ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

海の歌とか…

2007-08-28 13:12:35 | つれづれ
今日は「歌「のお話をしようと思いましたので、久しぶりにマンガです。

歌姫(歌婆ではナイ)「トンボリーナ・オンチダローナ」
ギター伴奏「センベビッチ・ヨロズヤーノ」
で、お送りいたします。
このブログに「音声」をつけていない幸せをかみしめてください。



先日の「湘南海岸」の記事、全国的にも知られたところであり、
またおでかけの経験がおありになる方も多く、ちょっとだけ盛り上がった?!かな

いただいたコメントにも「思い出」のお話しがありました。
神奈川東京あたりの方は、多かれ少なかれ「湘南海岸での思い出」というのは
あるんじゃないでしょうか。出会い、別れ…その辺りの…。
それにしても海って絵にもなるけど「歌」にもなりますよね、
加山さんはもとよりサザンにしても、チューブにしても…。
古い歌からイマドキの歌まで、「キミをみつけ」「アナタを探し」
「恋をささやき」「愛を誓い」「さよならを告げ」「面影をしのぶ」

ところが「山関係」というと、どうもロックだのポップだのという感じで
思い出す歌が、ないよーな…。いや、イメージ的に合わないのでしょうね。
例えば「灼熱の恋」とか「ひと夏のナントカ」というようなイメージ。

「♪君とであった八ヶ岳ぇ~」…ご当地ソング?
「♪アナタおいかけ 急流下り」…あぶないってば
「♪寝袋並べて寝たっけね」…明朝はご来光です…
(こんなウタはありませんので…ねんのため)

どうもいけませんな。高原とか草原になると、
またちっと思い当たるんですけどねぇ。
いやいや、私は「山」のお話をするつもりはありませんでした。
「歌」のお話しです、歌の…。

湘南の写真を見ていて、「思い出の渚」なんてのも思い出したのですが、
実際にふっと口ずさんだのは「我は海の子」でした。
「我は海の子」、日本人の好きな唱歌…だったかなにかで、
ベスト2だそうです。ベスト1は、そうです「荒城の月」です。
いずれも「昔の言葉」の歌ですね。
「我は海の子」なら「煙たなびく苫屋こそ」
「高く鼻つく磯の香に 不断の花の香りあり」
なんていかが?「苫屋」は粗末な家のこと。
私、大人になるまで「不断の花」って、
どんな花なんだろうとずーっと思ってました。特定の花ではなく
「いつも咲いている花」とか「四季の花」つまり絶えることなく咲く花、
ということだそうです。ホントかどうかはわかりませんが。
「不断桜」なんてのもありますしねぇ。

ところで「我は海の子」は本当は7番まであります。
学校で習ったのは3番まで。全部覚えてますか?
3番になるとちょっと怪しい…のではありませんか?
で調べました、こちらです。

 ♪ 高く鼻つく磯の香に 不断の花の香りあり
   渚の松に吹く風を いみじき楽と我は聞く

7番まであると知ったのは大人になってからだったと思うのですが、
3番までしか教科書に載らず、教えることがなかったのは、
7番の最後に「軍艦に乗る」という歌詞があるため…と聞きました。

「荒城の月」は何番まであるでしょう。
はい、4番までですね。
私は2番まで覚えてました…3番になるとちとアブナイ。
気になりますか?んじゃ載せましょう。

 ♪春高楼の花の宴
  めぐる盃 影さして
  千代の松ヶ枝わけいでし
  むかしの光今何処

  秋陣営の霜の色
  鳴きゆく雁の数みせて
  植うるつるぎに照りそひし
  昔のひかりいまいづこ

  今荒城の夜半の月
  変らぬ光誰がためぞ
  垣に残るは唯かづら
  松に歌ふはたゞ嵐

  天上影はかはらねど
  栄枯は移る世の姿
  うつさんとてか今もなほ
  ああ荒城の夜半の月

2番の「植うる剣…」というフレーズは、
いまだ以って「謎」は解明されていないそうです。つまり歌詞の意味ですね。
私は高校のときに先生が「戦があって、それがおわったとき、
地面には累々と遺骸が横たわり、それぞれの持っていた刀が、
まるで地面に植えたかのように突き刺さっている風景」と説明されました。
ずっとそうだと思っていたのですが、いろいろな解釈があるのだそうで。

ところで、こういう昔の歌、今は学校で習わないと聞きました。
よくは知りませんが、ちょっと残念だと思うのです。
だって、とってもきれいな言葉がたくさん使われているじゃありませんか。
日本語って、なんて豊かで美しいのだろうと思います。
確かに、わかりづらいところはあります。
私たちが習ったときでも、すでに古めかしい言葉でしたから、
先の「植うる剣」のように、先生が歌詞や情景を説明してくれました。
そうやって意味がわかると歌がぐーんと近くなる…。
「うさぎおいし」はうさぎがおいしいのではなく「うさぎをおっかけた」だとか。

今その言葉を使うか使わないかではなく、美しい言葉の文化として、
もっとも身近な「歌」で伝えていくのは、あってもいいと思うんです。
使わなくなった言葉を「死語」といいます。たしかに「ナウい」とか
「チョベリバ」なんて、言ったとたんに「ふっるぅ~」と言われそうですし、
言ってる方も、ちょっとダサかったかな…と思います。
でも、上に書いたような「歌詞」などは、死語ではなく、
ずっと生き続けられる言葉だと思うのです。
だからこそ、心に響くし今も残っているのだと思うのです。
私たちの年代が「年だから懐古趣味に走ってる」というのではなく、
ダレが聞いても、その意味を知ればその言葉の品格というものが
感じられるのではないでしょうか。
私の大好きな歌はもうひとつ「冬の星座」ですが、
「地上に降りしく奇(くす)しき光りよ」とか「無窮を指差す北斗の針と」なんて
本当にきれいな表現だと思いませんか?

今はもう使われない言葉の中にも残しておきたいなぁと言う言葉は
沢山あると思います。フシギなもので「歌」にすると覚えるのですよね。
中学のとき、英語は苦手だったけど、ビートルズの歌はみんな覚えました。
詩を暗記するのはむずかしいのに、リズムやメロディがつくと覚えやすい、
だから、こういう歌と言う形で、日本のきれいな言葉、表現を伝えて、
使わなくても「死語」にはしたくないと思うのです。


言魂(ことだま)は 光り瞬き消えるとも
  奇しきちからは 永久に残らん
       

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8 コメント

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Unknown (陽花)
2007-08-28 20:20:07
とんぼ様、このマンガ特徴捉え過ぎですよ~。
よくまあこんなに上手に描けますね。
八戸巡業はこんな感じになるのかな~。フフフッ!

やっぱり私も海といえば「我は海の子」ですね。
一番だけはかろうじて歌えますが七番まであるとは
知りませんでした。
返信する
漫画の才見た! (otyukun)
2007-08-28 22:27:09
素晴しい漫画の才能ですね。
美術系の学校に行っておられたのでしょう。

とんぼさんも千さんも文才の達人であるからこそ帯留や漫画にも才能が発揮出来るのかな。
類は類を呼ぶというのがそのまま実現した様な、面白いサークルですね。

昔の歌に採用された詩は今時の単語の羅列ではない美しい言葉がいいですね。
滅多に行く事の無いカラオケですが、歌うのは矢張り美しい言葉を使った昔の歌になります。
「しいか」という表現がぴったりな。

数日前のブログにあった法事に関する着物ですが、実は死装束を作った事があります。
「死」に対する「穢れ」という日本人の考え方では、死装束を作れば早死にするという感覚があるだろうという事で続いて作る事は止めたのですが。
右前でつい丈、蓮の柄を友禅した物です。
結局売物にする事無く、病床の母の死装束になる予定に。
返信する
あ~しがらや~まのきーんたろぉ~♪ (Suzuka)
2007-08-29 01:33:39
それと、

箱根の山は、天下の嶮~

そして、海にくだれば

雨はふるふる 城ヶ島の磯に・・・

若き日の白秋の失意を思いながら、サザエをつっつく、というのも、いかがでしょ。

>otyukunさま

さっきサイトを拝見して、新作の帯の柄に惹きつけられました。
鈴の文様は、ずいぶん見たのですけれど、あますぎたり、可愛すぎたりして、大人の女には(お願い、つっこみいれないでね!)むつかしいのですが、あの幻想的なたたずまい、ほれぼれといたしました。


ゆふさりてうつろふときはちかけれど
    いまひとたびのかへりみぞする



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Unknown (ゆん)
2007-08-29 10:56:15
こんにちは~。
 ホントに、子供たちの「音楽の教科書」を見ると気が重くなります。美しい日本語の歌・どころか、「みんなで歌う」ことそのものが、明らかに減らされているんですよね~!
 ひとりで練習しろとばかりに、楽器の演奏の仕方が多くなってます。
 そういえば、歌いながら歩く子供や、リコーダー吹きながら歩く子供って見なくなりました。
 私は、車の中で童謡や叙情歌のCDを聞くことが多いのですが、ある日突然3歳の末っ子が「は~る~こ~お~ろ~お~の~」って歌いだしたのにはビックリ!ことばが難しげでも、メロディーがゆったりしてるから、覚えられるのでしょうね。「カチューシャ」なんかも歌ってました(かわいや・なんて、生意気な感じで笑ってしまいました)。
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Unknown (とんぼ)
2007-08-29 20:29:18
陽花様
ご本人にも、会ってらっしゃいますしねぇ。
感じつかめてますかー?
巡業は、なんか「芸人」集団になりそうですねぇ。

我は海の子、ほんと7番まであって長いです。
難しい言葉ばかりですけど、力強い歌ですよ。


otyukun様
私は全くの自己流なんですよ。
水彩とデッサンは好きで、油は苦手。
絵はもう、何十年も描いてません。
何事も精進しませんと、結局は小手先技です。

「死装束」、あっていいと思いますけどね。
今は、故人のすきだった服とかを
着せているようですけれど、私は着物がいいです。
両親の経帷子は、白綸子なんですが、
なるほど友禅もあったかと…眼からうろこ、です。
自分用は蘇芳に満開の桜…なんてのにしようかなぁ
しかも「振袖」なんちゃって。


Suauka様
やっぱり「山」って元気な歌しかないんですかねぇ。
箱根山は私のオハコです!
しっかし利休鼠の雨にぬれながらサザエ…
う~ん、にっぽんのふーけー…だなぁ。
(あの鈴、いいですね!)


ゆん様
そうなんですか、楽器ねぇ。
本気で好きなひとでなきゃ、ずっと続ける
ということもないと思うのに…。
ワイワイ、みんなでいろんな歌、歌うのが
たのしいのにねぇ…。
お子様にはいっぱい教えてあげてくださいね。



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Unknown (青め猫)
2007-08-29 22:15:20
いやぁー。。。
イラストいつもながら、とんぼさん上手ですね。
こんなほのぼのとした漫画いいなぁ。
最近は、(みつはし ちかこ)の「小さな恋のものがたり」にはまってます。
花の絵と詩がとても綺麗で。
もう発行されて43年ほどになるそうです。

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モデルの千兵衛です(笑) (萬屋千兵衛)
2007-08-30 03:45:46
画像がアップされた時から、見て笑っていたんですが、
なんとなく、コメントしづらくて(笑)言いよどんでおりました。

クロッキーが巧いというのか、一気に描かれたのだろうと思いますが、
本物の千兵衛は、もちろん、もっといい男な訳ですが(爆)
それでも、リアリティを感じ、足を組んだ体が椅子から倒れそうにない
安定感があるのが見事ですね。

音符の記号ひとつとっても、私の方の音楽っぽい流れに比べ、
とんぼさんの方の音符はいかにも音痴に見える配列。
そして、歳に不似合いなドレス!
計算されつくしている絵で、実に見事でした!

って、私、ほめているつもりなんですけど!(爆)

で、記事の方の話では、やはり文語体の言葉だからこその良さがありますよね?
ちなみに私は、森鴎外作詞、南能衛作曲の「横浜市歌」が好きです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2007-08-30 20:44:18
萬屋千兵衛様
「歳に不似合いなドレス」…えぇえぇどーせね。
ちゃんととんぼ柄なんだぞっ!

横浜市歌、真ん中のゆっくりした調子のところ、
好きです。但し聞くだけで歌えません。
なんつー市民???
歌詞はおっしゃるとおり、あの古めかしさが
なんともいいですね。今の横浜より
「横浜村」が急に「町」になっちゃったころを
なんとなく想像します。
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