お好み夜話-Ver2

ころぶ天然親子

外から戻ってくると、居間でばあちゃんが丸くなって伏せっていた。

「ちょっときつかばってん、ころんどった」

ころんだ

そりゃ大変、年寄りだから打ち所が悪くて起き上がれないのかと、覗き込んだとたんに笑って起き上がった。

ばあちゃんは笑うと目がなくなる
それはしっかりかあちゃんにも、天然なところと一緒に遺伝している

「ぬっかけん、ビールば飲んでくらっさい」

いやいや、まだ午前9時を過ぎたばかりだし、夕べもたっぷりいただいたからと、ご遠慮申し上げたが、それから延々マシンガントークの天草弁を聞かされ、半分意味不明ながら相づちをうち続けた。

やがてかあちゃんが戻って来て、ため息ひとつして、ころんだ

横になることを「ころぶ」ということを、何年もかかって学習した

親娘でころんでいる姿は牛のようで、のどかな田舎の風景と言わざるを得ない。

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