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ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

じみ~なつけ下げ

2008-04-03 14:59:38 | 着物・古布
つけ下げだけど、真っ白な帯なんか締めて、オシャレに着てあげたほうが
本領発揮するような気がしますね。
地色や柄からいっても、単で着たい感じですねぇ、もったいないけど。
柄のアップです。水紋みたいに見えていますが、実際にはありません。


     


笹の細い茎のところに金が使われています。
写真はけっこう鮮やかっぽい青なのですが、実際には少し灰味が混じって、
きれいな青、というよりはくすんだ青です。
だからよけいにじみ~~に見えるんですよね。
全体に入っている斜めの線は雨のようにも見えます、色はグレーと薄青と金。
なんか益々気がめいってくるような柄なんですが、
これはたぶん着方だと思います。帯や小物を選んで使えば、
どっちも引き立て合う着物なのだと思います。

ところで、訪問着とつけ下げ、どこがどう違う…とよく言われます。
とりあえず絵羽づけであること、つまり前も後ろも柄が逆さまになりません。
訪問着は衿に柄がある、つけ下げはない、いや最近はそうとも言い切れない…。
えっとですねぇ、付け下げが生まれた頃の「違いの理由」と
今の時代の「違いの理由」、それからして微妙にいろいろあるんですよ。
呉服屋さんによっても説明が違うから、混乱するんですよね。
またどれも「実情」からいけば、その説明違う…とはいいきれません。

えーと、まずつけ下げが生まれた背景は、やっぱり「戦争」。
つまり、ハデにするな華美はいかん、と締め付けが厳しくなりましたが、
だからと言って日本という国で、美しい着物を一枚もなくすなんてぇことは
ゼッタイムリだったわけです。だいたい、今だから「戦争は4年」と言えますが、
やってるときは「いつ終わるとも知れない戦争」だったんですね。
実際に開戦する前から、政情は戦争へと向かいつつあるという
そんな状況もあったりして、ずいぶん長い間、
着物はとても不安な時間をすごしてきたわけです。
そういうなかでの締め付け、なわけですから、それを免れつつ、
尚きれいなもの、と職人さんや呉服屋さんが考えたわけです。

華美にしない、ハデにしないということは、単に柄をカンタンに、
ということだけではないんですね。つまり手をかけない、ということ。
お金もその分下げられますし…。
ではどこがどう違うか、といいますと、訪問着と言うのは、
白生地を裁って、着物の形に縫い上げます(ざっとです)。
そこに柄を描いていくわけですが、当然きちんと寸法になってますから、
脇の縫い目や、前身ごろとおくみの柄はピタリと合います。
また訪問着ですから、金銀や刺繍など豪華で華やかになります。

これに対してつけ下げと言うのは、反物を裁ちません。
反物のまま絵をつけていきます。そのため、決まった長さ、
つまり「ここからここまでが前身ごろだよ」
「ここからここは袖ね」というところに、墨で反物のはしに印をいれます。
柄を染めるときは、その印を目安に描いていくわけです。
当然、着物に仕立てたときに、どこも柄が全部合うという確率は少なくなります。
更に、今でもときどき古着で見かけますが、小紋柄なのに絵羽付け、
つまり肩山を境に、前と後ろでちゃんと柄が下から上に向いてついている、
そういうものに出会います。これは「つけ下げ小紋」といいます。
つまりですねぇ、本来つけ下げと言うのは単純に、
小紋と同じように反物に次々柄を染めたり描いたりしていくんだけど、
出来上がった柄は「絵羽付け」なんだよ、っていうものなんです。
それと、訪問着は共八掛、つけ下げは別に八掛を買うわけです。

まとめて言いますと、ハデにするな華美はいかん、と言われて、
一見訪問着に見えるけれど、実は訪問着のように手をかけていない、
反物にじかに柄を入れる小紋とおんなじ作り方ですよ、
八掛だって普通の着物と同じように別に買うんですよ、
ほらねゼータクじゃないでしょ、柄だって地味だしぃ~~、と。
そういうのが始まりだったんですね、それが世の中が落ち着いてくると、
苦し紛れに作り出されたものだったのが、訪問着より価格も下げられる、
位置づけとしては訪問着より下で、小紋より上であいまいだけど、
あいまいな分、利用範囲も広い…と、けっこうメリットがあったわけです。
そこで今度は「つけ下げ」の中で、脇きっちり柄を合わせたり
柄も華やかにしたりで、一見訪問着とみわけがつかなくなっちゃったわけです。

付け下げの生まれた背景なんてのは、もう60年以上も前のことで、
しかもそのあと着物は着られなくなる方向に進みましたから、
ずっとコマゴマ伝わらないまま、そのときそのときの都合や状況で、
説明がなされたわけですね。
だから一概に「それは理由として違う」とは言い切れないわけです。
実際、最近のつけ下げは「そうだ」といわれるからそうなんだろう、
と思われるような一見訪問着と見まがうタイプも多いです。
まぁ手っ取り早い話し、今やあたしには全然わかんない。
見て分かるのは、反物だったらつけ下げ、くらいですかねぇ。

あっ書き忘れましたが、この着物は販売予定です。
絵羽仕立てになってますし、脇の柄もあってますが、
裏を見ると「墨」が入っています。全体にジミですし、共八掛もありません。
よって「とんぼ鑑定?」でつけ下げとしました。お安く提供致します。



さて本日のおまけ、

昨日アップしたチューリップ、あったかさで急いで伸びまして、
なんと花が咲きました。あと2~3日はかかると思っていたのでビックリ。


     


原種に近いと、小さくて丈も短く、花びらがとんがって
花があんまり膨らまない、そういう形です。
赤と黄色、実物はもう少し濃いです。もう少し丈は伸びそうですね。
もう一種類のほうも、つぼみがあがってきました。楽しみです。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2008-04-03 21:03:43
先ごろ娘が気に入って頂いた着物も
柄があっさりしていて、訪問着か
付け下げか迷いましたが、共八掛が
付いていて、裏オクミにも柄が入って
いました。裾部分だけがぐるっと柄が
繋がっていたので、華やかな柄では
ないけれどやっぱり訪問着だったと
思います。
訪問着か付け下げか本当に分かりづらい
のが多いですね。
返信する
え~と^^; (えみこ)
2008-04-04 08:15:51
…もう一回読みますね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-04-04 18:34:09
陽花様
シミや汚ればかり気にして、あれもまた
「つけ下げ」と言われて鵜呑みにしてました。
柄だけじゃ分からなくなりましたね。
40年位前のつけ下げって、ほんっとジミです。
どんどんかわっていくのに、ついてかなきゃ。


えみこ様
がんばって読んでくらさーい。
書いてる私がわかんないんですよー。
返信する

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