吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

苦戦の搬入

2012年07月03日 | オルガン

楽勝のはずが…

仙台編続きです。
今回は個人のお宅へのハウスオルガン(もちろんパイプオルガン)の搬入です。
ドイツ製のオルガンは部品のユニットが大きいものです。
演奏台、風箱まわりが一体になっていることが多いです。
日本人ならもう少し細かく分割するところでしょう。
で、演奏台まわりが予想より重かったのです。
加えて、搬入路への曲がった階段がネックでした。

曲がった階段を少しずつ置きながら上げたのですが、曲がっているが故に態勢を良く保つこと
が難しく、隊長が背中の筋を痛めてしまったのです。
この作戦のメンバーはぎりぎりの4人。隊長と隊員、それと外様の僕。
それと運搬してきたトラックの運転手さん。
隊長が斃れたこの時、隊員に気合いを入れるワタクシ。
「いや、自分腰が悪くて……」
期待の体重90キロ級の戦士、まさかの戦力外!
「運転手さんっっ!」
「大丈夫っす!」
トラックの運転手さんは大抵、積み下ろしを手伝ってはくれますが、ここで主力抜擢。
あんたの漢気が頼りだぜ。

とまあ苦戦しながらも無事にオルガンの主要部分の搬入に成功。
その他の部分も無事に下ろして、運転手さんを解放。助かりました。

オルガンの位置決めをしたら、僕は開梱と木箱の解体整理へ。
あとは隊長と隊員でオルガンの組み立て。
実はここからが本職オルガンビルダーと楽器商の違いです。
組み立ては早くやろうと思えば結構すぐに出来るものですが、この段階での調整やちょっとした
手直しをするかしないかが大事なのです。
ちょっとした手直し、かなりあるものです。
楽器商の場合、速攻で組み立てて、その後のトラブルは製造元任せということがあるのです。

僕も身体の普段と違うところに疲れが出たのですが、こうして怒涛の搬入初日は終わったので
した。
その後の二日は平穏に過ぎ、解体した梱包の木箱を積んで軽トラは山梨へ帰還したのでした。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「力」と「技」 (せいしょこ)
2012-07-06 19:16:25
ひろにゃんさん、こんにちは。
せいしょこです。

ひろにゃんさんの本職の技を知らない私には、力仕事こそ本領発揮と思ってしまう・・・
仕事って、現場に行ってみないとわからないものですよね。

しかし、「力」と「技」って、まるでV3だね。
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ブイスリャアァァァ! (ひろにゃんof風琴屋)
2012-07-07 08:51:55
せいしょこさん、ようこそ!

いや、あの頃だって結構ワザは使っているよ。
美術の授業の彫刻とか、文化祭のアーチを作ったりとか。
あのアーチは分解式にしたおかげで、保存されてその後数年間使われたらしい。

この頃、急速にパワーダウンを感じているので、再強化しなければ。
特訓ね、昭和のライダーは特訓なのね。
ブイスリャアァァァ!
返信する
痛いほどワカルぜぃ (豊田)
2012-07-07 21:13:29
重い物の納品、曲がり階段、分割不能・・・

買っていただいたら お届け がつきもの。

しかも高額商品ほど デカい and 重い。

・・んなわけで 当社スタッフ全員 腰痛持ち。

ところで・・・どんなオルガン?
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修復済み (ひろにゃんof風琴屋)
2012-07-12 01:18:37
豊田さん、ようこそ!

僕は中学時代に腰を壊していて、その後様々な方法で修復と管理をしているのです。
最後に不調になったのは、4年ほど前(2008年2月26日の記事参照)に車の追突事
故を食らった時ですが、あの時も起動不能までは行きませんでした。
ま、キャリアは長いわけですよ、はっはっは。

件のオルガンはハウスオルガン、2段鍵盤ペダル付き10ストップです。
ハウスオルガンなので、かなりパイプを詰め込んだ設計で、音量は控えめのようです。
ユーロも今、下がっていますからね。ドルと同じくらいですか。
欧米製品はお買い得ですよねー。
国内生産者はエラいことです。輸入事業に重心を移しましょうかね。
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