先日、朝日新聞で森鷗外の「舞姫」のモデルと言われたエリスの写真が見つかった記事を読んだ。これはその経緯をミステリーもどきに追求したものです。一介のベルリン在住の主婦(専門家ではない)が堪能なドイツ語を駆使して、州や教会の公文書館へ何回も通い、苔むす墓地を訪ねエリスの足跡を追った結果です。学者が書くものとは違って、一般的な目線で書かれ世俗的な面もあり理解しやすく面白かった。しかしその情熱たるや怖ろしい程、こんなに打ち込めるものがある事を羨ましく思うし彼女の意志の強さに敬服です。N大で聴いたT先生の「舞姫」の学問的考察は難しかった。鷗外の妹喜美子の証言によると「舞姫」は事実を多く含む作品であったと言う。鷗外を追って日本へやって来たエリスを森家は追い返したやに聞いたが、いろいろサポートした事が解り慰められた。そして時代に翻弄されながらも二人は純愛に生き、人生を終わったと言う著者の見解を少々強引だが私も納得したい。