「あの曲に乗って滑れるやなんか思わんかったわ」
脇腹に抱きつくフィニッシュを決め、イチョウのこずえにその視点を保ち続けている。啓は盗みみたつぶらな瞳のかわいい和子の丸い顔に、愛情を疚しさに似て抱いた。啓の視線は車道際にとぼとぼと歩く一羽の鳩に向かって、「あああの曲。〈ふしぎの森のイメージ〉乗って滑るのは、ぼくかて至難の技やねん」
(「南幻想曲」つづく)
脇腹に抱きつくフィニッシュを決め、イチョウのこずえにその視点を保ち続けている。啓は盗みみたつぶらな瞳のかわいい和子の丸い顔に、愛情を疚しさに似て抱いた。啓の視線は車道際にとぼとぼと歩く一羽の鳩に向かって、「あああの曲。〈ふしぎの森のイメージ〉乗って滑るのは、ぼくかて至難の技やねん」
(「南幻想曲」つづく)
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