吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

横浜出張の周辺 3 オルガン職人ですっ

2017年09月05日 | 自分のこと

横浜最後の夜に。

仕事は出だしで躓いたものの他の皆の力でなんとか纏まったのでした。

気分よく横浜最後の夜に打って出たのですが……。
交差点の電柱の下で座り込んでいる老人を発見。通り過ぎる人々は無視しています。
電柱にすがるようにして立とうとしている様子。
見るに酔っ払いではない感じ。何しろ俺も酔っ払い歴は長いからね、そのくらいは近づかなくてもわかるのさ。(自慢すなや)

見て見ぬふりをしてしまったら気分よく飲めないわな。ということで、老人のもとへ。

た、立てない……。

じいさん、肩を貸すから。

何とか立ち上がらせて杖と荷物を持たせた。

家は?

その指差す方へゆっくり肩を貸して歩いてみました。
話をしてみると、独り身で糖尿らしい。入院中だったけれども一時帰宅したそう。

糖尿になっちまったら人生終わりだよ。

いや、生きている限り人生は続くんだぜ。

年上にも説教するワタシである。
でも10メートルも行かないうちにやはり歩けないと。これはもはや救急車を呼ぶべきだと判断したのだけれど、さて、どうすれば。

そこへ白と黒の車が通りがかる。まったく、あのクルマはシチュエーションによって、地獄に仏から地獄の鬼に変化する。
今回は仏。
大きく手を振って呼び止めた。

この人が具合が悪いそうなので救急車を呼んで欲しいんですけど。

わかりました。では向こうの警官にあなたのお名前を。

ドライバーの警官がクルマをとめて出てきた。
警察というのは実にめんどくさい。こちらの個人情報を当たり前のように持っていくものだ。
ドライバーの警官、すっごく色黒だったけど女性だわ、なかなかキレイな骨格をしていらっしゃる。
まあ、予測の範疇だったので、住所氏名年齢職業を伝える。

お仕事は?

パイプオルガン職人ですっ!(キリッ)

えっ?

吉倉オルガン工房ですっ!

えっ?社長さんですか?

一応そうともいうけど、個人事業です。

どうしてここへ?

仕事で。無事終わったので飲みに行く途中です。

という感じで個人情報を伝えて、軽く状況説明。
行ってよいというので、老人と事情聴取中の警官のところに行って挨拶。

じゃ行きますけど、あとはよろしくおねがいします。
じいさん、達者でな。

一安心、そして飲み屋街へ。
日曜日の夕方はどこも結構空いているようでした。
そりゃあ金土は人が多かったからね。リア充爆発しろってくらいにカップルは多いし。

そこで入ったのはなぜかチェーン系のどこにでもある飲み屋。
濃い店が多いからね、チェーン系の普通感が心地よかったのよね。
そこは軽く済ませて、再び外へ。

いつもは混んでいて並ぶくらいのお店が空いているではありませんか。
んじゃ、入ってみるか。

三陽

有名な変な店なのでググるとたくさん出ます。
名物店長(竹内)に案内されてカウンター席へ。おつまみは餃子と鶏のねぎ焼きを半強制されるが鶏は断る。
餃子うまい。それから向こうの人が食べてておいしそうだったのでチャーハンを注文。うまかった。

名物店長(竹内)がお会計の時

にいさん、鉄筋工かい?

いいえ。パイプオルガン職人ですっ!

えっ?

なんか名物店長(竹内)に勝った気がする。俺がオルガン職人だなんて見破れまい!
キサマもまだまだだな、名物店長(竹内)よ。精進せいよ!
とまでは思わなかったけどね。

まあ、服装からして建築現場職人だけど。

うん、楽しかった。じいさんも無事だと良いな。


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4 コメント

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希少な職業 (tachinon)
2017-09-06 18:49:24
 そりぁたくさんの人と接することの多い、お巡りさん・ポリ公・警察官でも、遭遇する確率の少ない職業なのでしょうね。多分、休み時間の話題くらいにはなっていると思います。でもあの職種も、勤務場所によっては、忙しすぎてある意味ブラックなのかもしれなくて、そんな話をしている心のゆとりが無いのかもしれませんね。
 ゆとりのある職場の人なら「ねぇねぇ今日、「パイプオルガン職人」の人とあったのよ」「それでぇ?」・・・なんでしょうけれど。
そういえば、現役の時、役場職員同士で話してたこと、仕事で係わりあいたくないお客さん(相手)「元県庁職員、元警察官、元教員、もと役場職員」・・・でした。
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「元」は現役よりも (吉倉オルガン)
2017-09-06 22:55:27
tachinonさん、ようこそ!

確かに「元」〇〇は現役よりも厄介なのかもしれませんね。
現役時代のアタリマエが実はそうじゃなくて、組織の後ろ盾があってのことだったというのに気づいていなかったり?

見ず知らず同士が出会って会話をするというのは実はすごいことだと思います。
何の利益も保証しない相手にかけがえのない時間を割くわけですから。
これが、後ろ盾があると当然のことになったりします。

警察は面倒ではありますが、関わらないわけにも行かない相手です。
取調べなぞも受けたので、かれらの手法もだいぶ学べました。
学べば怖くもなくなるというものです。
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ご無沙汰しております (Silbermann)
2017-09-29 13:32:17
こんにちは 以前オルガンと八ヶ岳界隈と下頭橋ラーメンがらみでお便り差し上げましたが覚えていらっしゃいますか?
今回もよくよくニアミスするもんだとつくづく感心しながら書き込んでおります。まず僕は同じ日に仕事でフェリス女学院の前の通り、石川町で仕事をしておりました。
そして、時期は去年ですがやはり同じように歩けない老人を背負って移動中に通りかかったパトカーに後を託したのです。その時の爺さんは全く歩けない状態で杖すらなく横断歩道を這っていたのでした。空元気というか警官にこの爺さんは駅に行くんだそうだと話していると「爺さん」という言葉に不快感を表明しました。

ニアミスばかりでお会いする機会に恵まれませんがどうぞお元気で、ご活躍をお祈りしております。

そういえば立教大チャペルの旧オルガンは行き先が決まったのでしょうか?

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どこかで (吉倉オルガン)
2017-10-19 09:37:37
Silbermannさん、ようこそ!
返事が遅くなりました。

もちろん憶えております。お互いマイナーな仕事ですし。ご活躍のようですね。
それにしても奇遇ですね~。もしかして同じご老人でしょうか?

立教のオルガンって諸聖徒礼拝堂の旧オルガンですか?
あれは確か、別の建物に移設されたのではなかったでしょうか?

ニアミスではなんですので、そのうちどこかでお会いしましょう!
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