穀菜食堂なばな

オーガニックを日常に
昭和の香り漂う路地の奥、尼崎の和風ヴィーガン食堂。

2019.11.2 辻村ちひろさん講演会「環境破壊と政治」に参加しました。

2019年11月02日 | ┗日記

辻村ちひろさんのお話会に行ってきました。
「環境破壊と政治」
今、いちばん聞きたいテーマです。

というのも、地球温暖化対策として、世界は「脱石炭発電」に向かっているのに、日本ではまだ新しく石炭火力発電所の建設が始まっているのはどうしてだろう。
どうしたら止めてもらえるのだろうと思っているから。
私たちが、生活の中でCo2を減らす努力を細々としていても、国の方針が石炭重視だったら、温暖化対策は遅々として進まないのでは?

今日のお話のなかで、直接このテーマは取り上げられませんでしたが、ちひろさんのお話によると環境省の力が弱くて、環境からの視点に立った提言も、経済産業省などから押し切られてしまうのだとか。でもシンプルに考えたら、生きる環境があっての経済だったり国土なのに。

さて、今日のお話の中心は、ちひろさんが提唱されている「日本一個分の暮らし」についてでした。

「日本一個分の暮らし」とは、日本の地理や風土に合った、昔ながらの暮らしに近いようです。
日本の自然は、もともと人の手が適切に入って保全されていたもの。
なので、農業・林業・漁業などの一次産業が元気になることで、日本の自然も元気になるそうです。

たとえば農業だったら、農家さんが昔から続けてこられた「土を大切にする」方法。
農薬などに頼らずに、安全で自然な方法で少量多品目を作って、近隣のコミュニティで流通させるというもの。
これは、自然栽培の農家さんたちが、今も頑張って続けてこられてますね。
でも全体を見ると、農業に従事する人の数はどんどん減っていて、このまま食糧自給率が下がっていくのも不安です。

また、林業も企業が入って大規模に伐採してしまうよりは、その土地のことをよく知ってる地元の人の手で、適切に森林の手入れをすることで自然が保たれるそうです。
ひとつ嬉しかったのは、杉やヒノキなどの針葉樹でも、きちんと手入れをすれば、ブナなどの広葉樹と同じくらい、土の中に水を保つことができるのだとか。
尼崎に流れる猪名川上流域にも、放置された杉やヒノキの寂しげな林がありますが、手入れをしたら大雨のときにも鉄砲水になりにくいのですね。

漁業についても、地域で穫れた魚は地域で食べるようにする。
これって、食べものに地域性が表れて、とても楽しい感じがします。

大量に作って、大量に集めて、そして大量に捨てられてることを思うと、食べものを一極に集中させるのは、やはり無理がある感じがします。
ある所と無い所の差が大きくなってしまうし、ある所といっても、全国どこに行っても同じ魚と野菜が出て来たらちょっとつまらない。

さらに、エネルギーにおいて日本一個分の暮らしとは?との質問に対しては、
エネルギー生産も、今の大規模なもの(原発で大きく作って、高圧電線を通して各地へ流すもの)から、小さく地域内で作って地域内でまかなうような形に変えていくことを提案されていました。
このことは、この間、動画でアップされていました。

太陽光発電の方法も、ソーラーシェアリングといって、畑の上にソーラーパネルを設置して、植物が育つために必要な光は通して、それ以外の光で発電するというものです。
※ソーラーシェアリングのこと、先日神戸で観た「おだやかな革命」という映画でも紹介されていました。

大規模に山や森を切り開いて、巨大なソーラーパネルを設置するのは、生態系にも悪い影響がありそうで賛成したくないのですが、植物と光を分け合うのだったらどこか優しげな感じがします。

エネルギーについては、また楽しそうなお話もありました。
地中の温度は年間を通して、大体20℃位で安定しているので、地中の温度をうまく室内に取り込めば一年中エアコンを使わなくても良いようになるそうで、そのための実験がすでに始まってるそうなのです。
最近の夏のものすごく暑い日、エアコンを入れるときにCo2のことを思って、躊躇することがあります。
だけど地中の温度をうまく利用できたら、それは嬉しいですね!
早く実現して欲しい(できれば低コストで)と切望。

お日さまの光や、土の中の温度で守られる暮らしって、まさに地球がお母さんだと思える暮らし。
そして地球は人間だけのものではないから、人間はもっと謙虚にならなければ。

これからのエネルギー政策について、ちひろさんが提案されているのは、危険すぎる原発は即中止にして、小さく地域で流通する自然エネルギーに切り替えるまでの間は、火力(その中では比較的Co2排出量が少ない天然ガス)で発電するというもの。

原発が止まったら、本当に本当に嬉しい。
だけど現実の壁はとても高いと、同席した友人が質問に立ちました。
「実際に原発を止めるまでのロードマップはありますか?」
原発を中心に暮らしが成り立ってる地域もあり、そのハードルはとても高いです。
ですが、実現しようと意志を固めて、その方法については、みんなで知恵を出し合っていこうとのお返事でした。
みんなでアイデアを持ち寄って、物事を進めていく。
本来の民主主義って、こういうことですよね。

他の方からの質問で、子どもに伝えるメッセージは何がありますか?というものがありました。
ちひろさんからのお返事は、日本の自然のすばらしさ、生物多様性、日本が奇跡の島だってことを伝えて欲しいとの事。
これも、動画にアップされていて、見てて本当に楽しいし、山を歩くとき、鳥の声を聞くとき、足元の植物を見るとき、今までとは違った感じがします。
温暖化対策はとても大切ですが、日本においては、守るべき自然を守りながら進めることが重要。
自然エネルギーを推進するために、日本を通過する渡り鳥が風力発電の犠牲になったらいけない。

環境のこと。
原発や温暖化など、その他にもたくさんあって、問題の大きさに圧倒されそうになりますが、次の世代のためと思うとき、また気持ちが奮い立ちます。
子どもたちのために、状況を良くしたい。
私には自分の子どもは居ませんが、こういう感覚は誰にでも共通する、生き物としての本能のようなものじゃないかと思います。
だから、この一点でたくさんの人と繋がれる。

子どもを守ること。それから、日本ならではの自然の守り方をすること。
これが、今日頂いた大切なメッセージだと感じました。

 


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