50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

クモ。クモという名に・・・

2015-02-04 20:02:27 | 小説
クモ。クモという名に変わる男。だが毎日、毎日当然にように、まだひたすら見かけだけをそのようにして帰宅する。小公園も抜けてきて帰って、運動に、健康にいいらしいから、とマンションの九階まで一段一段階段をかけのぼる。もちろんエレベーターは十三階建てのマンションだから、なくはなかった。クモの一歩一歩が見かけは敏捷。でも案外捗らないものに相違なくて、男がコセツクのはみっともないと思うが、とクモは思っていた。例外にして九階までかけのぼるが足音をひそめるのはなれている。社内でもどこでもクモはそうだったのだから。ただ腹が邪魔をした。

(つづく)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿