NHKの特集で、ワーキング・プアが増えているという問題をやっていた。働いても、生活保護水準よりも下の所得しかない層が問題になっているというのである。その中に数名の若者が出ていた。一人は、たった一人の保護者である母親が家に帰らず、高校時代は生活費を稼ぐためにバイトをしていて就職活動が出来ないという過去を持つ人。35歳の彼は家を持たず、棄てられたマンガ雑誌を古本屋に売って食べ物を得ていた。
偉い人達が出てきて、社会の問題だと語っていた。日本の構造が崩壊していると言っていた。番組の中で繰り返されていたのは、貧しい親が、貧しい子を育て、下層格差が家系伝承されるというであった。5年前にリストラにあい、2人の小中生を育てる父は、子を大学にやれるかを考えると恐ろしいといっていた。20万弱の所得では、大学進学資金を出すことはとても不可能に思えるといっていた。中学生の子は、弁護士になりたいけれど、お父さんも大変そうだし、お父さんがいいといえば大学に行きたいと思うけれど、無理だと思うといっていた。
わたしは、たぶん、あの子達とそうかわらぬ状況の中で育った。「下」にいたといえるかもしれない。わたしや親を支えてくれる人はいたし、あの子達ほどの苦境ではなかったのかもしれないけれど、「普通」ではなかった。学校は公立に通っていたが、高校、大学と育英会の奨学金を受けていた。わたしの頃の育英会は、今の「ローン」のような形でなく、「貸与」であったし、「特別奨学生」という制度があり、奨学金の一部は返済無要であったし、特定の職業に就けば、返済免除となった。また、大学の4年間のうち授業料を払ったのは1年に満たない。1年生の冬に授業料免除を申請したのだ。そういえば、大学の授業料も安かった。公立は私立の4分の1(現行は2分の1)ほどだった。あの頃の日本で、小額で高等教育を受けた者のベスト100くらいに入れたかもしれない。
だからわたしは信じている。絶対信じている。家がどうであれ、きっと、学びたい者は学べる。
番組の中のことと違っているのは、私が小学生のときから思っていた、ということだ。状況を変えなければならないと。それは自分が変えるしかないということを。
幼い人であろうと、覚悟はいつだって必要だ。そうでなければ何もかわらない。自分に降りかかった「人生」の思うようにはさせないという矜持は必要だ。そんな時、「愚かであること」「無知であること」は妨げである。
その子達に、心ある大人は語ってやらねばならない。「人生は変えられる」「今が辛いのだからこそ、君は人生を変えなければならない」「そのためには、覚悟を持って、賢くなることだ」と。
番組の中の人に「そこから抜け出せ」と言ってくれる教師はいなかったのだろうか。そうすれば、人生は違った物になっていたのではないのか。
残念ながら、求めぬ者に何が人生を変えてくれる物かを教えてくれるものは少ない。しかし、探せば、必ず方法はある。抜け出せない沼地は無い。幸せでないなら、望まれていないなら、社会に求めさせてやる自分になればいい。
子どもの近くにいる人は、どうか言ってやってほしい。「方法はある」と。そうして、公的援助を受ける方法やらを一緒に探してやってほしい。たった一人でも、いいからね。
偉い人達が出てきて、社会の問題だと語っていた。日本の構造が崩壊していると言っていた。番組の中で繰り返されていたのは、貧しい親が、貧しい子を育て、下層格差が家系伝承されるというであった。5年前にリストラにあい、2人の小中生を育てる父は、子を大学にやれるかを考えると恐ろしいといっていた。20万弱の所得では、大学進学資金を出すことはとても不可能に思えるといっていた。中学生の子は、弁護士になりたいけれど、お父さんも大変そうだし、お父さんがいいといえば大学に行きたいと思うけれど、無理だと思うといっていた。
わたしは、たぶん、あの子達とそうかわらぬ状況の中で育った。「下」にいたといえるかもしれない。わたしや親を支えてくれる人はいたし、あの子達ほどの苦境ではなかったのかもしれないけれど、「普通」ではなかった。学校は公立に通っていたが、高校、大学と育英会の奨学金を受けていた。わたしの頃の育英会は、今の「ローン」のような形でなく、「貸与」であったし、「特別奨学生」という制度があり、奨学金の一部は返済無要であったし、特定の職業に就けば、返済免除となった。また、大学の4年間のうち授業料を払ったのは1年に満たない。1年生の冬に授業料免除を申請したのだ。そういえば、大学の授業料も安かった。公立は私立の4分の1(現行は2分の1)ほどだった。あの頃の日本で、小額で高等教育を受けた者のベスト100くらいに入れたかもしれない。
だからわたしは信じている。絶対信じている。家がどうであれ、きっと、学びたい者は学べる。
番組の中のことと違っているのは、私が小学生のときから思っていた、ということだ。状況を変えなければならないと。それは自分が変えるしかないということを。
幼い人であろうと、覚悟はいつだって必要だ。そうでなければ何もかわらない。自分に降りかかった「人生」の思うようにはさせないという矜持は必要だ。そんな時、「愚かであること」「無知であること」は妨げである。
その子達に、心ある大人は語ってやらねばならない。「人生は変えられる」「今が辛いのだからこそ、君は人生を変えなければならない」「そのためには、覚悟を持って、賢くなることだ」と。
番組の中の人に「そこから抜け出せ」と言ってくれる教師はいなかったのだろうか。そうすれば、人生は違った物になっていたのではないのか。
残念ながら、求めぬ者に何が人生を変えてくれる物かを教えてくれるものは少ない。しかし、探せば、必ず方法はある。抜け出せない沼地は無い。幸せでないなら、望まれていないなら、社会に求めさせてやる自分になればいい。
子どもの近くにいる人は、どうか言ってやってほしい。「方法はある」と。そうして、公的援助を受ける方法やらを一緒に探してやってほしい。たった一人でも、いいからね。