ウェネトさまの館

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「世紀末ウィーンのグラフィック」(目黒区美術館)

2019年05月29日 06時24分21秒 | 展覧会・美術関連

観てからちと日が経ってしもうたが、たいそうツボだった展覧会でございます。

目黒区美術館「京都国立近代美術館所蔵 世紀末ウィーンのグラフィック デザインそして生活の刷新にむけて」
http://mmat.jp/exhibition/archive/2019/20190413-63.html
(写真撮影は、家具以外は可)


 

世紀末から二十世紀初頭のウィーンでは、グラフィックの分野がめざましく発展しましたのじゃ。

本展は、京都国立近代美術館所蔵が2015年に収蔵した約300件もの世紀末ウィーンのグラフィック作品コレクションと、ルクシュの石膏彫刻やロースの家具一式も展示され、観応えありあり。

既に観てツボだった「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」(国立新美術館)や「クリムト展 ウィーンと日本 1900」(東京都美術館)と関連性があるのも興味深うござります。

来館者が殆どおらんかったゆえ写真もたくさん撮ったのじゃが、額やケースの反射で撮影失敗したものも多いのが残念。

構成は以下の通り。展示の一部もリスト順に。まずは1階からまいるぞよ。

★【1 ウィーン分離派とクリムト】

[1:ウィーン分離派 展覧会と機関誌『ヴェル・サクルム』]


 

・グスタフ・クリムト《ウィーン分離派の蔵書票》カラーリトグラフ
ウィーン分離派の象徴、パラス・アテナじゃ。


 

・オーストリア造形芸術家協会(編)/コロマ ン・モーザー(装丁)《第8回オーストリア造形芸術家協会(分離派)展カタログ》印刷、布、紙/冊子2部
ひょろ長い形も色柄も可愛い。


 

・マキシミリアン・レンツ《春》カラーリトグラフ、紙
好みだったレンツ、写真が不鮮明過ぎじゃが、色も使われておるのじゃ。


 

・左)カール・モル《ホーエ・ヴァルテの住宅(コロマ ン・モーザー邸) [『ヴェル・サクルム』(第6年次、1903年、271頁)のためのオリジナル版画]》木版、和紙
右)コロマン・モーザー《11月 [『ヴェル・サクルム』(第5年次、1902年、267頁)のためのオリジナル版画]》多色木版、和紙


 

上のモーザーの版画作品が使われた『ヴェル・サクルム』


 

・カール・モル《雪に埋もれたデプリンクの別荘(ホーエ・ヴァルテ)[『ヴェル・サクルム(』 第6年次、1903年、275頁)のためのオリジナル版画》多色木版、和紙


 

・エゴン・シーレ《アルトゥール・レスラーの肖像》ドライポイント、和紙


 

・フェルディナント・アンドリ《天使と二人の人物(2)》水彩、グァッシュ、紙


 

ここからはお2階じゃ。

[2:クリムト、シーレそしてココシュカ]

・グスタフ・クリムト《右向きの浮遊する男性裸像[ウィーン大学大広間天井画《哲学》のため の習作]》チョーク、紙


 

★【2 新しいデザインの探求】

[1:図案集の隆盛]

・マルティン・ゲルラハ(編)/グスタフ・クリムト(画)《『アレゴリー、新シリーズ、著名現代芸術家によるオリジナルデザイン』》
この原画である油彩《愛》は、現在「ウィーン・モダン」展(国立新美術館)に展示されておるぞよ。


 

・コロマン・モーザー(著・画)《『平面装飾』[『ディ・クヴェレ(泉)』第3巻]》カラーリトグラフ、紙
ひとつひとつが楽しい。


 

[2:デザイン研究のプラットフォーム ウィーン工芸学校とウィーン工房を中心に]


 

・ウィーン工房(編)/マティルデ・フレークル、マリア・リカルツ、ダゴベルト・ペヒェ、フェリーツェ・リックス、エドゥアルト・ヴィマー=ヴィスグリルほか(画)《『ウィーン・ファッション 1914/15』( 1・ 4 ・ 5号)》リノカット、木版、手彩色、和紙/ポートフォリオ


 

・レオポルト・フォルストナー《モザイク・デザイン案〈サロメ)》鉛筆、洋紙
小さい作品じゃが、サロメのファム・ファタル感ハンパなし。


 

・パウル・レス《鳥のいる葉装飾模様》テンペラ、カードボード
ステンドグラスのようじゃのぅ。


 

・リヒャルト・ルクシュ《女性ヌード》石膏、着彩(二体一組)
こちらの石膏彫刻は、武蔵野美術大学 美術館・図書館所蔵 。


 

[3:オットー・ヴァーグナーとヨーゼフ・ホフマンそしてアドルフ・ロース]

・エミール・ホッペ
左)《黄色の傘がついた卓上ランプのデザイン》水彩、鉛筆、紙
中)《淡青色の傘がついた卓上ランプのデザイン》水彩、墨、吹きつけ技法、紙
右)《ランタンのためのデザイン》水彩、墨、鉛筆、紙


 

写真撮影は不可じゃが、ここにはアドルフ・ロースの家具一式も、お部屋のように配置して展示されておりました。

★【3 版画復興とグラフィックの刷新】

[1:木版画の復権]


 

・カール・モル《ハイリゲンシュタットの聖ミヒャエル教会》多色木版、紙


 

・ルートヴィヒ・ハインリヒ・ユンクニッケル《三羽の青い鸚鵡(連作「シェーンブルンの動物たち」より)》多色木版、紙


 

[2:版画の新潮流]

・カール・クレネク《森の農家》カラーリトグラフ、紙
色鮮やか。遠目では版画とは思わんかった。


 

・ベルトルト・レフラー《童子》カラーリトグラフ、紙
童子がインパクトありあり。


 

[3:素描の魅力]

・エーリヒ・マッリーナ《天使》木炭、紙


 

★【4 新しい生活へ】

[1:日常生活とグラフィック・デザイン]

・手前)エディタ(ディタ)・モーザー《トランプカード》カラーリトグラフ、カードボード
奥)カール・オットー・チェシュカ(装丁)/カール ・オットー・チェシュカ、ベルトルト・レフラー、フリッツ・ツァイマー、オスカー・ココシュカ(第1号:表紙・挿画)/モーリツ・ユンク(第2号:表紙・挿画)《『キャバレー〈フレーダーマウス〉上演本』第1号および第2号》カラーリトグラフ、紙/冊子
右側の本、お気に入り。トランプもモダンよのぅ。


 

・コロマン・モーザー《月次絵》1899年頃 カラーリトグラフ、カードボード


 

・エディタ(ディタ)・モーザー
《1908年度版カレンダー》カラーリトグラフ、手漉カードボード/冊子
《1910年度版カレンダー》カラーリトグラフ、紙/レポレロ(蛇腹折)
《1913年度版カレンダー》カラーリトグラフ、紙/レポレロ(蛇腹折)
こんなかっちょいいカレンダー、使いたいぞよ。


 

[2:挿画と装丁]

・ウィーン市舞踏会委員会(編)/レミギウス・ ガイリンク(挿画)《『1909年ウィーン市舞踏会、1809年の開催日を記念して》カラーリトグラフ、紙/書籍


 

1階のフライヤー置き場に、名刺サイズの素敵カードが。
お持ち帰り可で「お一人様2枚程度で・・・」とあったゆえ、どれにするか迷って2枚頂いたぞよ。


 

多彩な世紀末ウィーンのグラフィックを洪水のように浴び、くらくらしつつじっくり観てまいりました。
新美「ウィーン・モダン」展がお好きだった方は、こちらもぜひ。
展示数がたいそう多いゆえ、お時間に余裕を持っての。
会期は6月9日まで。