リハーサル中は、舞台裏でモニタとスピーカーから様子を伺いますが、よほどのトラブルがない限りは手出しをすることもないので、一休みです。
僕の本番はリハーサルの後、開場までの間で他の演奏者とぶつからない範囲の時間にあります。
それが何分取れるかはわかりません。その時に全力が出せるように、道具と自分自身の調子を整えます。
リハーサルが終わり、皆が出てきます。オルガニストさんに様子を聞きます。
特に問題はなさそう。指揮者の指示で、当初8、4、2を使うつもりだったところが、8、4になったそう8だの4だのは後で解説します。
うん、合奏のときには8、4か8だけというのが普通です。
このオルガンはフランスはG社製、一段鍵盤ペダルなし51鍵4ストップ、8、4、2、11/3という構成です。
解説すると、鍵盤数はC~d3までの51鍵、基本的にオルガンというのは4オクターブちょいの楽器です。多くても5オクターブ61鍵というところです。
ストップというのは、話せば長くなりますので、とりあえず音の種類と考えてください。4ストップというのは、4種類の異なった音を出せるということです。
各ストップはこのオルガンの場合51本(鍵数)あるので、パイプ総数は51×4=204本となります。
8だの4だのというのは、フィート律といって、正しくは8フィート(または、単位として代表的に使う場合、単数形のフットともいいます)、4フィートといいます。
オルガンの基本ピッチ(音高)は8フィートで、4フィートは同じ鍵盤を押した時に、1オクターブ高い音が出ます、で2フィートはそこからさらに1オクターブ高い音、11/3はそこからさらに5度高い音が出ます。
このオルガンの場合、最大、ひとつの鍵盤を押した時に、それら4つの音が同時に出るのです。
そういう風に、音をブレンドするのがオルガンのひとつの特徴です。
調律の仕事では、使うストップ、ピッチ、調律法の3つを事前に確認します。
使わない音を調律する必要はないですからね。
ピッチは基準となる音の高さ。ハ長調でいうラの音Aの高さです。話せば長くなることなので、そういうことにしておいてくださいね。
今回は442ヘルツ、一般的なオーケストラのピッチです。オルガンでよくあるのは440ヘルツ、バロックでは415ヘルツが多いです、ベルリンフィルは445ヘルツらしいです。以前、オリジナル楽器(当時の楽器)を使ったモーツァルトの時は430ヘルツということもありました。
このように基準となる音の高さには種類があるので調律師に伝えられるべき基礎情報なのです。
それと、調律法。普通は平均律です。が、古楽(おおむねバロック以前)では、様々な調律法があります。
ちなみに、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」とよくいいますが、当時は現在で言う平均律は鍵盤楽器には使われておらず(理論的には存在していても、実現されていなかったようです)はっきりいって誤訳です。
古典調律法の知識がある人たちは、ちょっと抵抗を感じながら「平均律~」と呼んでいたりします。
パイプオルガンは古楽器の側面もあるので、調律法の種類と歴史に精通していなければなりません(ゴメンナサイ、まだまだです)。
加えて、前にも触れましたが温度。理論値はもちろんありますが、実際にはそのまま当てはまることはなく、あくまで目安です。
空調が効いていても、お客様が入ると温度は大抵は上がります。そこで、リハーサル終了時よりもピッチは上昇すると推測して、目標値より少し低めに調律します。
どのくらい低くするか…、勘です。
ちょっと弦の方をお待たせして調律終了です。心残りはありますが踏ん切りをつけます。
舞台裏に下がっていると、指揮者のロッチュ氏を始めいろいろな方が通ります。
やっぱり本番前は何となく落ち着かないのでしょうね。
ちょっとロッチュ氏とも話してみましたが、ドイツ語能力はやはり必要なのでしょうか。
鍛えねば。イッヒ リーベ ディッヒ!(言ってませんよ!)
本番が始まれば終わりです。もう何も出来ません。
舞台裏では、ステージマネージャーや、合唱団やオーケストラの責任者の方々と、モニタの前で雑談をします。
皆さん何となく落ち着かない様子です。百選練磨の方々でもやっぱり心配なようです。
そう、僕らは皆同じ様な思いだったのでしょう。
無事コンサートは終了。今後のために、コンサート直後のオルガンのピッチをチェックします。442.7ヘルツ。まあOKでしょう。舞台装置の片付けを手伝って(どうも事務系の方ばかりだったようで、心もとなくて黙って見ていられなかったのです。重肉体労働者の血が騒ぐのです)
そして僕の仕事も終了。
帰りにラーメン二郎に寄りたい気持ちはあったのですが、我慢しました!
僕の本番はリハーサルの後、開場までの間で他の演奏者とぶつからない範囲の時間にあります。
それが何分取れるかはわかりません。その時に全力が出せるように、道具と自分自身の調子を整えます。
リハーサルが終わり、皆が出てきます。オルガニストさんに様子を聞きます。
特に問題はなさそう。指揮者の指示で、当初8、4、2を使うつもりだったところが、8、4になったそう8だの4だのは後で解説します。
うん、合奏のときには8、4か8だけというのが普通です。
このオルガンはフランスはG社製、一段鍵盤ペダルなし51鍵4ストップ、8、4、2、11/3という構成です。
解説すると、鍵盤数はC~d3までの51鍵、基本的にオルガンというのは4オクターブちょいの楽器です。多くても5オクターブ61鍵というところです。
ストップというのは、話せば長くなりますので、とりあえず音の種類と考えてください。4ストップというのは、4種類の異なった音を出せるということです。
各ストップはこのオルガンの場合51本(鍵数)あるので、パイプ総数は51×4=204本となります。
8だの4だのというのは、フィート律といって、正しくは8フィート(または、単位として代表的に使う場合、単数形のフットともいいます)、4フィートといいます。
オルガンの基本ピッチ(音高)は8フィートで、4フィートは同じ鍵盤を押した時に、1オクターブ高い音が出ます、で2フィートはそこからさらに1オクターブ高い音、11/3はそこからさらに5度高い音が出ます。
このオルガンの場合、最大、ひとつの鍵盤を押した時に、それら4つの音が同時に出るのです。
そういう風に、音をブレンドするのがオルガンのひとつの特徴です。
調律の仕事では、使うストップ、ピッチ、調律法の3つを事前に確認します。
使わない音を調律する必要はないですからね。
ピッチは基準となる音の高さ。ハ長調でいうラの音Aの高さです。話せば長くなることなので、そういうことにしておいてくださいね。
今回は442ヘルツ、一般的なオーケストラのピッチです。オルガンでよくあるのは440ヘルツ、バロックでは415ヘルツが多いです、ベルリンフィルは445ヘルツらしいです。以前、オリジナル楽器(当時の楽器)を使ったモーツァルトの時は430ヘルツということもありました。
このように基準となる音の高さには種類があるので調律師に伝えられるべき基礎情報なのです。
それと、調律法。普通は平均律です。が、古楽(おおむねバロック以前)では、様々な調律法があります。
ちなみに、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」とよくいいますが、当時は現在で言う平均律は鍵盤楽器には使われておらず(理論的には存在していても、実現されていなかったようです)はっきりいって誤訳です。
古典調律法の知識がある人たちは、ちょっと抵抗を感じながら「平均律~」と呼んでいたりします。
パイプオルガンは古楽器の側面もあるので、調律法の種類と歴史に精通していなければなりません(ゴメンナサイ、まだまだです)。
加えて、前にも触れましたが温度。理論値はもちろんありますが、実際にはそのまま当てはまることはなく、あくまで目安です。
空調が効いていても、お客様が入ると温度は大抵は上がります。そこで、リハーサル終了時よりもピッチは上昇すると推測して、目標値より少し低めに調律します。
どのくらい低くするか…、勘です。
ちょっと弦の方をお待たせして調律終了です。心残りはありますが踏ん切りをつけます。
舞台裏に下がっていると、指揮者のロッチュ氏を始めいろいろな方が通ります。
やっぱり本番前は何となく落ち着かないのでしょうね。
ちょっとロッチュ氏とも話してみましたが、ドイツ語能力はやはり必要なのでしょうか。
鍛えねば。イッヒ リーベ ディッヒ!(言ってませんよ!)
本番が始まれば終わりです。もう何も出来ません。
舞台裏では、ステージマネージャーや、合唱団やオーケストラの責任者の方々と、モニタの前で雑談をします。
皆さん何となく落ち着かない様子です。百選練磨の方々でもやっぱり心配なようです。
そう、僕らは皆同じ様な思いだったのでしょう。
無事コンサートは終了。今後のために、コンサート直後のオルガンのピッチをチェックします。442.7ヘルツ。まあOKでしょう。舞台装置の片付けを手伝って(どうも事務系の方ばかりだったようで、心もとなくて黙って見ていられなかったのです。重肉体労働者の血が騒ぐのです)
そして僕の仕事も終了。
帰りにラーメン二郎に寄りたい気持ちはあったのですが、我慢しました!
プロの仕事ってこういうことなんだなあと思いました
息子が音楽学校に通い始めて3年目
今年は好きな楽器三つ選んで各楽器3ヶ月試し
来年の9月に一つ選びます
第一番目の楽器はパイプオルガン
近くの教会で練習してます
二番目はヴァイオリン
三番目はクラリネット
彼はこの中からどれを最終的に選ぶのでしょう
楽しみです
子供の頃からパイプオルガンにさわれるという環境は素晴らしいです。
日本では音大のオルガン科の学生でさえ、練習する楽器に苦労しているくらいです。
オルガンを身近な楽器にすること、子供達が触れられる楽器を増やすことが僕のライフワークです。
仕事してる風琴屋さん、カッコイイんでしょうね。(あっ別に酔っぱらっててもかっこいいんでしょうけど)
自分のブログで、「平均律」(曲のほう)をよく持ち出していた私は、何だか恥ずかしいっす…。
そりゃあ、もう、僕がスーツを着ただけでも近所じゃ大ウケですから!(まあ、普段との落差の問題ですけどね)
近々、焚き火がありそうですねえ。いらっしゃるんでしょ。楽しみです。
バッハの平均律は、wohltemperierte=良い音律で、これを平均律と訳してしまったことが話を厄介にしているのです。
おそらくはヴェルクマイスター第3かキルンベルガー第3だったろうといわれますが、平均律も存在はしていましたから、すべては藪の中ですし、その意味においては必ずしも間違いとも言い切れないのです。
その辺の議論はすごいのですよ!
なにしろ古典調律至上派と平均律至上派の対決は、証拠の希薄なところにもってきて、重箱の隅をつっつくような泥仕合です。
測定器がある現代でさえ、最後は勘で調律しているのに、昔の人がどれほどの精度で調律できたんでしょうかね。