◆美大は多浪が当然!?
結論から言うと、美大に入りたければ都立総合芸術高校に入るべき。
美術系の大学は、景気に左右されず毎年一定の入学希望者がいる。
しかし、美大に入ることは簡単ではない。
一浪二浪が当然という世界でもある。
国内最高峰、東京藝術大学(以下、芸大)が公表したデータでは、
2017年度の美術学部入学者のうち現役は31.3%だった。それ以外は
1浪…27.4%
2浪…18.7%
3浪…9.1%
4浪以上…9.6%
高卒認定等…3.9%
2浪…18.7%
3浪…9.1%
4浪以上…9.6%
高卒認定等…3.9%
入学者230人中、158人は現役生以外で占められている。
他の国立大学は圧倒的に現役生が多い。
東京大学でも現役生が60~70%だ。
なお、東大は意外にも理科三類(医学部医学科)の現役率が最も高い。2019年度は77.3%だった。
理科二類が最も現役率が低く、4年連続(2016~2019年度入試)で60%を下回った。
ではその美大に入るため、どの都立高校に進めばいいのか。
その調査を今回はお伝えする。
◆ダントツは都立総合芸術高校
各高校が公表している現役合格者数を並べた。
参考のため、埼玉の県立芸術総合高校も入れてある。
5美大と呼ばれているのが
武蔵野美術大学(ムサビ)
多摩美術大学(タマビ)
東京造形大学
女子美術大学(ジョシビ)
日本大学藝術学部
多摩美術大学(タマビ)
東京造形大学
女子美術大学(ジョシビ)
日本大学藝術学部
であるが、高校が発表している合格実績では日本大学の学部までが不明なため、今回の集計には日本大学藝術学部は含んでいない。
数だけ見れば、総合芸術高校の圧勝である。
芸大はもとより、他の美大合格者も多い。タマビ、ムサビ合格数も他を圧倒している。
2018年度卒業生数は
総合芸術(美術、舞台表現、音楽) 161名
工芸(アートクラフト、マシンクラフト、インテリア、グラフィックアーツ、デザイン) 171名
大泉桜(普通) 222名
片倉(普通、造形美術コース) 308名
芸術総合(美術、音楽、映像芸術、舞台芸術) 149名
◆総合芸術高校 一般入試のしくみ
上記は過去6年間の美術科の実倍率。
一般入試で2倍前後。そこまで高くないと考えよう。
美大受験はそれよりはるかに高倍率だからだ。
まずは一般入試の仕組みから見ていこう。
一般入試で採点されるものは3つ。
1.国語・数学・英語の学力検査点 600点
2.調査書点 400点
3.実技検査 700点
「1.国語・数学・英語の学力検査点」は都立共通問題を使う。試験時間も各50分と変わらない。
「2.調査書点」は要注意。学力試験のない実技4教科と理科社会2教科は2倍換算される。
他の都立高校よりも、理科社会の内申点は重要だということ。
「3.実技検査」では"水彩による静物着彩"を課される。過去のモチーフは公表されており、参考にされたい。
↓2018年度モチーフ
持ち時間は4時間。学力検査の翌日、9:00~12:00と13:00~14:00に分けて実施される。
持込が必要なものは受験票と昼食のほかに
・水彩用具一式【水彩絵の具(アクリル絵の具可),筆,筆洗,パレット,雑巾】
・鉛筆
・消し具
・ナイフ
・鉛筆
・消し具
・ナイフ
合格するために最も重要視されるのは当然「3.実技検査」である。
成績オール5でも「3.実技検査」がダメならまず受からない。しかし、「3.実技検査」が抜群でも学力がダメなら受からないのが総合芸術高校。
学力も画力もある生徒を求めているのだ。
◆総合芸術高校 推薦入試のしくみ
推薦入試で採点されるものは3つ。
1.個人面接 100点
2.調査書点 500点
3.実技検査 700点
「2.調査書点」は一般入試と違い9教科すべて同じ扱い。美術も同じ。
「3.実技検査」では"鉛筆による素描"、つまりデッサンを課される。過去のモチーフは公表されており、参考にされたい。
↓2018年度モチーフ
持ち物は受験票の他に、
・鉛筆(2H~4B程度)
・消し具
・ナイフ(鉛筆を削る)
・消し具
・ナイフ(鉛筆を削る)
持ち時間は3時間。推薦入試初日、9:00~12:00に実施される。
なお個人面接は2日目に実施する。
推薦でも最重要なのは「3.実技検査」
デッサンは美術の基本。「水彩は苦手だけど、デッサンは得意」など得手不得手は誰にでもある。
出題形式が変わることはまずないだろう。今から一般・推薦のどちらでも受かるように訓練していこう。
◆学力検査対策
ここで差をつけられれば大きい。
美大に進みたい子は、普段から絵のレッスンがあり時間も取られる。
効率的な入試対策が必要になるだろう。
都立入試対策については、当ブログの他記事も参考にされたい。
なんでも書いてある。
~すでに高校に進んだキミへ~
「芸大入学者に出身校を聞くと高校名ではなく美術予備校名を答える」と言われるほど、美大に進むには「すいどーばた」、「新美(新宿美術学院)」、「御茶美(御茶の水美術学院)」などの美術予備校が不可欠という一面もある。
高校に入ったら、こういった美術予備校も見ておくといい。
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