まずはその1からお読みください。
姫は、あの新嘗の祭りから、ずっと考えていた。
あの瞳と唇。
確かに、粗末な身なりをしていた。
見たこともないような白い襟のない一重の上着に、まっすぐな青い服を着ていた。
けれど、あれは、私だわ。
私は私に、アッカンベーをしている。
私は私に、アッカンベーをされている。
姫は聞いてみた。
「ねえ、にい様方。にい様方は誰かを軽蔑したことはおあり?
たとえば、アッカンベーをしたくなるような人間にお会いになったことはある?」
「それは、妹姫よ。たくさんあるさ。世の中は姫のようにおりこうな人ばかりではないからね。」
「ねえ、ジイ。ジイは、誰かに貶められたことはある?
たとえば、アッカンベーをされるような目にあったことはある?」
「それは、姫様、たくさんございますよ。私は姫のように高貴な育ちではございませんから」
「ねえ、バア。バアは自分を嫌いになったことがあるかしら?
自分なんてサイテーのたとえば、アッカンベーをしたくなるような人間だって思ったことがあるかしら。」
「それは、姫。たくさんたくさんありますよ。バアは姫のように美しくも若くもございませんから」
どれもこれも姫を満足させる答えではなかった。
だから、姫は思った。
あの子に聞こう。そう、対決だわ。 つづく
姫は、あの新嘗の祭りから、ずっと考えていた。
あの瞳と唇。
確かに、粗末な身なりをしていた。
見たこともないような白い襟のない一重の上着に、まっすぐな青い服を着ていた。
けれど、あれは、私だわ。
私は私に、アッカンベーをしている。
私は私に、アッカンベーをされている。
姫は聞いてみた。
「ねえ、にい様方。にい様方は誰かを軽蔑したことはおあり?
たとえば、アッカンベーをしたくなるような人間にお会いになったことはある?」
「それは、妹姫よ。たくさんあるさ。世の中は姫のようにおりこうな人ばかりではないからね。」
「ねえ、ジイ。ジイは、誰かに貶められたことはある?
たとえば、アッカンベーをされるような目にあったことはある?」
「それは、姫様、たくさんございますよ。私は姫のように高貴な育ちではございませんから」
「ねえ、バア。バアは自分を嫌いになったことがあるかしら?
自分なんてサイテーのたとえば、アッカンベーをしたくなるような人間だって思ったことがあるかしら。」
「それは、姫。たくさんたくさんありますよ。バアは姫のように美しくも若くもございませんから」
どれもこれも姫を満足させる答えではなかった。
だから、姫は思った。
あの子に聞こう。そう、対決だわ。 つづく