亀次郎の大親友、福山雅治が贈った祝い幕。押隈といって役者の隈取を羽二重に移したもので歴代の市川猿之助のものをコンピュターで処理して作ったそうです。花道も見えない二階の袖席Bですが(花道は頭上のスクリーンで見える)最後、私の眼の前を左から右へ宙吊りのヤマトタケルが何回も天翔けたのですよ!亀次郎と同じ高さなので眼も合いましたッ!「美しい、素敵」と眼が合う度に叫んじゃった。B席が特等席と知りました。
四代目市川猿之助に加えて、二代目市川猿翁、九代目市川中車、五代目市川団子と華やかな襲名披露口上があった。先代猿之助と中車香川照之の、父と息子の確執は巷でいろいろ取り沙汰されていたが、この度の和解は”人は自分が弱者になって初めて他人を思いやる事が出来る”と言う明白な事実だと新猿翁さん思いませんか?一階の中央末席で息子、孫の舞台を母親浜木綿子が観ていた。彼女の心情は如何ばかりかと…切なくなった。大丈夫、才能がある香川照之舞台での声の出し方を学んで頑張って!
市川亀次郎の第四代市川猿之助襲名披露公演の”ヤマトタケル”を観て来ました。知力、体力最高にある亀次郎(亀次郎そのものが好きだったから”猿之助”は暫く私の内ではお預け…)は踊りは勿論立ち回りも美しく、優美の中に活力もあり、どの場面も素晴らしかった。加えて原作者梅原猛の哲学や思想を理解していなければ表現できない役どころ、その精神が全身から滲み出て私も感涙に咽んでしまった。歌舞伎の約束事を踏まえているが台詞は現代語、物語を追っていると蜷川の舞台でも見ているかに錯覚するが、所作や鳴り物は歌舞伎そのものではっと我に返る時がしばしばだった。舞台装置はかの朝倉摂。