
初任研が終わりました。
私は今回は、それぞれの先生方の、教材分析と指導案作りに係わらせていただきました。
指導案については、授業の流れという観点でかなり強引に直していただきました。
①いきなり大問題を確認して授業に入る。
②すぐに答えを類型化し、決をとり、それぞれの立場を決めさせる。
(大問題は、展開の核を分析・解明していけるようなものであり、かつ類型化した結果あきらかな対立する答えがでるものにこだわりました。)
例えば、
4年生「白いぼうし」では、松井さんが夏みかんを載せたのは「においがよいため」なのか「母親の気持ちがうれしいから」なのか。
2年生「スイミー」では、スイミーは小さな魚たちを岩陰から出すときに、命を助ける自身が「あった」のか「なかった」のか。
6年生「白鳥...」では、悲しからずやは「悲しい」のか「悲しくない」ことなのか。
等です。
3年生「三年とうげ」では、トルトリはおじいさんの病気を治す自信が「あった」「なかった」
ただしこれは全て採用されたわけではありませんでした。子供からこの問題は出ないと、担任の先生に選択されず、別の問題に変わった学年もあります。
4年生は、「白いぼうし」では、松井さんが夏みかんを載せたのは「自分のため」「お客のため」のどちらか。に変わりました。
2年生「スイミー」では、岩陰から出なければならない理由は「おもしろいものを見るため」「そこにいたら死ぬため」なのか。に変わりました。
3年生は、おじいさんの気持ちで単元を通して学びたいと言うことで、退けられました。
③展開の核をさがす。段落をしぼり、文をしぼり、文節に切り、できれば単語まで到達する。
④展開の核の、根拠になる言葉を元に話し合いを行う。
⑤まとめる
という形に統一させていただきました。ですから、一度作った指導案を、本時についてはかなり根本的に直していただきました。最初に出していただいた指導案は、ほぼ次のような展開になっていました。
①大問題に行き着くための学習。②大問題を作る学習。③大問題の答えをあれこれ出し合ってみる学習。④あれこれ出し合った意見を類型化してまとめて、対立問題に仕上げる学習。⑤展開の核を見つける学習。⑥展開の核を切って、大事な言葉を見つける学習。⑦大事な言葉をもとに話し合う学習。⑧まとめる学習。..この、①~⑤までを前時で行い、本時は⑥から入ってほしいとお願いしたのです。授業には流れがあります。まずこれをやって、これを押さえてからいよいよ中心になる部分に取りかかるというような考え方です。それを、いきなり中心から始めてくださいとお願いしたわけです。
これは、おそらく受け入れがたいことですので、それを分かっていただくために、全て私も指導案を作成し、「私ならこう流します。」と対案を示してお願いに上がりました。
せっかく作っていただいた指導案を、こうして大幅に直していただきました。これで良いだろうと思ったところで、教頭先生に起案を回しました。
ところが、また、教頭先生から各先生方にだめ出しが出ました。そこで先生方は、また大幅に指導案を手直ししました。
教頭先生がみなさんの指導案を集め、ここまで直せば完成だろうと、校長先生に起案を回しました。
ところが、また、校長先生から各先生方にだめ出しが出ました。そこで先生方は、また大幅に指導案を手直ししました。
こうしてできあがってきた指導案をまた、一からチェックします。すると誤字や脱字があったり、全ての指導案をつきあわせてみると単元観の書きぶりが統一されていなかったりします。そこでまた、書き直していただきます。
おそらくどの先生も、5~6度も指導案を作り直したのではないかと思います。
その結果が、この日の授業に、授業の子ども達の様子に現れました。結論まで達しなかったクラスがありましたし、議論がぐるぐる空転したクラスもあります。欲を言えばきりがありません。どの授業も子ども達が、教材と真剣に格闘し、先生が子ども達の前で立ち往生して悩み、ピンと張り詰めた空気の中、熱い議論を積み重ねていました。大成功だと感じました。
私としては、あれだけ教材解釈から、指導案まで苦しい作業を強いて、毎晩遅くまで頑張っていただいたのですから、先生方に申し訳ないなあと思っていました。でも、授業後に、何かをつかみ、クラスが前進したと手応えを感じている先生方を見ることができ、良かったなあとほっとしました。
私の初任者の指導の中には、光明小で皆さんがつくり出したすばらしい実践を元に話をするときがありますが、口頭での説明は、まことに空虚であり、理解していただけない部分が多かったのです。しかし、今回の初任研で実際に授業を参観したり、展示してある絵画を見たりして、ほんとうに理解を深めてもらうことができました。
それは、「いつも河島先生が言っているとおりでした。とても勉強になりました。」という初任者の言葉によく表れています。ありがとうございました。
それにしてもブログを読むと大変だったなーと思います。指導案を何回も書き直した。大問題のとらえ方、その扱いと展開の手順など考えに考え作成したことなどです。
斉藤喜博は、先生方が出した指導案をさっと見て、4Bの鉛筆で、ばっさりと斜めに線を引き、「ここは余分ですね」などとやったようです。そういうことを繰り返し、何回も書き直して先生方は力をつけていったようです。
今回の初任研の授業案も何回も書き直しましたが、確実に先生方は力をつけたのではないかと思います。
ブログにも書かれているように、「その結果が、この日の授業に、子どもたちの様子に現れました。・・・・・どの授業も子どもたちが、教材と真剣に格闘し、先生が子どもたちの前で立ち往生して悩み、熱い議論を積み重ねていました。大成功だと感じました」という事実によってもそれがよくわかります。