来年のことを言うと鬼が笑う…などというのはもう完全に「死語」。
今はまだ暑さの残る10月に「年賀状の申し込み」…「えぇぇぇっ」なんていってるうちにソレが届きました。
今からやらないと、早くやらないと…思うだけで、結局毎度ギリギリになる私です。
早く買ったって、何にもなりゃしない…。
さて、来年は「辰」、で、あてられている動物は「龍」、和柄では男物によく使われる柄です。
やはり勇壮とか、荘厳とか、そういうイメージがあるからですよね。
今、男物羽裏などに書かれている龍は「中国産の日本アレンジ」。
昔から龍の柄を見ると、なんで西洋の龍には「翼」があるのだろう…とか、
胴体太くて恐竜みたいなんだろ、とか、なんで悪役ばっかりなんだろうとか…ずっと思っていたのです。
それでトップ写真の本を買ったわけなのですが…。詳細はこちら。
世界の龍の話 (世界民間文芸叢書) | |
クリエーター情報なし | |
三弥井書店 |
そもそも「龍」の出現する話は世界中にたいへん古くからあるので、ハッキリしたところはわからないのです。
この方は世界中の「龍に関するお話」、例えば昔話とか、神話、寓話、聖書などの中での、
龍の話をたくさん集めて並べてみたら、みえてくるものがあって…というような感じで書いておられます。
全編ほとんど「お話し」です。
龍に限ったことではありませんが、世界はこんなに広いのに、似たような筋立ての話とか、
似たような形のものとか、けっこうあるんですね。
さて、大陸、というと「5大陸」ですが、アジアとヨーロッパを合わせてユーラシア大陸…と言います。
何しろ大きいですから、やたら高い山脈だのバカに大きい砂漠だの
気候もまた上は極寒、下は熱帯…いくら地続きだといっても、ちょっといってくるわ、の距離ではありません。
この様々な気候風土や地形などによって、どこかで生まれたものがどのルートを辿って広がるか…
それで大きな違いが出るわけですね。逆に、ものすごく離れているのに、似たような文化があったりします。
しょせん「ヒトの考えることは似たようなもの」なんて気もします。
まず呼び方…なんですが、「龍」と訳されるものには「ワーム系」と「ドラゴン系」があります。
これはかろうじて知ってました。そのまま「東洋系」と「西洋系」です。
これはちょうど我が家にありました。こちらワーム系、友人のTDLみやげ。
こちらがドラゴン系、これは「スノーグローブ・モンスター」というショップで買ったもの。
毎年一つずつでもほしいのですが、輸入品で人気があるのでいつ見ても「SOLD・OUT」ばっかし…。
これは翼竜の親子ですね。ドームの中のチビちゃんにもちゃんと翼があります。
世界の龍の始まりは、やはり大半が「神話」や「教典」「聖典」とよばれるものです。
この本によれば、紀元前4000年の後半…メソポタミア文明…ガッコでやりましたね、世界4大文明…の、
シュメール人が龍を退治する英雄のお話を残しているそうです。これが最古であろうというわけです。
この場合「彼らの考えた、今現在こちらで龍と呼んでいるような架空の恐ろしい生き物」ということ。
つまり、あちこちで「人にとって脅威となる恐ろしい力を持った怪物」がでてくるわけです。
これが時代が下がるとともに、様々な宗教の教典や聖典、また神話や民話によって、
だいたい同じ路線にまとまってきたわけです。(何千年か分の話を3行にまとめるこの暴挙…)。
わかりにくいのですが、例えば「リンゴ」(また唐突な…)には、いろいろ種類があって、
大きさも、形も、色も、味も、いろいろあります。それぞれに日本なら「陸奥」とか「フジ」とか「王林」とか
名前がついています。外国のリンゴはわかりませんが、やはりいろいろ種類があると思います。
でも、これら全てみんな同属ですから「リンゴ」、英語ではアップルと呼ばれ、フランス語はポム、イタリア語はメーラ…。
つまり、リンゴという果物は一つずつ個別に名前があるけれど、同じ種族だから総称はリンゴ。
これを当てはめるとよくわかります。
最初に生まれた「恐ろしげな架空の動物」は○○、それが別の教典になると形がちと違って「△△」、
よその国の神話の中では「□□」…でもみんな「恐ろしい架空の動物」だから、みんなドラゴン。
古代のギリシャなどでは、大きくて恐ろしいものは、実在の動物もまとめて「ドラゴン」だったそうです。
ずいぶん乱暴な言い方ですが、なにしろリンゴと違って架空ですから、いろんな姿かたちをしています。
それがまとまってきて、おおむね見た目恐竜みたいで、角や牙があって、うろこがあって、
火を吹いたり、毒を撒き散らしたり…。いずれにしても「西洋の龍、ドラゴン」は邪悪なもの、
脅威的なもの、退治すべきもの…の位置づけになりました。
一方東洋では…、これがもう…たーいへん。
最初の「ワーム系」ですが、つまり長くてニョロニョロ系ですね。
これは古代インドの神様、これが「蛇神」で有名な「ナーガ」。姿はエラ張りの「コブラ」。
これがかなり影響していると思われます。
実はインドそのものが、地方地域でたくさんの神様のいるところで、ものすごく複雑です。
お釈迦様はインド…ですが、インドには元々バラモン教があり、その教義に対抗して別の宗教がうまれる…
その一つが仏教です。そして仏教は更に東に流れていったわけです。
そして更に複雑なのですが、中国では、元々日本と同じで「土着信仰」があり、
様々神様がいたわけですが、そこに仏教が入ってきて、神様仏様入り乱れての大混戦?
例えばナーガは、仏教では仏法全体を守護する「天竜八部衆」という、護法神になっています。
つまりナーガは仏法に帰依した…ということになっているんですね。有名な「阿修羅」も、この八部衆の一人です。
ナーガは「千手観音」の眷属になると「二十八部衆」にはいり、名前は「ナンダナーガ」、あぁややこしい…。
日本でもそうですが、土着の信仰というものは根強く育ってきますし、
ほかが入ってきても消えない場合も、共存したりして残っていくことも多くあります。
「蛇神ナーガ」はたいへん高貴で力のある守護神でありましたが、仏教とともに旅をして、
やがて中国で姿を変えて「龍の眷属」になった…と、またまたすごい流転をたった2行で片付ける「暴挙その2」。
「龍と蛇」は、長いもの同士のせいで、あちこちで混同されたりどっちも同じ呼び方されたりしています。
言葉や文字が、国によって違うということもネックで、教典や物語の中で、
ナーガも「訳」しているうちに龍と混同されたりしているわけです。
中国の龍は、ほかの国とひとつ大きな違いがあります。「架空」ではなく「実際にいた」と信じられていたこと。
絶滅危惧種?じゃありませんが「実在した」ということが前提でしたから、山で骨が見つかると「竜骨」と呼んで、
漢方薬などにして珍重されました。実は恐竜の骨だったりしたわけですが…。
この「かつてはちゃんといた」と信じられていた「龍」は元々は中国の、神話上の動物。
神話の生き物の存在を信じるなんてへんだよ、と思うかもしれませんが、
日本人の祖先だって、かつては神様の存在も悪霊や魑魅魍魎の存在もちゃんと信じていたわけで、
「恐れたり」「畏れたり」するものがたくさんありました。
そんなわけで、この中国の龍と仏教の伝来とともにやってきた「ワーム系の蛇神」とが、
またあれこれ入り混じり、仏教とともに日本に伝わり、日本古来の蛇神信仰も混じり…ややこしくなるわけです。
結局大きく分けると、西洋では双頭だの三つ頭だののトカゲや恐竜系で、つまりなんとなく四つ足動物のイメージ。
だから本来空を飛べないので、わざわざ翼をつけて翼竜になりました。
ワーム系の龍は翼なくてもそのまま飛べますからねぇ。
そして西洋系は、大体は「悪役」、あちこちでいろんな英雄に退治されています。
東洋では、中国は別として架空の動物で、神格を持ち、縁起のいいものとかめでたいものの方になりました。
結局は、なにかと大陸文化をお手本にしてきた日本は、「易学」「陰陽五行説」「仏教」など
いろいろな哲学や宗教、天文学(昔はそれによる占星術)を取り入れましたから
そのなかで位置づけられた「龍」が、そのまま日本の土着の蛇神信仰と混同して龍になったという感じです。
いやもう、龍を辿っていくと、いろいろな宗教や哲学が入り混じって、
説明しようにも私の「脳レベル」では、ただもうややこしいばかり…「だから結局どうなのよ」といいたくなります。
もう思いっきり大はしょりして無理やりまとめると、
「元々はメソポタミアで生まれ、いろいろな聖典、教典など、宗教のなかで作られた架空の動物で」
「西へ流れたものは、恐竜のような動物系のもので、どちらかというと邪悪なものとなり」
「東へ流れたものは、インド近辺の蛇神と混同され、仏教と関わることで神獣として扱われるようになった」…。
またしても何千年分かのお話をたった3行でまとめるこの暴挙その3…すみません。
ダメですよ、こんなお話しが「定説」だなんて思っちゃ…。
いろいろ読んでみると、なんかそういうことみたいで…というお話です。
というわけで、思いっきりくたびれたアタマで、龍の顔など思い浮かべておりますが…。
十二支の中で、現在唯一「龍」だけが架空の動物です。
でも、実はこの十二支が作られた当時の中国では「龍はいる」と信じられていましたから、
彼らの考えの中では架空のものではなかったんですね。
十二支にまつわる民話はいろいろありますが、ネズミが一番最初になった理由、ネコがはいらなかった理由、
お話しご存知だと思いますが、お釈迦様が、12匹の動物を「干支」として定めるのに、
決められた日に挨拶に来た順番…とおっしゃった、というお話し。
ウシは歩みがのろいのでほかの動物より早く出発し、ネズミはそのウシの背中にそっと乗っていった。
お釈迦様のところにウシがついたとたんに、ネズミはウシの背中から飛び降りて1番を奪取したのでトップになった…。
ネコがはいっていないのは、お釈迦様のところに挨拶に行く日を、ネズミがいつも自分をいじめるネコに一日遅く教えた。
だからネコが行ったときには、もう前日に12匹の動物が決まっていた。
だから今でもネコはネズミをみつけると追いかけ回す…。
というのがよく聞くお話ですが、なぜ身近な動物のネコを入れなかったのか…。
実は五行説など、中国の十二支の出来上がった時代には、
中国にはまだネコが一般的に身近な動物ではなかったから…というお話しがあります。
また突然ですが、古代エジプトではネコが神様としてあがめられていました。
元々ネコは当然ですが「野生」だったわけで、これを家畜化したのがエジプトといわれています。
つまりエジプト文明ですね。えーと、ネコ崇拝のお話しは、それだけで一日分の記事になりそうなので、
またしても「はしょり」ます。とにかく、最終的に「バステト」という名前までもらって女神様になったのですが、
このネコを、エジプトは外国に持ち出し禁止にしたわけです。中国も蚕を国外持ち出し禁止にしましたね。
それでも、外に流れていってしまうのが、文明のおもしろいところで、
ネコは、仏教の伝来とともに「本をかじるネズミよけ」として、一緒に旅したんですね。
農耕を行う地域では、穀物をネズミから守るのにも、歓迎されたわけです。
そんなわけで、十二支ができたころの中国に伝わった「ネコ」というのは、まだ珍しい動物の部類だったわけで、
身近な動物ではなかった…というのが「じゃないかなー」という話とされています。
大航海時代になると、猫は船の荷物を食い荒らすネズミ除けのために乗せられて、
海外渡航したんですね。もちろん「癒し」のお役目もあったと思います。
陸路をいったネコは、龍とともに中国に入り、やがて日本にやってきて「猫又」になった…あれ?
日本ではネコは「妖怪系」のおともだち…なんでだ?文明っておもしろい…?
あらら、龍から、十二支、ネコのお話しに…お話しもとぐろ巻いちゃいました。
長ーいムダ話をしたよーな…で、結局私は今日、何のお話をしたかったんだっけ…。
あぁぁアタシのアタマが火ぃ吹きそうですわ~ん。 つまんない話でごめんなさーい。
御返事遅くなってすみません。
日本の「十二支占い」では、いわゆる「蒸発」する人は
辰年が多いんだそうです。
ウチの夫はひごろから飛んでますからねぇ、蒸発されてもわからなかったりして…?!
年賀状も、そろそろ始めないとですね。
あっという間です。
龍も他の国では架空だったり実在だったり
神様だったり邪悪な物だったり捉え方が随分違っていたんですね。
まだ年賀状頼んでいません。
そろそろ準備が必要になってきましたね。