商店街を抜けると、クモは姪のことをすっかり忘れてしまっている。街路を隔てた、古典風の偉容を見せた劇場、垂れ幕がヒイキの女優で、なまめく初の絵姿と眺めた。晴れやかな心持ちのクモは、目から鱗がもの憂さが落ちつくした。草のはすはな世にまじり・・・・・・か。そう口ずさみ、いっぱしの好事家気どりだ。劇場へ歩道を渡っていくと、青信号が初夏の晴れ空に溶け入っているようだった。
「流れの身・・・・・・どうで女房にゃもちゃさんすまい、いらぬものぢゃと思えども」
とすらすら口にでてきた。思えども、嘆けども・・・・・・見も世も思うままならず。
「どうしたことの縁じゃやら、か」・・・・・・
(つづく)
「流れの身・・・・・・どうで女房にゃもちゃさんすまい、いらぬものぢゃと思えども」
とすらすら口にでてきた。思えども、嘆けども・・・・・・見も世も思うままならず。
「どうしたことの縁じゃやら、か」・・・・・・
(つづく)
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