クモの姪とは若者はハチという渾名でとおっていた。首都の育ちで幼ななじみどうしであり、
「私の身も心もチクチク刺すから、ハチ」と彼女がこの渾名をつけたのだった。旅行にでた日、城門への坂道をのぼりながら彼女は、花の蜜のような甘い声で呼ぶように、
「二人で旅にでてきて、よかった」
とハチの腕にすがりついてきた。
(つづく)
「私の身も心もチクチク刺すから、ハチ」と彼女がこの渾名をつけたのだった。旅行にでた日、城門への坂道をのぼりながら彼女は、花の蜜のような甘い声で呼ぶように、
「二人で旅にでてきて、よかった」
とハチの腕にすがりついてきた。
(つづく)