[2020年9月3日 更新]
私は都立高校の専門学科(かつての職業科)を推している。
高校を選ぶ際に目的もなく「何となく普通科」とするくらいなら、専門学科に進んだ方がいい。
何も考えず「とりあえず都立、とりあえず普通科」という思考は何も考えていない。周りの"何となく"の雰囲気に流されているだけ。
専門学科でなく、最下層の普通科高校に通うメリットは何かあるだろうか。
申し訳ないが私には1つも思い浮かばない。1つも、だ。
特に通知表の国数英社理で「2」があるような子は専門学科に進み、今までのお勉強とは違う学びを体験してほしい。
◆農業科を見てみよう
「農業科=将来は農家で畑を耕す」と考えている中学生・保護者はいないだろうか。高度経済成長期(1955~1973年)以前ならそうかもしれない。
今の農業科は農業だけでなく生活デザイン科・食品科・畜産科・緑地計画科など様々なことが学べる。
もちろん高校なので英語、数学なども学ぶ。が、普通科高校よりも勉強勉強した科目は少ない。
もし大学に行きたいのなら、推薦入試等を利用したほうがいい。
一般入試で大学に行くということは農業高校にとっては"特殊なケース"だから。
以下は都立農業高校の教育課程。
数学は数Ⅰ・数Aまで。歴史も日本史・世界史ともAしか学ばない。
思い切り英語や数学を学びたいのなら専門学科は薦められない。でもそんな子いないでしょ?
その分、普通科高校では学べないことが学べる。
「造園基礎」と「造園応用」の違いも気になるでしょ?
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画像引用:都立農業高校HP
もちろん欠点もある。
大学を一般入試や「共通テスト利用入試」で受験しようとする場合だ。
専門学科の高校では、そういった対策が普通科高校に比べれば薄い。
さっきも書いたが、専門学科の高校からは推薦で大学に入った方がいい。大学受験の勉強をする高校ではないからだ。
都立では5つの農業科高校がある。
園芸高校、農芸高校、農産高校、瑞穂農芸高校、農業高校だ。
それぞれの違いは各校のパンフレットを見比べて欲しい。
なお大島高校、八丈高校、三宅高校の島しょでも学べるが、このブログ読者には関係ないだろうから今回は取り扱わない。あしからず。
◆卒業後の進路は
学校経営シートから数字を集計したものがこれ。
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園芸高校は9月2日時点で2020年度(令和2年度)の学校経営シートが載っていなかったため空欄である。残念だ。
就職する生徒がいちばん多いと思いきや、どの農業科高校も専門学校への進学が最多。
場所柄か園芸、農芸高校は(2019年度の)大学進学率も高かった。
大学進学するのが2割前後。これは全く問題ないと思う。
専門学科は進学することが前提の高校ではない。
確かに大学進学すれば将来の選択肢は広がるし、生涯の賃金も高卒に比べれば多いというのが現状。
カネを人生で最重視すべきかどうかはその人次第。カネ以上に4年間という時間を別のことに使いたいと考えてもいいのではないか。
高校に入って「やっぱり大学に行きたい」と考えるのであれば、行ける範囲の大学を目指せばいい。都立高校なら指定校推薦も多く持っている。
◆どんなコースがあるか
園芸高校…園芸科、食品科、動物科
農芸高校…園芸科学科、食品科学科、緑地環境科
農産高校…園芸デザイン科、食品科
瑞穂農芸高校…畜産科学科、園芸科学科、食品科、生活デザイン科
農業高校…農業学科:都市園芸科、緑地計画科、食品科学科
家庭学科:服飾科、食物科
いずれの学校にもあるのが「食品科」や「食品科学科」。パンやソーセージなど実際に食品を作ってみるなど実習が多い。身近な食品というテーマを学べる。
当たり前だが人は食べることを止めない。ずっと必要となる学習であろう。家畜を飼うということは、その命を食べるということ。そういった当たり前だけど見えないようにしていることも学べる。
そもそも、高校に行く目的は大学受験勉強のためなのだろうか。
いま一度、考えてみて欲しい。
◆この本は読んでみて
ちょっとでも農業高校に興味を持ったのなら、「農業高校へ行こう!」という本を読んでみて欲しい。
都立高校だけではなく、日本全国の農業系高校の取り組みが紹介されていてとてもわくわくする。間違いなく1日で読破するだろう。
「ここに行きたい!」と思える学校ばかり。
長野県上伊那農業高校の鹿肉ジャーキーを作る話は必見。
同じ年代の子らがこんなにしっかり考えて行動している、と目からうろこが落ちるだろう。
学校の図書室に合ったらラッキー。すぐ借りよう。
都立に入る! ツイッター 毎日役立つ情報。ミンナニナイショダヨ
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