お好み夜話-Ver2

雪の夜のボラチョン

夜9時を過ぎると雪の勢いが強くなり、閑古鳥が鳴きだしたので10時で店を閉めた。

こういう寂しい夜はチビリチビリとウイスキーを飲むのに限るが、もはや決めたことだから店でも家でも一滴の酒も飲まずとっとと風呂に入って温まった。

昨年の11月7日以来実に3ヶ月ぶりに酒を飲まなかった。


酒を飲まないと夜は長く、そうだ💡と思いついて30年ぶりぐらいに「リオ・ブラボー」
を観ることにした。

言わずと知れた「ハワード・ホークス」の傑作西部劇で、なぜか最近無性に観たかったのだ。



駅馬車の停まる西部の田舎町リオ・ブラボーの酒場に落ちぶれた男デュード(ディーン・マーティン)がスイングドアを開けて入ってくる。

彼の目はカードゲームに興じる男たちをさまよい、カウンターでウイスキーのグラスを弄ぶ町を牛耳るバーデット兄弟の弟ジョーと絡みあい、酒が欲しいことを訴える。

ジョーは蔑みをこめてコインを柱の傍に置かれた痰壺に放り投げる。

デュードはしゃがみ込んで痰壺に手を伸ばすが、横からブーツの足がそれを蹴り飛ばす。

悲しげな無表情で彼を見おろすライフルを手にした保安官のチャンス(ジョン・ウェイン)だった。

どうしても酒が飲みたかったデュードは咄嗟にチャンスを殴り倒し、ジョーにも殴りかかるが彼の手下が加勢し叩きのめされる。

それを止めようとした男をジョーは撃ち殺し、止める者のない酒場を出て別の酒場に向かった。

やがて気がついたチャンスとデュードはジョーの後を追い、協力してジョーを捕え留置場に入れてしまう。


ここまでの約5分あまり、まったくセリフのないまますべてを物語る演出の見事さ👍

無骨で不器用な盛りを過ぎた保安官のジョーと、アル中だがかつては有能だったと思わせるデュードの関係と状況をアクションだけでみせる無駄のないハワード・ホークスの娯楽映画の手法に唸る。

デュード=ディーン・マーティンのワケあり酔っ払いぶりも見事で、じつは保安官補の彼はメキシコ人から「ボラチョン」(飲んだくれ)といわれると自嘲気味に言うのがどうも禁酒1日目のオヤジには響くのだ。

それから、愛想のないチャンスに足の不自由な牢屋番のスタンピー爺さんが、たまにはワシにやさしい言葉をかけろと不満をぶちまけると、スッと彼に寄って頭にキスをする。

すかさず爺さん箒でチャンスの尻を殴るなど、殺伐とした男やもめの日常に笑いも忘れない。

今どきのCGばかりのアクションを見慣れた目にはノンビリと見えるかもしれないが、そこには紛れもなく西部の男の誇りと埃にまみれたリアルがある。

シングルアクションのコルト45ピースメーカーの連射、ジョン・ウェインのライフルさばきの格好いいこと、ああオイラのガンベルトはどこいった⁇



なんて西部劇に酔いながら、ほうじ茶を啜って禁酒1日目をボラチョン・オヤジはやり過ごしたのであった。


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