56人の作家の、家・部屋・書斎・小物・環境の写真集。
作者紹介と、写真についているキャプション以外の文章はナシ。
250ページちょっとなんだけど大判で厚くて重い本。(前回もコレ書いてるな)
以前、似たような内容の「書斎曼陀羅」(磯田和一)を読んだことがある。
それは作家の書斎を訪問し、イラストで紹介し文章をつけるという本だった。
イラストと文章は半々くらい。
そういえば、妹尾河童の「河童が覗いた仕事場」も似ている。しかしこちらは文章がメイン。
妹尾河童が描いたイラストも実にいいけど、わたしとしては比率8:2くらいの感じか。
いや、しかしこの本、「書斎曼陀羅」とか「河童が覗いた仕事場」とかとは、全然違った。
何が違ったって――この本は写真集だったのだ。
もちろん読む前から写真であることは承知していた。しかし写真の生々しさといったらどうだ。
イラストと写真と、これほど印象が違うものだとは。
この生々しさは、対象が作家であることに多く拠っていると思う。
簡単に言えば、……書斎の乱雑さですよ。
最初の瀬戸内寂聴の書斎からして。物体の存在感をこれでもかというくらい示している。
寂聴の場合は、寂庵の他の部分はきれいに掃除されているわけだから、余計目立つ。
イラストではいくら本が乱雑に積み重なっているように書いても、この生々しさはないからな。
早い話、「書斎曼荼羅」とか「仕事場」を読んだ時は、こういう書斎もいいかもとか
うらやましいとか思ったもんだが、この本を読んでうらやましいと思ったページがほとんどない!
(ゼロではないけど……割合は低い)
生々しさ。リアル感。あまりにもその人を表わしていて、羨望が湧いてこない。
写真の力。今まであまり意識してなかったけれど、今後は肝に銘ずることにする。
※※※※※※※※※※※※
アマゾンでもこの56人、名前を挙げてくれないんだもんなあ。
しょーがないので全員の名前挙げますか。キーを叩くのが面倒だが。
瀬戸内寂聴 堀田善衛 埴谷雄高 島田雅彦 野坂昭如 山田風太郎 井上ひさし
宮本輝 筒井康隆 ねじめ正一 新井満 唐十郎 奥泉光 久間十義 大鶴義丹
梅原猛 ドナルド・キーン 齋藤茂太 草森紳一 山田太一 常盤新平 井上光晴
阿川弘之 小島信夫 江藤淳 水上勉 田辺聖子 吉村昭 村松友視 石原慎太郎
井伏鱒二 田中小実昌 赤川次郎 立松和平 津村節子 田久保秀夫 畑山博
三田誠広 中沢けい 谷川俊太郎 田村隆一 野口富士男 佐藤愛子 古井由吉
三木卓 佐伯一麦 青野聰 古山高麗雄 小川国夫 高橋源一郎 森瑤子
中村真一郎 奥本大三郎 石和鷹 中上健次 宇野千代(登場順)
このうち、名前を全く知らなかったのは5人。
草森紳一・田久保秀夫・青野聰・古山高麗雄・石和鷹。
読んだことがある作家が15人。
絶対に長くなる(し、実は意味もない)けれども、気になった部分、個別に突っ込む。
撮影が1991年~1995年。わたしにとっては少し前のことなのに、
写真が相当古びて見えるのが意想外だった。
瀬戸内寂聴。庭の閑雅な佇まいと比べて書斎の乱雑ぶりが……。出家で猫(名:マルグリット)を
飼っているのに違和感。恩愛は絶たなきゃならないのではないか。結構いいものを食べてるなあ。
堀田善衛。ちょっとベッドが素敵。白い手作りっぽいベッドカバーで。
居間と台所の雰囲気は「西の魔女が死んだ」の映画での、おばあちゃんの家に似ている。
机にはペンダコ防止にバンドエイドがあるそうだ。バンドエイドで防げるかね?
埴谷雄高。有名な作家なのに……。ものすごくみすぼらしい家に住んでいる。
キャプションには埴谷邸とあるけど、邸じゃないよ、絶対。
かなり年代を経ているから、建てた当時はみすぼらしくなかっただろうけど。
奥さんが亡くなって独り暮らしだそうだが、浴衣に丹前を着て一日を過ごすそうだ。
「こうしてりゃ、すぐに寝られるからね」と。いかにも独り暮らしという様子。
枕のすぐ横に電話機を置くとは。寝ている時に突然鳴ったら心臓麻痺を起しそうだ。
島田雅彦。若いっ!へー、ナマイキにヴィオラを弾くのか。若いだけに書斎兼寝室が簡素だ。
本もあまりない。食卓のような机を使って両側に椅子を置き、片方は小説を書くときの椅子、
もう片方はエッセイを書くときの椅子と使い分けているというのが面白い。
野坂昭如。母屋の庭に建てた仕事場の外観がちょっといいかも。少し可愛い。
「仕事場奥の本棚には非常用の乾パンとスープがすらり」……って、シェルターじゃあるまいし、
そんなに溜めこんでどうする。(非常用=夜中にお腹が空いた時、ってことか?)
山田風太郎。ああ、廊下の両側の本棚。いいなあ。床にも積んであるけど、
けっこうちゃんと入ってる方だし。家の外観が和風大屋根片流れ、でちょっと素敵。
井上ひさし。ええーっ!いや、この人はこんな風に資料をきっちりファイルしたり、
本棚をこれほどきれいに並べておく人じゃないはずだ!なんでこんなにきれいになっているの!
そりゃ蔵書は寄付して山形に図書館が出来たくらいだから、だいぶ少なくなっているだろうけどさあ。
この家は雰囲気がいいな。金沢の古民家を移築したそうで、外観もいい。
ここはちょっとうらやましいぞ。
宮本輝。書斎はまずまず片付いている方だが、万年床。しかもこの位置関係だと
書斎に出入りするときは布団の上を踏んで行くことになるな。
筒井康隆。意外。昔の自分のフェアのポスターをびっしり壁に貼ってる。
こんなことしそうな人には見えなかったのに。居間の趣味はまあまあかも。奥さんのセンスかな。
寝ながら本を読める読書スタンドというのはものすごくうらやましいぞ!
ねじめ正一。ねじめ民芸店というのは聞いたことがある気がする。自宅を新築し、コンクリート
打ちっぱなし。こんな巨大な吹き抜けを作っちまっていいのか?暖房効率悪そう。
新井満。ライフマスクって……。普通作るか?
唐十郎。おや。子供たちちっちゃいんだね。李麗仙とは別れたのか?
書斎には大鶴義丹の数年前のポスターカレンダーが貼ってある。
奥泉光。初めて顔を見たけど、こういう人か……。サラリーマン的風貌だけど、
実験住宅のマンションに住んでいるというからには、やっぱり前衛?志向があるんだろうなあ。
久間十義。ああ、実に地道な作家生活。地味なアパートに仕事場を借りて勤勉に書く。
大鶴義丹。若いねえ。この頃はまだ母親の李麗仙と住んでいたらしい。
続く。
作者紹介と、写真についているキャプション以外の文章はナシ。
250ページちょっとなんだけど大判で厚くて重い本。(前回もコレ書いてるな)
以前、似たような内容の「書斎曼陀羅」(磯田和一)を読んだことがある。
それは作家の書斎を訪問し、イラストで紹介し文章をつけるという本だった。
イラストと文章は半々くらい。
そういえば、妹尾河童の「河童が覗いた仕事場」も似ている。しかしこちらは文章がメイン。
妹尾河童が描いたイラストも実にいいけど、わたしとしては比率8:2くらいの感じか。
いや、しかしこの本、「書斎曼陀羅」とか「河童が覗いた仕事場」とかとは、全然違った。
何が違ったって――この本は写真集だったのだ。
もちろん読む前から写真であることは承知していた。しかし写真の生々しさといったらどうだ。
イラストと写真と、これほど印象が違うものだとは。
この生々しさは、対象が作家であることに多く拠っていると思う。
簡単に言えば、……書斎の乱雑さですよ。
最初の瀬戸内寂聴の書斎からして。物体の存在感をこれでもかというくらい示している。
寂聴の場合は、寂庵の他の部分はきれいに掃除されているわけだから、余計目立つ。
イラストではいくら本が乱雑に積み重なっているように書いても、この生々しさはないからな。
早い話、「書斎曼荼羅」とか「仕事場」を読んだ時は、こういう書斎もいいかもとか
うらやましいとか思ったもんだが、この本を読んでうらやましいと思ったページがほとんどない!
(ゼロではないけど……割合は低い)
生々しさ。リアル感。あまりにもその人を表わしていて、羨望が湧いてこない。
写真の力。今まであまり意識してなかったけれど、今後は肝に銘ずることにする。
※※※※※※※※※※※※
アマゾンでもこの56人、名前を挙げてくれないんだもんなあ。
しょーがないので全員の名前挙げますか。キーを叩くのが面倒だが。
瀬戸内寂聴 堀田善衛 埴谷雄高 島田雅彦 野坂昭如 山田風太郎 井上ひさし
宮本輝 筒井康隆 ねじめ正一 新井満 唐十郎 奥泉光 久間十義 大鶴義丹
梅原猛 ドナルド・キーン 齋藤茂太 草森紳一 山田太一 常盤新平 井上光晴
阿川弘之 小島信夫 江藤淳 水上勉 田辺聖子 吉村昭 村松友視 石原慎太郎
井伏鱒二 田中小実昌 赤川次郎 立松和平 津村節子 田久保秀夫 畑山博
三田誠広 中沢けい 谷川俊太郎 田村隆一 野口富士男 佐藤愛子 古井由吉
三木卓 佐伯一麦 青野聰 古山高麗雄 小川国夫 高橋源一郎 森瑤子
中村真一郎 奥本大三郎 石和鷹 中上健次 宇野千代(登場順)
このうち、名前を全く知らなかったのは5人。
草森紳一・田久保秀夫・青野聰・古山高麗雄・石和鷹。
読んだことがある作家が15人。
絶対に長くなる(し、実は意味もない)けれども、気になった部分、個別に突っ込む。
撮影が1991年~1995年。わたしにとっては少し前のことなのに、
写真が相当古びて見えるのが意想外だった。
瀬戸内寂聴。庭の閑雅な佇まいと比べて書斎の乱雑ぶりが……。出家で猫(名:マルグリット)を
飼っているのに違和感。恩愛は絶たなきゃならないのではないか。結構いいものを食べてるなあ。
堀田善衛。ちょっとベッドが素敵。白い手作りっぽいベッドカバーで。
居間と台所の雰囲気は「西の魔女が死んだ」の映画での、おばあちゃんの家に似ている。
机にはペンダコ防止にバンドエイドがあるそうだ。バンドエイドで防げるかね?
埴谷雄高。有名な作家なのに……。ものすごくみすぼらしい家に住んでいる。
キャプションには埴谷邸とあるけど、邸じゃないよ、絶対。
かなり年代を経ているから、建てた当時はみすぼらしくなかっただろうけど。
奥さんが亡くなって独り暮らしだそうだが、浴衣に丹前を着て一日を過ごすそうだ。
「こうしてりゃ、すぐに寝られるからね」と。いかにも独り暮らしという様子。
枕のすぐ横に電話機を置くとは。寝ている時に突然鳴ったら心臓麻痺を起しそうだ。
島田雅彦。若いっ!へー、ナマイキにヴィオラを弾くのか。若いだけに書斎兼寝室が簡素だ。
本もあまりない。食卓のような机を使って両側に椅子を置き、片方は小説を書くときの椅子、
もう片方はエッセイを書くときの椅子と使い分けているというのが面白い。
野坂昭如。母屋の庭に建てた仕事場の外観がちょっといいかも。少し可愛い。
「仕事場奥の本棚には非常用の乾パンとスープがすらり」……って、シェルターじゃあるまいし、
そんなに溜めこんでどうする。(非常用=夜中にお腹が空いた時、ってことか?)
山田風太郎。ああ、廊下の両側の本棚。いいなあ。床にも積んであるけど、
けっこうちゃんと入ってる方だし。家の外観が和風大屋根片流れ、でちょっと素敵。
井上ひさし。ええーっ!いや、この人はこんな風に資料をきっちりファイルしたり、
本棚をこれほどきれいに並べておく人じゃないはずだ!なんでこんなにきれいになっているの!
そりゃ蔵書は寄付して山形に図書館が出来たくらいだから、だいぶ少なくなっているだろうけどさあ。
この家は雰囲気がいいな。金沢の古民家を移築したそうで、外観もいい。
ここはちょっとうらやましいぞ。
宮本輝。書斎はまずまず片付いている方だが、万年床。しかもこの位置関係だと
書斎に出入りするときは布団の上を踏んで行くことになるな。
筒井康隆。意外。昔の自分のフェアのポスターをびっしり壁に貼ってる。
こんなことしそうな人には見えなかったのに。居間の趣味はまあまあかも。奥さんのセンスかな。
寝ながら本を読める読書スタンドというのはものすごくうらやましいぞ!
ねじめ正一。ねじめ民芸店というのは聞いたことがある気がする。自宅を新築し、コンクリート
打ちっぱなし。こんな巨大な吹き抜けを作っちまっていいのか?暖房効率悪そう。
新井満。ライフマスクって……。普通作るか?
唐十郎。おや。子供たちちっちゃいんだね。李麗仙とは別れたのか?
書斎には大鶴義丹の数年前のポスターカレンダーが貼ってある。
奥泉光。初めて顔を見たけど、こういう人か……。サラリーマン的風貌だけど、
実験住宅のマンションに住んでいるというからには、やっぱり前衛?志向があるんだろうなあ。
久間十義。ああ、実に地道な作家生活。地味なアパートに仕事場を借りて勤勉に書く。
大鶴義丹。若いねえ。この頃はまだ母親の李麗仙と住んでいたらしい。
続く。
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