令和6年11月13日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和6年(ネ) 第2683号 損害賠償請求控訴事件、同第38号 同附帯控訴事件
(原審・東京地方裁判所和3年(ワ)第33995号)
口頭弁論終結の日 令和6年9月4日
判 決
東京都
控訴人兼附帯被控訴人 株式会社
(以下「控訴人」という。)
同代表者代表取締役
同訴訟代理人弁護士
同
同
同
東京都
被控訴人兼附帶控訴人
(以下「被控訴人」という。)
同訴訟代理人弁護士
同
主 文
1 本件控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
(1)被控訴人は、 控訴人に対し、 66万円及びこれに対する令和元年8月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 控訴人のその余の請求を棄却する。
2 本件附帯控訴を棄却する。
3 訴訟費用は、第1、2審を通じ、これを3分し、その2を被控訴人の、その余を控訴人の負担とする。
4 この判決は、第1項(1) に限り、 仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 申立て
1 控訴の趣旨
(1)原判決中、控訴人敗訴部分を取り消す。
(2)被控訴人は、 控訴人に対し、更に60万円及びこれに対する令和元年8月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2附帯控訴の趣旨
(1)原判決中、被控訴人敗訴部分を取り消す。
(2)上記敗訴部分に係る控訴人の請求を棄却する。
第2 事案の概要(以下、略語は、特に定めない限り、原判決の表記に従う。)
1 本件は、キリスト教関連の情報発信等の事業を営む控訴人が、被控訴人がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で行った投稿(本件各投稿)によって名誉等を損なわれたと主張して、不法行為による損害賠償請求権に基づき、110万円及びこれに対する令和元年8月7日 (最後の不法行為が行われた日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審は、1投稿2 原審は、 1 投稿2 (侵害部分2) 2投稿3の一部(侵害部分3 (1)及び(2)の各一部並びに (4)) 3 投稿5の一部(侵害部分5 (1) (2) 及び (3))については、控訴人の社会的評価の低下を肯定し、真実性の証明及び相当性も認められないとして、それぞれ不法行為の成立を肯定し、被控訴人に対して、 50万円 ((a)投稿 2、投稿3及び投稿5の各不法行為に係る損害として各15万円、
(b) 弁護士費用5万円の合計額) 及びこれに対する上記同日から支払済みまで
上記同割合の遅延損害金の支払を求める限度で認容した。
他方、原審は、 (a) 投稿1 (侵害部分1) 投稿3の一部(侵害部分3 (1) 及び (2) の各一部)、投稿4(侵害部分4 (1) 及び (2)) 及び投稿5の一部(侵害部分5 (4))については、控訴人の社会的評価の低下を肯定しつつ、真実性の証明があったとし、 また、 (b) 投稿3の一部(侵害部分3 (3))については、控訴人の社会的評価の低下を否定し、それぞれ不法行為の成立を否定した。
これに対し、控訴人・被控訴人の双方が、 それぞれの敗訴部分を不服として控訴・附帯控訴した。
2 前提事実
原判決の 「第2事案の概要」 の1記載のとおりであるから、これを引用する。
3 争点及び争点に関する当事者双方の主張
原判決の「第2事案の概要」の2及び3記載のとおりであるから、これを引用する。
4 当審における当事者双方の補充主張の要旨
(1)控訴人の補充主張
ア 投稿1について
侵害部分1については、真実性が認められず、被控訴人が侵害部分1の摘示事実を真実と信じたことにつき相当な理由もない。
イ 投稿3について
侵害部分3 (1) のうち 「法的なことはどうでもよい」との表現、侵害部分3(2)のうち「困れば借金をすればよい」との感覚であったとの表現については、いずれも真実性が認められず、被控訴人がこれらを真実と信じたことにつき相当な理由もない。
侵害部分3 (3) は、宣教師個人に関する事実の摘示ではなく、その所属する組織である「共同体」 ないしその一つに属するとされた控訴人に関する事実の摘示であるから、控訴人の社会的評価を低下させる。
ウ 投稿について
侵害部分4については、真実性が認められず、被控訴人が侵害部分4の摘示事実を真実と信じたことにつき相当な理由もない。
エ 投稿5について
侵害部分5 (4) については、真実性が認められず、 被控訴人が侵害部分5(4)の摘示事実を真実と信じたことにつき相当な理由もない。
(2) 被控訴人の補充主張
ア 投稿2について
侵害部分2は、侵害部分2の前の記述で摘示された体験に基づく事実を前提とした上で、控訴人が無軌道な思考の持ち主によって運営され、まともな事業を営めないこと、社会性を逸脱する傾向を有するとの意見、論評を述べたものである。このことを前提とすれば、 侵害部分2は控訴人の社会的評価を低下させない。
また、原記事2の一般読者は、 クリスチャンであり、当該読者は日本基督教団が出した議長声明等の内容を把握した上で原記事2を読むから、侵害部分2は控訴人の社会的評価を低下させない(なお、本件各投稿の一般読者を上記のように限定すべきことは、いずれの記事においても同様である。)。
侵害部分2については真実性が認められ、かつ、被控訴人が侵害部分2の摘示事実を真実と信じたことにつき相当な理由もあるというべきである。
イ 投稿3について
侵害部分3 (1) のうち「詐欺師顔負けの劇場型詐欺」、「法を犯して警察が介入」との表現、侵害部分3 (2)のうち 「詐欺的方法」 との表現は、いずれも意見、論評であり、このことを前提とすれば、上記各部分は、控訴人に対する社会的評価を低下させない
。
侵害部分3 (1) のうち 「詐欺師顔負けの劇場型詐欺がスタートしていきました」、「法を犯して警察が介入したとしても (中略) 信者個人がやったことにすれば逃げきれます」 との表現、 侵害部分3 (2) のうち「詐欺的な方法で1円でも多く金を得ればよい」との表現についての真実性の立証対象は、いずれも、「法を軽視し、 違法行為の責任を関係者たる個人に転嫁し、借金や詐欺的な手法等での金銭獲得を容認する組織感覚を有していた」かどうかであり、このことを前提とすれば、真実性は認められるというべきである。
侵害部分3 (1)、(2)(4) 真実性が認められなかったとしても、被控訴人がこれらを真実と信じたことについては相当な理由があるというべきである。
ウ 投稿5について
侵害部分 5. (1) は、 控訴人がビジネスとして成り立っておらず、法令遵守もされていない会社であるという意見、論評をしたものであり、このことを前提とすると、 当該部分は控訴人の社会的評価を低下させない。
侵害部分5 (2) 及び (3) については、日本基督教団が出した議長声明等により、控訴人を含む共同体において、 異端とされる教義が教えられていることや、その構成員が虚偽の説明をするためにほかの教会に所属していたことなどは既に明らかになっているから、 控訴人の社会的評価を低下させない。
侵害部分5 (1) ないし (3)については真実性が認められ、かつ、被控訴人がこれらを真実と信じたことにつき相当な理由もあるというべきである。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所は、原審と異なり、控訴人の請求のうち、投稿1 投稿3の一部(侵害部分3 (1) 及び3 (2) の各一部並びに3(3)) 及び投稿5の一部 (侵害部分5 (4) の一部)を除き、本件各投稿については不法行為が成立し、被控訴人に対しては、損害賠償金66万円及びこれに対する令和元年8月7日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるものと判断する。 その理由は、次のとおりである。
2 判断枠組み
原判決の 「第3 当裁判所の判断」 の1記載のとおりであるから、これを引用する。
3 認定事実
次のとおり補正するほか、原判決の 「第3 当裁判所の判断」の2(ただし、令和6年5月7日付け更正決定後のもの) 記載のとおりであるから、これを引用する(以下、補正後の原判決 「第3.当裁判所の判断」の2の記載を「認定事実」という。)。
(1)7頁11行目の「原告が設立された当時の従業員には」 を 「高柳のほか、原告が設立した当時の従業員には」に改める。
(2)8頁1、2行目の「罰金刑を受け、その後、 設置州の当局から閉鎖を命じられた」を「罰金刑を受けた」に改める。
(3)8頁6行目冒頭から15行目末尾までを次のように改める。
「 (3) ア 〇〇は、平成14年頃から東京ソフィア教会に通うようになり、平成16年春頃から数か月間と平成17年8月頃、控訴人の活動に無償で従事したことがあったが、平成21年頃、張牧師の関連組織での活動をやめた(以下「脱会」という。)。 なお、〇〇は、この間、北村宗範(以下「北村」という。)と婚姻した。
○○は、平成14年9月頃、 北村と共に、 同教会の宣教師から聖書講義を受けたところ、その講義においては、 清められた者、従順な者が共同体(第3のイスラエル、 新しいイスラエル) を作り、キリストの体となること、その共同体の完成はキリストの再臨であることが説かれ、その共同体の創始者がダビデ牧師と呼ばれていた張牧師であることが暗に示唆されていた。 なお、 北村は、上記の聖書講義等に関して、2002 年9月付けノート (乙40) 及び 2004年8月付けノート (乙41) を作成していた。これらのノートには、「イスラエルの国=神の国」「新しいキリストの来臨」「神の国の再興」「新しいイスラエル」「第3のイスラエル」などの記載(乙4.0の2、乙40の3)のほか、張牧師の誕生日に言及する部分(乙41の25頁)がある (乙163)。
他方、□□は、平成15年頃、張牧師の関連組織である大阪府所在の教会を訪ね、伝道師等から、張牧師が再臨のキリストであることを示唆する講義を受けた。 □□は、 その後、 東京に転居し、平成17年3月頃から平成18年8月頃までの間、控訴人の活動に無償で従事したが、同月頃、脱会した。なお、□□は、この間、張牧師を信奉する男性と婚姻したが、同人は、張牧師は特別の存在であるものの再臨のキリストであるとは認識していなかった。
〇〇や□□は、張牧師本人又は宣教師から、旧約聖書のエピソードを基にするなどして、うそも 「知恵」 である旨を説かれたことがあった。(以上につき36 40~42, 98、 105、 131~133、139、 証人〇〇15~9、 10頁、 証人□□1~2、 5、 10頁)
(事実認定に関する補足説明)
控訴人は、上記のノート(乙4041)には、張牧師が再臨のキリストであることを示唆するような記載がなく、これらの点に関する□□証言や〇〇証言は、約20年前の出来事についてのもので信用できないことを指摘して、 東京ソフィア教会等において、 異端的な教義が教え込まれていたことはない旨主張する。
しかしながら、 上記で認定したノートの記載からうかがわれるとおり、東京ソフィア教会等の宣教師等は、正統派のキリスト教の教義から外れる内容を講義し、張牧師に関する言及もあったことを勘案すると、平成14年頃から平成15年頃にかけて、東京ソフィア教会等において宣教師等から講義を聞いた証人〇〇や証人□□が、 張牧師が再臨のキリストであることが示唆されたとする供述は、信用できるというべきである。この点に関する控訴人の主張は採用することができない。」
(4) 8頁21行目の「信奉者が」の次に「前述した〇〇や□□以外にも」を加える。
(5) 9頁7行目冒頭から16行目末尾までを次のように改める。
「 エ 控訴人の代表取締役であった高柳は、東京ソフィア教会において伝道師等を務めていたが、控訴人の設立後、峯野龍弘牧師(以下「峯野牧師」という。)が主管牧師を務めるウェスレアンホーリネス教団淀橋教会(以下「淀橋教会」という。)に通うことがあった (甲27、4、9、50 乙14、15)。もっとも、 高柳は、平成16年2月頃に被控訴人と面談した際、日本には所属教会はない旨を述べた (乙23.4~5頁、被控訴人本人3~4頁)。
また、〇〇、□□及び北村は、平成16年ないし17年頃、東京ソフィア教会に通いつつ、 淀橋教会の礼拝に通うことがあったところ、□□は、当時、クリスチャントゥデイが異端だと疑われていたために大きな教会の信者となる必要があると認識しており、また、〇〇は、控訴人の記者が取材を行う際に取材先から所属教会を聞かれた場合にはどのように答えればよいかが話題になった際、 張牧師が「どうして大きな教会に行かないのか」 と発言したことを聞いたことがあった。 □□らは、 淀橋教会の礼拝に通った折に、自身が東京ソフィア教会に所属することを淀橋教会関係者等に明かすことはなかった。 (証人〇〇 14~15頁、証人□□16、17、 24~25頁)
他方、矢田は、平成15年頃から東京ソフィア教会に通い始め、 同教会に籍を置いていたが、平成17年に淀橋教会に転籍し、同教会に通うようになった。 また、 矢田は、同年、控訴人に入社し、 平成23年に控訴人の代表取締役となった。 なお、峯野牧師は、矢田の依頼を受けて、平成23年から令和元年までの間、控訴人の取締役会長を務めていたが、事業の細部には関与はしていなかった。(甲48、 50 乙150、証人□□ 17、24~25頁、 弁論の全趣旨)」
(6) 10頁3行目の「18」 を削り、 9行目冒頭から21行目末尾までを次のように改める。
「ウ控訴人は、平成19年5月、 控訴人ウェブサイトにおいて、 「張在亨は再臨のキリストではない」 旨、控訴人としての見解を表明した。 (甲48, 乙150) 」
(7)14頁19行目末尾に改行の上、次を加える。
「(10) 日本基督教団、 日本福音同盟及びウェスレアン・ホーリネス教団の声明等(以下「本件声明等」という。)
ア 日本基督教団は、平成20年7月12日、 「クリスチャントゥデイ」の発行団体には当初から疑念があり、 張牧師の前歴問題や異端問題が提起されているところ、これらの疑惑が解決されない限り、 キリスト教として同一の線に立つことはできない旨の議長声明(乙2)を発出した。
また、同教団は、平成29年10月に 「統一原理問題全国連絡会」を開催した上、 平成30年1月27日、別件山谷訴訟の平成25年11
月の判決において、 控訴人を含む多数の関連団体・教会が張牧師の影響下にある一体的なものであることが明らかにされたこと、2その後、同グループの脱会者から、張牧師が来臨のキリストであるとの信仰に誘導する聖書講義が行われていた事実や、団体・教会の活動を維持するため、メンバーが消費者金融から借入れをするよう仕向けられたり人事指示を受けて過酷な集団生活や無償労働をさせられたりしていた事実などについて、複数の証言を得たことを挙げ、控訴人など張牧師関係グループに対してキリスト教として同一の線に立つことはできないとの判断を再確認する旨の議長声明 (乙3)を発出した。(乙130の2).
他方、上記の議長声明に対しては、同教団に所属する教職の中には、上記議長声明につき、公平を期した声明ではない旨の抗議などをした者がいた。(甲29,30)
イ 日本福音同盟は、 加盟団体等に対し、 平成16年6月17日付けで、韓国クリスチャントゥデイ新聞の常任理事である張牧師が統一教会のメンバーであるとの報道がされたことを受け、控訴人からの取材を一切受けないこととした旨を報告した (乙19 前記(8) ウ)。また、同同盟は、平成30年12月に開催した理事会において、上記対応を変更しないことを決定した(乙11)。 (乙129の2)
ウ ウェスレアン・ホーリネス教団は、 控訴人に係る特別調査委員会を設け、「張関連団体」と関係のあった複数の者への事情聴取等を行い、 令和2年3月に最終報告 (乙18) を取りまとめた。その内容は、 ①関連団体においては、張牧師を再臨主とする教義が組織的に教えられていたという疑念を払しょくできないこと、②控訴人ほか事業体においては、張関連団体の信者に労務を提供させるほか、 経費を負担させる実態がうかがわれること、③控訴人の財務状況は違法ではないものの健全とはいえない実態がうかがわれることなどを指摘し、控訴人とは一定の距離を置きつつ、その言動を注意深く見守る必要がある旨のものであった。
他方、峯野牧師は、矢田について、 平成17年から現在までの間、異端的な言動や行動が見られたことはなく、 淀橋教会の他の教徒・信徒との交流を積み重ねている旨を陳述している。(甲50)」
4 投稿1について
(1) 原判決の「第3 当裁判所の判断」 の3(1)(2)(ただしイ (イ) を除く。)及び(3) のとおりであるから、これを引用する。
(2) 当審における控訴人の補充主張 (真実性がないこと)について
ア 控訴人は、 1リ・ジョンが宣教師として記載されているメール(乙99)は、出所や趣旨が不明であり、これを根拠としてリ・ジョンが張牧師の宣教活動を行っていたことを認定することはできず、仮にリ・ジョンが宣教活動を行う立場にある者であったとしても、同人の入国が宣教目的の入国であったとは限らないこと、2リジョンは平成15年から平成16年初頭にかけて留学ビザを取得し日本に滞在した後、 平成19年6月から8月までの間は韓国クリスチャントゥデイの記者として報道活動に携わっており、平成19年8月には報道ビザ (在留期間1年) を利用して日本に入国していたことを指摘して、控訴人が宣教師であるリ・ジョンが宣教活動を行う目的で入国する便宜を図るために同人に対して 「入国許可願い及び身元保証確認書」(乙103。以下「本件確認書」という。)を交付した事実は認定できない旨主張する。
また、控訴人は、 3〇〇は平成19年6月当時の控訴人における出来事を直接に知る立場になく、「日韓報道企画会議」 は開催されていない旨の〇〇の証言は信用できないこと、4本件確認書に記載されている「福岡支局」は、控訴人が当時福岡における拠点として日本キリスト教長老教会福岡第一教会の一区画を間借りしていた場所(甲47)を指すものであることを指摘して、控訴人が開催場所を偽った会議の開催等を示す文書を交付した事実は認定できない旨主張する。
イ しかしながら、 上記1のメール (乙99) は、 〇〇が作成したものと認められ(乙98)、「ベレネット記事」とのタイトルの下、「ダビデ先生主催の世界韓国人宣教師チャットにおいて各県の開拓者が決定した」として46の都道府県をそれぞれ担当する宣教師が一覧化されたものであるところ、その内容は具体性に富むものとして信用性を肯定できる。 さらに、控訴人の関係者の間では 「李ジョン宣教師」 のメールアドレスが共有されていたこと(乙101) にも照らすと、リ・ジョンは張牧師の配下の宣教師であったことが認められる。
また、控訴人は、原ブログについて発信者情報開示を求める請求に係る令和2年1月付けの訴状 (乙104) において、 侵害部分1に関し、出入国管理法上、 韓国人が会合を目的として入国する場合に控訴人が 「嘘の保証書」を作る必要はなく、 また、 控訴人には国内外を含め支店や支社は存在していないと主張しており、本件確認書の作成自体を否定する趣旨の主張を行い、かつ、支店や支社の存在を否定していたところ、 本件訴訟において提出された本件確認書について、それが控訴人において作成されたものであることを争わず、教会の一区画を「福岡支局」と称していたと主張するに至った。このことに、本件確認書上、 「福岡支局」の連絡先が高柳とされていることをも勘案すると、 平成19年6月当時、控訴人には福岡において事務所としての機能を有する場所はなく、「教会を即席のクリスチャントゥデイ支部に仕立て」 たことが認められる。そして、本件確認書が会合の開催場所に関する偽りを記載する
ものである以上、仮にリ・ジョンの入国が宣教活動を目的とするものではなかったとしても、出入国管理上、問題視され得るものといえる。
以上によれば、 控訴人が上記で指摘する各点は、侵害部分1の真実性に関する判断を左右するものとはいえず、控訴人の上記アの主張は採用することができない。
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