深い悲しみと怒り、2012年は暗澹たる思いの一年であった。が、個人的にただひとつ明るいニュースは、このブログにも何度か取り上げた大阪・釜ヶ崎で出会ったTさんの選挙権剥奪違法訴訟の2審判決であった。結果的には原告、被告、双方の上告を棄却というものであったが、実質的にはTさんの勝利だ。
1審判決でも、仮投票をさせなかったのは違法としているが、傍聴を続けてきた人から、気持ちが悪いという声が聞かれるほど、何とか被告大阪市に有利にという意図が如実に感じられた。けれど、2審判決はそれらの部分をズバリと切り捨て、比較的公正で筋の通った判決が示された。
だが、認められて然るべき本投票の部分はやはり認められず、自分を含めて周囲の支援者からは最高裁に上告、最終的には国際人権条約に通告を考えていたが、Tさん本人は、大阪市から見ればゴキブリのごとき人間が、マンモスのような大阪市をきりきり舞いさせてやった。認められえなかった部分は裁判官も一から十とはいかんだろ。だが、ウソにウソを重ねた大阪市に、2審の判決の行間にも「嘘もいい加減にしろ」という思いがチラチラ見える。投票できなかった仲間のことも触れているし、相手が上告しなかったらこちらからはしない、と言っていた。結局、大阪市は上告せず、6月末にTさんの6年間のたたかいは一応終わった。
命と選挙権があれば何もいらないと言っていたTさんは今回の衆議院選挙をどう思っているだろうか。過去最低の投票率、実質10%ちょっとの得票で自民党圧勝。原発推進、利益誘導型の政治に逆戻り、憲法改悪、軍靴の音も聞こえてきそうだ。
2013年はどんな年になるのか(普)