吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

完成!

2008年04月03日 | オルガン

このところ更新が滞っていたのは、オルガンの最後の仕上げにかかっていたからです。
ついに昨日、納品しました!
注文を受けてから数年、途中に何度かお客様宅に置かせてもらってテスト、調整を繰り返しようやく完成したのです。
小さな個人宅向けの最小構成のパイプオルガン、4フィート閉管(ゲダクト)一列、C~d51鍵です。
奏者自らを楽しませるための楽器というのは難しかった!
自然発音体の楽器は、皆、近くではかなりのノイズを発生します。
バイオリン、金管、木管、ピアノ…、ごく近くで聞くと皆、凄まじい音です。
パイプオルガンもまた例外ではありません。
これが、それなりの距離と場を得ると、すばらしく美しい音に変わります。
演奏者との距離が近い小型オルガンではこの点が難しく、パイプを箱に収めたりして直接音を抑える手法があるのですが、パイプを露出して並べるデザインはお客様の希望だったので、その手が使えずそれがまた苦戦の元となりました。

まあ、いろいろあるのですが、それらについてはいずれ場を改めて発表することがあるでしょう。

小さくてかわいくて、足踏み送風のパイプオルガン、調律は時々必要でしょうが、機構的にはほとんど専門家のメンテナンスを必要としない楽器に仕上がったと思います。

こんな楽器です。


パイプ側面の枠、特に高音側はこれほど大きい必要はないのですが、装飾パネルを入れるなど、デザイン的な「遊び」を後から入れられるようにと考えました。
横から

背丈は170センチくらい、幅は80センチちょっと、奥行きは45センチ程とスリムになっておりますが、
演奏時

ふいごが展開するので、その際は楽器後方にスペースが必要になります。
このふいごがこのオルガンの特徴で、楽器の規模に対して十分以上に大きい容量を持たせています。
縦に配置したことで、高容量と省スペースと予期しなかった安定性までも確保出来ました。さらなる拡張性もあるので、この方法は今後のうちのスタンダードになりそうです。
送風系については、他にもいくつかアイデアがあるので試作してみるつもりです。

お客様宅に設置

なかなか良いでしょ(笑)。

参考にしたのは、昔の宗教画だけです。
ヨーロッパの博物館のコレクションなどの現存する楽器、現代の作家の作品、いずれにも拠らずに作りました。


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23 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
素晴らしい。 (佐藤ジョージ)
2008-04-03 13:40:00
「うわ〜・・いいなぁ〜・・これどんな人がひくんだろー・・へ〜・・ほ〜・・ね〜・・」
と女房と見とれてしまいました。素晴らしい。ふたりとも楽器などさっぱりですが、素晴らしい。

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素晴らしいです (しまりす)
2008-04-03 17:07:28
お疲れ様でした
そして、作品の完成おめでとうございます

どうやって作ったの?(笑)

家庭で使える コンパクトなパイプオルガン
フランスでも見たことありません

もし、ソレイユがパイプオルガンを選んだとき
の悩み パイプオルガンどうするの?ということ
こちらにもあるのかしら ミニサイズ

魔法の手ですね
芸術家 ひろにゃんさん 尊敬します
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スゴイねえ! (JoeWatanabe)
2008-04-03 18:44:19
昨日はどうもありがとうごございました。
明日、またよろしくお願いします。

それにしても、いいねえ。
宗教画を参考に作るだけのことはある。新品なのにアンティークな感じ。どんな音が鳴るのか、聴いてみたい!
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職人技!! (tosi)
2008-04-03 21:26:59
 流石ですねえ~・・・楽器の事は全くわからないけど音が鳴る機械としてみても機能美ってのがありますね。これで素材が古くなっていい味が出たら本当にいい味が出そうですね。

 あえて言わせてもらいます。「よっ職人!!」
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楽器の評価 (ひろなん@風琴屋)
2008-04-04 20:00:06
佐藤ジョージさん、ようこそ!

「楽器のことはわからないけど、素晴らしい」
というのは、製作家にとってはありがたいものです。

楽器の音の評価というのは、明確な欠点がない限りはグレーゾーンにあります。
演奏家の能力次第で、楽器のパフォーマンスは全く変わるからです。

ですが見た目については責任は100%製作家にあるわけで、よってその部分への賛辞はすべて僕のものです(笑)。

というわけで、鶏を頂きに伺いますのでよろしく!
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敵国のひと (ひろなん@風琴屋)
2008-04-04 20:10:35
しまりすさん、ようこそ!

フランスには優れたオルガン製作家、会社がありますからね、僕が作った楽器くらいは簡単に出来ると思います。
実のところ僕は、造形センスではフランスはドイツに勝ると思っております
よって僕の仮想敵国はフランスとなります。

ああ、あなたは敵国のひとなのね。
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ポイント (ひろなん@風琴屋)
2008-04-04 21:46:41
JOEさん、ようこそ!

今日は、どうもでした!
楽器の方はまた機会がありましたら見に行けると思いますので、よろしく。

このところJOEさんとお話をして感じているのは、皆さん僕のことをどうも誤解していらっしゃるようだということです。
ええ、武闘派じゃありませんから!
僕のポイントは、デリケートさとナイーブさですからね。神経質ではありません。

そこのところをどうぞよろしく!
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機能美と遊び (ひろなん@風琴屋)
2008-04-04 21:57:51
tosiさん、ようこそ!

機能のカタマリといわれたジープもよく見ると、伝統的で装飾的な造形を持っています。

今回のオルガンも、ケースのないタイプなのでむき出しの機能そのものなのですが、それでも装飾性を織り込むように気を配りました。

趣味の世界のものですから、ゆとりや遊びも大切な要素ですよね。
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いよっミスター器用貧乏! (伊那の大工)
2008-04-05 07:11:14
いやあパイプオルガン職人さんだったんですね。
設備屋さんかレッカーやさんかストーブ屋さんかと思っていました。どおりで管やらひもを結ぶのが上手いわけだ。納得しました。
それにしても器用貧乏という言葉はまさに君のためにある。
お互いそれから脱却し大富豪を目指していこうではありませんか!(無理か・・・・)
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その実体は… (ひろなん@風琴屋)
2008-04-05 21:58:53
伊那の大工、ようこそ!

あるときは謎の設備屋、またあるときはエレガントな土方…、しかしてその実体は、愛と正義の汎用人型決戦兵器、キューティー・ひろなん!
月に代わっておしおきよ!

すぐに次のモデルの試作にかかるわよ。
バンドソーを借りるわよ!
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