立て直す前の我が家は冬の朝、キッチンの洗いおけの水が完全に凍りつく寒さだった。
水道管は何度か破裂したし、酔っ払って床寝しようものなら翌朝凍死してしまうようなボロ屋だったから、命の危険を感じて建て直したのだ。
建て直してキッチンは日当たりの良い2階になり断熱性も良くなったが、オヤジの部屋は相変わらず陽の当たらない階下で、夏はエアコンいらずだが冬は冷蔵庫のようで、しっかり厚着してネックウォーマーと冬用のルームブーツと手ぶくろをしないと、なんの作業もできないほど凍える。
去年の半ばくらいまで4、5年は絶不調だったので、体が冷えて夏でも薄着などできなくて、熱いラーメンを食べても汗ひとつかかなかった。
だから冷やすエアコンはあまり必要としていなかったが、冬場はそうもいかず暖房をつけていた。
しかしもともとエアコンの風はどうも苦手で、厚着やホッカイロでしのげるならあえてつけなかった。
ようやく体調が回復してきたこの頃、体の冷えはすっかり解消されて、ホッカイロを使うこともなくいまだ自室のエアコンはつけずに小さい電気ストーブ1つでしのいでいた。
ところがここ数日の寒さはさすがに昼間も冷えて、2階のキッチンと居間は夜はエアコンで暖めたのち床暖房をつけることがある。
朝、寒、さむっ、とブツクサ言いながらも厚着をしてマフラーを巻きニット帽をかぶって外へ出る。
公園の池も凍りつき花壇に霜柱が立っているが、さっさと歩き出す。
去年までは歩きはじめの足はちょっと重かったり腹が張った感じがあったが、今年に入ってからはそれが解消され、筋肉痛にもならない。
階段の上りも息切れしなくなり、早足で、時にはちょっと走ってみたりして毎日出歩いている。
家の中にいれば何かしら電気も水道も使うから、外へ出て動いて歩いて自家発電で温まった方がお財布にも体にもいい。
できるだけ長い時間動ける体になっとくことは立ち仕事を再開するのに必要なことだし、体力・気力をつけないと店の改装でまた体調を崩してしまう。
26年前のオープンの時は10日あまりまともにメシがのどを通らず眠れず、かあちゃんは寝込んで使い物にならず、10年後の改装の時は医者から「棺桶に片足突っ込んでいる」と言われるほど体調を崩して、それがきっかけでひたすら歩き、そして走り出したのだ。
それから16年経って、透析して移植もして、激痛で入退院を繰り返し、激痩せし、体力・筋力やいろんなものがすっからかんになった内部障害者のジジイが、いま一度店を改装して再開するのにどれだけのエネルギーが必要だろう。
ようやく開けました、ダメでしたじゃ何の意味もないから、初心に戻ってひたすら歩いている。
アプリによると、2021年の入退院を繰り返していた時の総歩数713,548歩に対して、去年2022年の総歩数は2,412,407
歩で約3倍、1日平均7,074歩。
去年も8月までは入退院を繰り返していたからこんなもんだが、今年は現時点でまあまあ歩数を稼いでいるからこれはこのまま続けていけば、やがて3㎞、5㎞、10㎞と距離を延ばしてまた走れるようになるだろう。
しかしまだ10㎞くらいまでしか距離を延ばしていないし、時どき腰がだるくなって疲れるのでまだまだかな。
先日、改装してきれいになった荒川総合スポーツセンターへ行ったら、障害者手帳で施設の利用が無料なると教えてもらったので申込書をもらってきた。
これからはプールとマシンの筋トレもやるつもりで、失った筋肉を取り戻していくつもりだ。
というわけでこのところ毎日、朝は寒、さむっ、と歩き出し、午後になるとマフラーを外し、ネックウォーマーと手袋を外して、暑、あつっ、と汗をかいて帰ってくる。
昨日、人生はマラソンみたいだよなぁ、と「大阪国際女子マラソン」を見ながら今さらながらに思った。
今はマラソンでいえば30㎞、35㎞地点、失速したり足がつったり、苦しさがのしかかっている地点、ここで気持ちを切り替えギアを上げ最後まで走りきるかリタイアするか、笑顔でゴールできるかが分かれる地点。
過去18回のマラソンでその時どうした?
人生にも制限時間はある。
動けるなら前に進むしかないだろう。
ヘロヘロでも前に進んでゴールしたい。
ゴールしても歓喜のビールはないけど、サ。
・・・まてよ、ひょっとして、
天国良いとこで、酒はうまいしねえちゃんはきれい、かもしれん。
よし、ジジイ走れ‼️