吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

北へ走る!

2010年01月31日 | オルガン
先に修復したハーモニウムにトラブルが発生したとの知らせを受けて土曜日に東
北に向かいました。
風琴屋は修復後1年間は交通費のみで保障することになっているのです。
東京のホテルからの発進なので自宅から出るより200キロほど走行距離が少なく
て済みます。

結果は乾燥による収縮でした。気密部分に隙間が出来て風漏れが起きたのはとも
かく、風箱(かざばこ・オルガンの中枢)に割れが入ってしまったのは致命的で
した。
今回の修復では、送風系は木を新しくしたのですが、風箱だけは補修で済ませた
のです。
費用的な理由もあったので。

今まで見て来た19世紀末から20世紀初頭のフランスのオルガンには木の質が非常
に悪いものが見受けられます。
あくまでも想像ですが、その時代のパリでは良質な木材の入手は困難だったので
しょう。
鉄道には枕木など、鉱業では坑道の補強、石造りの建築も型枠や床、天井などに
非常にたくさんの木を使います。
鉄の文明も石の文明も実は見えないところで木が支えているのです。
さらにヨーロッパは戦争の連続で、楽器用の良質な木材は高価だったのではない
のでしょうか。

それにしても、オルガンの中枢部分のさらに肝心なところにだけはフシだらけで
荒れた木目の木は使わないで欲しかったなあ。
楽器全体をお預かりしようかとも思ったのですが、また全体の水分バランスが崩
れてしまう危険性があったので、風箱だけを持って帰りました。
さあて、どう直すかな…。

夜6時頃に現場を出て、深夜1時に帰宅しました。
一日の走行距離は803キロ。良く走ったなあ。
軽トラは好調です。多分、連続高速走行時の快適性は軽トラ中ではこのスバル・
サンバーが最高でしょう。

でもまた次の長距離走行が待っているのよね。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お手数をおかけします (北の駅長)
2010-02-03 21:52:43
先日は本当にありがとうございました。お仕事場からの長距離でお疲れのことと思います。
過乾燥が主な原因との事で、注意が高じてしまいました。今は湿度計とにらめっこですが、我が家は高気密なので、植木鉢でもおこうかなと思っています。一年間の保証とはいえ、旅費も良心的に配慮いただき感謝です。宜しくお願いいたします。
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ピンポイント攻撃 (ひろにゃんof風琴屋)
2010-02-04 01:09:57
北の駅長さん、ようこそ!

後のトラブルを恐れて質の良くない木はおおむね交換したのですが、唯一残った中枢部にピンポイント攻撃が来ましたね。

来週あたまから作業開始ですが、どうしようか実はまだ悩んでいるのです。

湿気と乾燥、どちらも楽器にとっては怖いものですが、どちらかといえば乾燥の方が怖いですね。
とにかく、乾燥に耐えられるように工夫しているところです。
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