ発するであろう我が家のバサマ&ジサマの
説得レクチャーとしてふむふむと読んでおります。
先日の床ずれの話を老化いちじるしい父親を抱えている
知人に話をしたら
「知らなかった」の言葉にびっくりでした。
介護経験がないと分からない事って多いんだなぁと
あらためて思いました。
胃ろうですが、在宅ホスピスを開いてらっしゃる方のお話で
炊きたてのほかほかのご飯を目の前でお茶碗に盛るような給食を
したところ
胃ろうから直接経口まで回復された方がいらっしゃったそうです。
すこしでもお母様の気持ちがほぐれてくれるといいですね。
とんぼさんもお体大切にされてくださいませ。

返信する
Unknown (とんぼ)
2008-02-23 23:43:59
陽花様
ほんとに、なにがあっても食べてくれれば、
何とかなるのですけれどねぇ。
困ったものです。


えみこ様
家に年寄りがいないとか長く患う病人がいないとか、
そういうのがアタリマエになってきていますから、
やるときはみんな初めて…になってしまうんですね。

母にも春待つ気分で、がんばってほしいです。
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