【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

≪迷う、悩む≫開業届(個人事業者)を税務署に提出すべきか?

2015-08-29 12:45:00 | 起業(会社設立など)と経営
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を税務署に提出することをためらう人がいます。開業届は、事業の開始をした日から1か月以内に提出しなければなりませんので、提出することを迷ったり悩んだりする余地はありません。

◆開業したといえるのか?(この先どうなるかわからない・・・)

開業届を提出しない第一の理由はこれです。

誰しも、事業の開始をした時点では、先はどうなるのか、つまり、事業に成功して多額の所得を得て多額の納税をすることになるのか、それとも事業に失敗して無一文になるのかはわかりません。「事業の開始」とは、客観的に見て事業を開始したことが明らかで(店舗を構えた、サイトを開設したなど)、本人が事業をするという意志を持っているということです。先のことは関係ないのです。そうであれば、開業届を提出しなければならないのです。そうすることが法律で義務付けられているのです。

◆雑所得で申告したい

このような難しいことを知っている人がいます(笑)。

事業所得の場合は、いわゆる記帳義務があります。記帳義務とは、事業所得の計算の基となる収入と必要経費に関する証拠と記録を残す義務です。この記帳義務に対して身構える人がいます。実際、この記帳義務を果たすことは容易でありません。十分な記帳ができず、税務調査で税務署から厳しい指摘を受けることもあります。かといって、記帳義務を逃れるために、事業所得を雑所得として申告することはできません。

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★開業の事実と所得の区分は税務署が決めます

開業届の提出がない場合、開業の事実を決定するのは税務署です。開業届の提出がないのに事業所得の確定申告をしていない場合には、税務署が開業の事実を突き止めて事業所得の申告をするように促してきます。また、所得の区分(事業所得か雑所得か)を決定するのは税務署です。

「これで事業の開始かな?」と感じたならば、まずは税務署に電話(匿名でもOK)で確認することをおすすめいたします。

★開業届を提出しないで事業所得の申告をしている人がいる

確かにいますね(笑)。

開業届の提出は、納税者の「開業したという認識」を税務署に知らせて、「開業の日」を明確にするためにあるの「だと思います」。当たり前のことですが、必要経費は開業日以降しか認められません。また、初年度の青色申告の申請は開業から2か月以内にしなければなりません。

開業届の提出がない場合には税務署も開業の日がわかりませんので、開業届の提出がないまま初めて事業所得の申告をしてきた納税者に関しては「開業の日」を調べなければなりません。そして、その開業の日を基準にして様々な税務的な判断をすることになります。

やはり、税務署と「開業の日」に関してもめたくない場合には、開業したならば速やかに開業届を提出しなければならないということです。「後出し」の開業届(開業の宣言)は信用してもらえないのです。