50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

「あの曲に乗って滑れるやなんか思わんかったわ」

2016-04-19 21:39:39 | 小説
「あの曲に乗って滑れるやなんか思わんかったわ」
脇腹に抱きつくフィニッシュを決め、イチョウのこずえにその視点を保ち続けている。啓は盗みみたつぶらな瞳のかわいい和子の丸い顔に、愛情を疚しさに似て抱いた。啓の視線は車道際にとぼとぼと歩く一羽の鳩に向かって、「あああの曲。〈ふしぎの森のイメージ〉乗って滑るのは、ぼくかて至難の技やねん」

(「南幻想曲」つづく)


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