プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

☆< ミステリと言う勿れ(映画) >

2023年09月25日 | ☆映画館で見た映画。
おお。面白かったですよ。予想の3倍くらい面白かった。

実はハードルは下げるだけ下げて見に行った。なぜ見に行く?と自問するレベル。
でも確認すると、ドラマはけっこう気に入っていたんだね。
もうこれ1年以上前のドラマか。半年くらい前だと思っていた。

ドラマ由来の映画には偏見がある。結局、いうてもドラマでしょ?と。
映画を見に行ってるのにドラマを見せられてがっかり、ということが何度かあった。
何だったかは忘れたけど。今回もそうなるだろう、とほとんど確信。

でもけっこうしっかり作ってましたよ。
エンタメとして大満足。コワイの苦手なわたしは時々コワくて辛かったが、
基本的にはコミカルなのでそれ以外の部分は笑えた。

話はリアリティがないほど大時代だけれども……そこをリアリティがない!というほど
野暮じゃない。そういう舞台設定の話があってもいい。
細部をちゃんと作ってあれば、大きな部分でリアリティがなくても特に不満はないのだ。

そして、その大時代な話を支えたのが役者さんたちですね。演技力。
監督もお手柄。表情とか、その撮り方とか、気を使ってるなあと思いました。
けっこうアングルも凝っていた気がしますね。

セットも良かった。蔵を4つ作るなんて実はわりと難しい気がするんですよね。
個別化が出来ていた上で、それなりのリアリティもあったと思う。
もちろん人形の蔵なんかは、まあ人形以外空っぽなのは変なのだが、
蔵を見せる順番が良かったせいでそこまで気にならない。
すごく細かくいえば、座敷牢がある蔵に箪笥は置かん!というツッコミは入るかな。

敷地の俯瞰の図も良かったなあ。現代はいいですよね、コンピューター上で
作れるものが増えたから。

最初の自動車事故の描写が効果的。あれは全編にわたって上手く使いましたねー。
わたしは大きな音と衝撃映像がキライで目をつぶってしまったけど。


菅田将暉はやっぱり上手いと思うよ。あの役はけっこう難しいと思う。
演じてて面白い役かというとそうでもないだろうけど。
下手な人がやるとすっごく退屈な役だから、がんばってやってくれい。

今回、原菜乃華という人を初めて見たと思うが、20歳にしてなかなか達者ですやん!
序盤なんか菅田将暉よりも台詞量も映る量も多かったもんね。
序盤の話を立派に支えた。
この若さでこれなら天性の女優か!……と思ったら子役からのキャリアがあるんですね。
ベテラン。これは今後期待したい。

町田啓太なる人。えっ、エグザイルなのか!……不意に湧いて来る偏見。
でも作品内では良かったですよ。頭良く見えてかっこよく。
かっこいい言動はほとんどないんだけど。でもこの役はとにかく理系に見えて
カッコ良ければいいから合格。

萩原利久は、調べてみたら、前に「探偵が早すぎる~春のトリック返し祭り」で
見てました!あのいけ好かないお兄ちゃんか!前は良家の子女の設定で、
今回は……まあ今回も大きく言えば良家の子女か。
でも広島弁で大声で柴咲コウと喧嘩する、ちょっとウザいキャラ。
全然雰囲気が違ったので気づかなかった。
1つくらい、もう少しいいシーンを作ってあげても良かったね。

従兄妹4人の中に入れると、けっこうな年上感のあった柴咲コウ。
でもいとこってそんなもんですよね。やっぱりこの顔ぶれに彼女が入ることで締まる。
蔵の中では……怖かったあ。
旦那役で野間口徹が出て来るのもわたしにとってはお得。

が、子どもを預けてる「お父さん」がすんなり飲み込めなくて、もう少し説明が欲しい。
柴咲コウの母親が狩集家の人間で、その人と結婚した人が
柴咲コウの実のお父さんってことなんだよね?

でも普通さ、「お父さんに預ける」って言ったら、お父さんの家で預かるじゃない。
死んだ妻の実家に来て子守するって、絶対おかしいとかではないけど普通はしない。
そこが落ち着かなかった。

滝藤賢一のお父さん役もわたし得。好き。珍しく普通のいい人役ですね。
松坂慶子の控えめな露出もバランスが良かった気がする。
段田安則も春風亭昇太も、出て来ると「おお」と思う人。



ネタバレあります。














わたしは実はキャスティング的に、絶対鈴木保奈美が「少女」の後裔だと思ったのよ。
ちょっとハマり過ぎだからそうならなくて良かったとも思うけど、
突然松嶋菜々子が出て来て説明台詞を言う、という展開は今一つだったかなー。
でもその方があっさりしていて話としてはまとまるかなー。どっちだろ。

意外に松下洸平がいまいち?と思った。
雰囲気はいいんだけど、台詞回しが。最初の台詞から「んん?」と思ったな。
声の出し方と、ちょっと滑舌が気になる。もごもごしている。
最終盤も、もっと狂気が必要ではないか?いや、このくらいがあっさりしていて
むしろ上品なのか?と悩む。ああいうとき下品に叫ばれても陳腐だしな。
でもあと一歩、物足りない。

まあ伝説を解答にするのはだいぶ安易だが、その安易さがむしろ気持ち良かった。
そういえば解決自体も安易でしたね。でもそれは不満ではなかったかな。
一応わざわざそんなところに隠す理由も(整側にはあったわけだし)。
でもUSBの方はちょっと無理がなかったですか……。
いや、隠し場所はいいとして、ヒントがあまりにも薄すぎる……

すっごい細かいことをいうなら、○○焼ってだけでそんなに高額にはなりませんよ。
「○〇焼の偽物」って意味がわからなかった。○○焼の土を使って、
釉薬と(デザインの傾向もか)を使えば、それは偽物じゃなくて本物ですよね。
たとえ素人が作ろうと。
こんなの台詞を「〇〇焼の誰々の作品」ってするだけで解決するんだから、
なんでそうしなかったかね?

安易な部分も収まりが悪いところもちょこちょこあったけど、
それが瑕疵にならずに楽しめた。最低限の話がちゃんとしていたからだな。
これくらいの完成度で作ってくれたらドラマ由来の映画でも楽しめる。
がんばってください。テレビ局の人。


ただしある意味で致命的な欠点がある。

ドラマを見てない人は瑛太と警察3人組のことはまったくわからないんですよねー。
なんなら主人公のことすらほとんどわからない。
わたしが映画だけ見たらこの部分とても不満だろうな。さすがに映画館で
金をとって見せる以上、独立した映画作品として最低限の説明は必要だろうと思う。



しかしドラマを見ていたわたしには、とにかく今回は見て良かった映画でした!
6月に見た「岸辺露伴ルーブルへ行く」も面白かったけど、
エンタメとして笑えて楽しめるのはこっちだね。

こないだのドラマSPも録画していてまだ見てないから、今後楽しみに見ます。

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