吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

イギリスのハウスオルガン

2010年11月16日 | オルガン

今日は東京へパイプオルガンのメンテに。

今回のオルガンは、アンティークとして輸入されたものです。
19世紀のイギリスのハウスオルガンです。

金色のパイプはダミー、中身はこのようになっています。


ビューローオルガンとも呼ばれるタイプで、手足鍵盤が収納式になっていて、出っ張りがなくなって家具のような外観になります。
この種のオルガンには、さらにタンスそのものといった外観になるものがあります。
ダミーの引き出しや、取手が付いていたりしてね。
まさかタンスじゃなくてパイプオルガンだとは!
とびっくりさせるのが粋なあすびってぇもんョ。と何故か江戸口調になってしまったけれど、人を驚かすというのは遊び心の基本ですね。

小型の楽器ながら凝った造りになっていて興味深いです。
スウェル(音量調整をするシャッター)が付いているのは19世紀らしいです。
イギリスで修復されていますが、いくつか修復のアマいところが見受けられます。
修復作業はどこまでやれば十分かという問題は非常に微妙です。 ヘタをすれば無限ループに堕ちます。
経年変化、劣化も継続していくわけですし。

気温18℃弱でピッチ(音程)a=448Hzあまり、これは理屈では気温20℃では450Hzに届く高さです。
オルガンではa=440Hz、コンサートピッチに合わせたa=442Hzが主流です。
歌謡曲などではa=440Hz、この間聞いたばかりですけどa=441Hzも結構あるそうです。

う~む、独奏楽器としてはピッチがいくつだろうと良いといえば良いのですが、他の楽器と合わせるとか、
歌と合わせることを考えると一般的なピッチにした方が良いでしょう。 音感の良い人には辛いですから。

ピッチを下げるという作業はパイプオルガンでは、パイプの管長を伸ばすことです。
このオルガンの場合、調整幅を大きく取れる構造になっているので、大方は調整で行けそうですが、管長が足りない場合、
管を継ぎ足すということも時に必要ですし、整音が破綻した場合、再整音が必要かもしれません。
パイプの整音というのは、歌口周りを切ったり変形させたり繋いだりという外科手術のようなものです。

大幅な作業は最短の期間で済まさなければならないのでその時はやっぱり連続徹夜でしょうか(涙)。
もう歳なのであまり無理はしたくないところですが仕方ないのかなあ。
でもやるときゃやるゼ。 昼間のパパも夜のパパも男だゼ。2丁目のママも男だゼ!ってなんのこっちゃ。


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