穀菜食堂なばな

オーガニックを日常に
昭和の香り漂う路地の奥、尼崎の和風ヴィーガン食堂。

自然の色をいただく

2017年04月10日 | ┗つくったもの

なばな定休日の昨日は、友人の皆さんと一緒に、久しぶりに草木染めを楽しみました。
10年ほど前から趣味として細々と染めたり縫ったりしていますが、頭の中のイメージを具体的な形にしていく過程には、得も言われぬ喜びがありますね^^

今回染め材として使ったのは、キハダ(左)とザクロの果皮(右)。
布は、豆乳で下処理した綿麻の生成り布を使いました。


染め材を煮出した染め液に布を浸し、水洗いと媒染を繰り返して仕上げます。


↓ 写真は、ミョウバン媒染の後に水洗いしたものです。
あの堅い皮から取り出されたのは、鮮やかなイエローでした。


さらに鉄媒染との違いを確認してみます。

下の画像は、右がミョウバン媒染、右が鉄媒染で処理したもの。
皆さん、色のコントラストに驚かれる瞬間です。


この後は、それぞれの目的に応じて、染めを仕上げていきます。
私は、絞りを数か所施したものを、ミョウバン媒染で仕上げて縫い合わせ、文庫本カバーを作りました。
ボタンのように見えるのは、テストに使った鉄媒染の布片です。
丸く切ったボール紙を、布でくるみました。


「日本の色を染める」というタイトルで、染め司よしおかの当主さんが書かれた本があって、人間が自然界の中からどのように色を取り出して自分のものにしていったのかという過程が記されているのですが、その願望がかなったときの喜びが理解できるような気がします。自分の中にある自然と、外側にある自然が呼応しあうような喜び、病みつきになります。

外を歩くと、いつもの散歩道にもたくさんの恵みが置かれていることに気づきます。
桜色は、花が開く前の頃、堅い樹皮の下に隠されているそうです。
とても奥ゆかしい色ですね^^


自分の手を使って物を作ることは、人間の根本的な喜び。
人間以外の動物は、衣食住にまつわるものすべてを自分で手に入れているのだから、これはもっと根源的な、動物としての喜びなのかも知れませんね。

自然から頂く喜びには、尽きることのない豊かさを感じます。
染物で言えば、人工的な数値で表現される色とは対照的な、自然からの色味にははっきり定義できない曖昧な部分が含まれていて、そこに多くの豊かさが含まれているように思えます。
また、自然からの恵みを頂くことで、とても謙虚な気持ちにもさせられます。
自然に対する敬意を保ち、喜びを頂くことで人間らしく過ごせるのかも知れません。

次は何を作ろうか、すでに楽しいイメージが生まれました。
夏向けの巻きスカートやサロン、自分で染めた半幅帯など、実現してみたいです。
なばなの場所を開放して、縫い物の時間などにしてみるのもいいな。
皆さんも一緒に手を動かしにきてください。
きっと、満たされる時間になることと思いますよ^^


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